« ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている生涯のお気に入りアルバムを10枚(3日目) | Main | ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている生涯のお気に入りアルバムを10枚(5日目) »

August 28, 2018

ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている生涯のお気に入りアルバムを10枚(4日目)

過去3日間に続き、10日前のFacebookへの投稿を転載する。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている(ごくたまにであっても)生涯のお気に入りアルバムを10枚。毎日ひとつずつジャケを投稿する。4日目/10日

Salganb

Riverob

Horacio Salgan - Edmundo Rivero (Antar Telefunken PLP 2003)

(続き)
ピアソラにはまると、バンドネオンという楽器にものすごく興味が沸き、弾いてみたくなった。タンゴを演奏したいというわけではなく、自分のバンドに取り入れてみたかったのである。タンゴを紹介するほぼ唯一のメディアだった雑誌「ラティーナ」を発行している恵比寿の中南米音楽では、雑誌でも紹介している輸入レコードを取り扱っていたので、よく通うようになっていた。そこで楽器について中西義郎社長に相談し、触らせてもらっていると、横浜にバンドネオン教室が出来たという。紹介されていった先が、平沼橋にある三田教育研究所という学習塾で、そこは塾長の齊藤一臣氏率いるタンゴ楽団、シエテ・デ・オロの練習場所でもあった。貴重な楽器も貸して貰えて、教えても貰えるかわりに、楽団に入れと言う。というわけで、タンゴについては何も知らない状態で、アマチュア・タンゴ楽団に参加することになってしまった。当時楽団でバンドネオンを弾いていたのは、浦島楯さんと並木恵さん。当初はフランシスコ・カナロやオルケスタ・ティピカ・ビクトルといった20~30年代のオルケスタをお手本に、割とのんびりした演奏をしていたが、やがて一臣さんが一念発起、現代タンゴの最高峰と謳われたオスバルド・プグリエーセ楽団のサウンドに挑戦することになったのだ。
シエテはメンバーの出入りが多かったが、やがてチェロの翠川敬基さんやコントラバスの齋藤徹さんといったフリー・ジャズ界の大物が参加。ピアノがいなくなり、私が大学時代の友人だった植松伸夫くんを連れてきた。彼は後にファイナル・ファンタジーの音楽で有名になる。そして86年に楽団でブエノスアイレスに乗り込んで、恐れ多くもプクリエーセ楽団との共演ステージに臨むことになる直前、私が知り合ったあがた森魚さんまで乱入…
といった話を書いているだけで長くなってしまうので、詳しい話は置くとして、ともかくプグリエーセとの出会いが大きかった。最初に買ったプグリエーセのレコードは50年代の名演を集めた東芝からの編集盤だった。最初のうちは訳がわからなかったが、だんだん面白さがわかってくる。ピアソラが切り開いたモダン・タンゴの世界VS古典タンゴ、という簡単な図式ではなかったのだ。ピアソラの師であるアニバル・トロイロから更に遡ると、現代タンゴの祖と言われたヴァイオリン奏者のフリオ・デ・カロにたどり着く。ピアソラが「デカリシモ」を捧げた巨匠だ。ピアニストのプグリエーセもまた、デ・カロの流れをしっかりと受け継ぐ巨大な存在であり、それぞれがそれぞれの方法論で、音を極めていったのである。
プグリエーセは本当によく聴いたし、89年に東京で聴いたラスト・コンサート(実際にはその後も活動は続いたが)も忘れがたい。ラティーナに原稿を書くようになってからは、プグリエーセの全録音を紹介する連載もやらせてもらった。それだけ思い入れも強いのだが、一番好きなのはアルフレド・ゴビ楽団だったりする。ヴァイオリンのゴビもプグリエーセの盟友だったが、ボヘミアン的性格で活動は一定しなかった。だが残されたレコードはどれも凄いのである。ゴビが亡くなったあと、ピアソラは「アルフレド・ゴビの肖像」をささげた。
なのでここで、プグリエーセやゴビも紹介したかったのだが、今回選んだのはピアノのオラシオ・サルガンである。「この1枚」というテーマで絞り込むと、サルガンがオルケスタを解散させてしまう直前の57年にウルグアイのアンタール・テレフンケンに録音したこの10インチ盤に止めを刺してしまうのである。
サルガンもデ・カロ派だが、ブラジルのショーロなどのテイストもあり、極めて個性的な位置にいる。そしてここでは通常のオルケスタ・ティピカの編成(複数のバンドネオン、複数のヴァイオリン、ピアノ、コントラバス、場合によりヴィオラやチェロ)にバス・クラリネットを加えている。このアルバムを最後に楽団を解散した後、生涯の盟友となるギターのウバルド・デ・リオとの出会いが待っているのであるが。
実はこのアルバムは、サルガンが100歳で大往生を遂げた2年前にも紹介したことがあったが、好きなんだからしょうがない。以下はその時のコピペ。かつてサルガンが見出した大歌手エドムンド・リベーロとの2曲、とりわけ「わが両親の家」(後にフィリップスに再録音)が凄い。珍しいピアノ・ソロによる「ラ・カチーラ」、ピアノと弦セクション、バス・クラリネットによる「黒い花」も絶品。

|

« ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている生涯のお気に入りアルバムを10枚(3日目) | Main | ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている生涯のお気に入りアルバムを10枚(5日目) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/35335/67106610

Listed below are links to weblogs that reference ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている生涯のお気に入りアルバムを10枚(4日目):

« ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている生涯のお気に入りアルバムを10枚(3日目) | Main | ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている生涯のお気に入りアルバムを10枚(5日目) »