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January 05, 2015

フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(75) 60年代最後のトップ10ヒット「C'mon Marianne(カモン・マリアンヌ)」 (全シングル紹介 その26)

年が明けました。みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年は6月にミュージカル『ジャージー・ボーイズ』の待望の来日が控えているが、それに照準を合わせて、ある準備をしている。もったいぶった書き方で申し訳ないが、まもなく詳細をお知らせできると思うので、お待ちいただきたい。

それでは、かなり間が開いてしまったが、ザ・フォー・シーズンズ/ザ・ワンダー・フー?/フランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介を続ける。今回はその26。

第73回でも触れたように、これまでの記事と表記の仕方を変えている部分もあるが、あまり気にせずにお読みいただきたい。

★★[4S-33]★★
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A) C'MON MARIANNE (Brown - Bloodworth) 1-40403 #9
B) LET'S RIDE AGAIN (B. Crewe - B. Gaudio) 1-40404
THE 4 SEASONS Featuring the "sound" of Frankie Valli
Produced and Directed by Bob Crewe
Arranged by Bob Gaudio (Side A)
Arranged by "Calello" (Side B)
Philips 40460 [May 22, 1967]
45Cat

ジ・エヴァリー・ブラザーズに憧れて16歳で曲作りを始めたニューアーク生まれのラリー・ブラウンは、同じ団地に住むリチャード・マーティン・オクスマンと、ザ・デュアルズというデュオを組み、1958年、ハーレムにあるR&Bレーベルのフューリーに「ウェイト・アップ・ベイビー/フォーエヴァー・アンド・エヴァー」を録音する。

その2年後、見聞を広めるべく陸軍に入隊したブラウンはパリ駐留となり、そこで歌と曲作りのパートナーとなるレイモンド・ブラッドワースと知り合う。1964年、除隊した2人はニューヨークでザ・ディスタント・カズンズを結成し、資金を捻出してボブ・ハリーのプロデュースで「トゥー・ハヴ・アンド・トゥー・ホールド」を録音。これを聴いたのがボブ・クルーで、2人をオーディションした上で、ソングライターおよびアーティストとして契約を結ぶ。ソフト・ロック調の「トゥー・ハヴ・アンド・トゥー・ホールド」は1965年3月にダイノヴォックスからリリースされ、9月公開の映画『フランケンシュタインの逆襲』(史上最悪のSFホラー映画の一つとも言われる。日本公開は1967年)にも使われた。なお、ダイノヴォックスはクルーが1961~62年に運営していたトピックスとペーリの閉鎖後初めて、1964年暮れに立ち上げたレーベルで、このシングルを最後に「ダイノヴォイス」へと名称を変更する。

クルーはブラウンを著作権管理団体BMIの副社長テア・ザーヴィンに引き合わせたが、ザーヴィン女史はブラウンに「もうラリー・ブラウンという名前の人と契約しているの。ミドル・ネームは何?」と訊いた。ブラウンは「ラッセルです」と答え、ザーヴィンのアイディアでL・ラッセル・ブラウンという名前が考案された(ただし「ブラウン」「L・ブラウン」というクレジット表記も多く見られる)。

ブラウンとブラッドワースの初プロデュース作となったのは、地元ニューアークで見つけたガレージ・バンド、リチャード&ザ・ヤング・ライオンズの「オープン・アップ・ユア・ドア」で、1966年7月にフィリップスからリリースされたが、ビルボードの99位が最高だった。

ブラウンにとって初の大ヒットとなったのが、ニュー・ヴォイス(ダイノヴォイスと平行してクルーが始めたレーベルで、当時はいずれもラリー・ウトールのベル・レコーズが配給)の看板アーティスト、ミッチ・ライダー&ザ・デトロイト・ホイールズの「ソック・イット・トゥ・ミー=ベイビー!」。共作者はブラッドワースではなくクルーで、1967年1月にリリースされて全米第6位を記録した。これはミッチ・ライダーたちにとって前年の「悪魔とモリー〔デヴィル・ウィズ・ア・ブルー・ドレス・オン&グッド・ゴリー・ミス・モリー〕」の全米第4位に次ぐ成績である。

それに続き、再びブラウン=ブラッドワースのコンビで初めてフォー・シーズンズに提供したのが、「カモン・マリアンヌ」というわけである。シングルA面曲では初めて、ボブ・ゴーディオが単独でアレンジを担当したとクレジットされているが、この曲を収録したアルバム『ニュー・ゴールド・ヒッツ』の方には「ボブ・クルーとボブ・ゴーディオのアレンジ」と書かれている。恐らくはゴーディオ単独だと思われるのだが、真相は如何に?

