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December 01, 2018

映画『ピアソラ 永遠のリベルタンゴ』公開記念トークショー無事終了

映画『ピアソラ 永遠のリベルタンゴ』の公開を記念して、11月30日19:30より代官山T-SITE 蔦屋書店3号館2階 音楽フロアにて開催されたトークショーは、無事に終了した。
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ありがたいことに立ち見も出る盛況振りで、ご来場くださった皆さんには、お礼を申し上げたい。来日中のダニエル・ローゼンフェルド監督のサプライズ登場もあり、盛り上がったのは喜ばしい限り。
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聴きなれた自分のレコードも、エルプ社のレーザーターンテーブルで聴くとまた迫力が違っていた。
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蔦屋書店ジャズ・コンシェルジュの 及川亮子さんとトークしながらお届けした曲目(時間の関係でフェイドアウトしたものもある)を、以下に解説付きで挙げておく。曲についてのコメントは準備段階で書いたもので、実際のトークでこの通りにお話できたわけではないが、時間が押してゆっくり解説できなかった「リベルタンゴ」以外は、だいたいこのような内容をお伝えできたのではないかと思う。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

老いた虎 Tigre viejo (S. Grupillo)
Argentino Galván (1959) LP
ニューヨークでの少年時代にはタンゴに馴染めずにいたピアソラが、故郷のマル・デル・プラタに戻った後の1938年、ラジオで聴いて衝撃を受けたのが、エルビーノ・バルダーロ楽団の演奏だった。先進的過ぎてレコーディングの機会に恵まれなかった30年代当時のバルダーロ楽団が残したのは、音の悪いテスト録音の1曲のみ。創世記からピアソラまでのタンゴ史を総括すべく1959年に制作されたアルバム『オルケスタ・ティピカの歴史』(監修:ルイス・シエラ、音楽監督:アルヘンティーノ・ガルバン)では、バルダーロ楽団のの歴史的価値から、当時の演奏の完璧な再現が試みられた。

場末 Arrabal (J. Pascual)
Octeto Buenos Aires (1957) LP
1955年、パリ留学を終えて帰国したピアソラによるタンゴ革命の象徴となったのが、タンゴで初めてエレキ・ギターが導入されたオクテート・ブエノスアイレスの結成。この伝説の八重奏団用にピアソラが最初にアレンジしたのが、バルダーロ楽団の当時のピアニスト、ホセ・パスクアルが書き、同楽団で初演されたこの曲である。

勝利 Triunfal (A. Piazzolla)
Aníbal Troilo "Pichuco" y su Orquesta típica (1953) CD
Osvaldo Fresedo y su Orquesta típica (1953.9.14) LP
Astor Piazzolla con Orquesta sinfónica de Radio Sprendid (1952) CD-R
Astor Piazola & his Quintet (1959.04.26) LP
Astor Piazzolla y su Quinteto (1961) LP
49年に自身の楽団を解散した後、ピアソラはアニバル・トロイロなど他楽団への作曲・編曲の提供、スプレンディド放送局楽団の指揮の仕事の傍ら、クラシックの作曲家としての成功を夢見ていた。52年に書かれたこの曲は、その時期に残した代表的タンゴ作品で、54年のパリ留学時、ナディア・ブーランジェに渋々聴かせ、「これがピアソラね。あなたはタンゴを捨ててはいけない」と諭された、ピアソラの生涯を決定付けた重要曲。トロイロ楽団とオスバルド・フレセド楽団というタイプの異なる2楽団による当時のタンゴのオーケストレーションの成熟ぶり、スプレンディド放送局楽団でのクラシカルな手法を取り入れた実験、59年に失意のニューヨークで試みた異色の“ジャズ=タンゴ”、そして61年にたどり着いた、究極の編成となるキンテート(五重奏団)での決定版の5種を聴き比べる。

マンドラゴラ Mandrágora (A. Piazzolla)
Astor Piazzolla y su Quinteto (sin violín) (1966) CD-R
66年2月、ピアソラは家族を捨てて家を出る。ピアソラはディアナの質問に答えて「家族を省みず、音楽に集中したかった」と語るが、その裏にはピアソラが当時夢中になっていたノルマという女性の存在があった。有毒の植物を指すこの曲は彼女に捧げられたが、数回演奏されただけで「出来が悪い」とボツになった。当然レコードはない。ヴァイオリン抜きの四重奏で演奏されるこの曲のライヴ録音を、本トークショーのわずか10日前に奇跡的に入手できたのでお聴き頂こう。この曲のピアソラによるピアノ演奏(!)が、映画でもピアソラが家を出る場面で使われるが、曲目リストをチェックしている段階では何の曲かわからず「不明」とせざるを得なかったのが惜しまれる。

リベルタンゴ Libertango (A. Piazzolla)
Astor Piazzolla y su Quinteto (1983.10) LP
本来代表曲ではないのにピアソラの代名詞となってしまったこの曲の本来の姿は、実はきちんと知られていないのでは? 理解と共感の充分得られない本国での活動に見切りをつけてヨーロッパに移住した74年、イタリアで当地のスタジオ・ミュージシャンらと最初に制作したアルバムのタイトル曲で、プロデューサーのアルド・パガーニから「ジュークボックスで掛けられるように」と2分45秒の長さであっさりフェードアウト、イタリアとフランスでは実際にシングル・カットされた。ジャズやロックへの大胆なアプローチを続ける中、ライヴではコンサートのオープニングを飾り、メンバーのインプロヴィゼーションと共にどんどん長くなった(映画の中でもその一部を観ることができる)。キンテートに戻っての83年のウィーンでの演奏は一転してコンパクトだ。

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