「カモン・マリアンヌ」はモータウンっぽいリズムが基調ではあるが、ソウルフルでガッツのあるロックンローラー、ミッチ・ライダーのヒット曲を手掛けたブラウンだけあって、それまでのフォー・シーズンズにはあまり見られなかったロック的なプラスアルファを付け加えている。ザ・ドアーズが1968年12月にリリースした「タッチ・ミー」(作者クレジットはザ・ドアーズとなっているが、書いたのはギターのロビー・クリーガー)のリフに、この曲のイントロのギターからの影響を指摘することも可能だ。

1967年5月22日にフィリップスからリリースされた「カモン・マリアンヌ」には、フランキー・ヴァリの「君の瞳に恋してる」と同様、黒いフィリップス・レーベルの盤と、薄青色の盤とがあるが、これまたミックスが異なっている。白レーベルのプロモーション盤および黒レーベルの初回盤(マトリクスは機械打ちの40403-1もしくは40403-2で、手元にあるのは前者)にはアルバムのモノラル盤と同じヴァージョンで収められているが、薄青色のセカンド・プレス(マトリクスは手彫りで、手元にあるのは1-40403-4と1-40403-5の盤。1-40403-6も存在を確認したが、40403-3が存在するのか、黒と薄青のどちらかなのかは不明)はテンポが微妙に遅い、ピッチの若干下がったヴァージョンで収められている。黒レーベル(LPも同じ)の演奏時間は盤面に記載されたとおりの2:32だが(LPでは2:23と誤植)、薄青レーベルの方は、フェイド・アウトは同じタイミングながら実測で2:38となっている。

違いはそれだけではない。現行CDなどでも聴ける通常ミックスでは、出だしのコーラス・ハーモニーとフランキーのファルセットによる無伴奏の部分が終わって、音が消える直前にギターのカッティングが入ってくるのだが、薄青レーベルのスローワー・ミックスでは、ギターが入ってくる前にほんの一瞬だが間が開く。そして演奏やコーラスにはリヴァーブが深く掛けられ、音圧が上げられている。迫力がある反面、音が割れやすいのが特徴。

「君の瞳に恋してる」の項でも触れたように、この曲はビルボードのチャートでの最高は第9位で、その時「君の瞳…」は2位だった。そして彼らが1960年代にトップテン入りを果たすのは、この2曲が最後となってしまうのだった。

1968年7月、ジョン・レノンが名付け親となりアップル・パブリッシングと契約したイギリスのバンド、グレイプフルートが「カモン・マリアンヌ」をカヴァーしてRCAからリリース(アップル・レコーズはまだ稼動前だった)、全英31位となる。1967年にはダニー・オズモンドがカヴァーしてポリドールからリリース、こちらは6月に全米38位となったが、プロデュースは当時フォー・シーズンズが契約していたカーブ・レコーズの社主マイク・カーブが手掛けた。

ピアノ基調のヴァースから、タンバリンの打ち鳴らされるビートの効いたコーラスへという展開も見事なカップリングの「レッツ・ライド・アゲイン」は、クルーとゴーディオの作品(こちらは盤によるミックス違いなどはなし)。チャールズ・カレロのアレンジということで、カレロが一時離れる前の1965年11月録音とも推測されるが、それならば曲数の足りない『ウォーキング・マイ・ウェイ・バック・トゥ・ユー』に何故入れなかったか疑問が残るし、よりサウンドの進化した次の『ニュー・ゴールド・ヒッツ』に収められて何ら違和感のない出来なので、正しい録音時期は何とも特定しがたい。

(続く)

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