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December 19, 2014

フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(74) アルバム『BORN TO WANDER』B面紹介

映画『ジャージー・ボーイズ』の国内盤ブルーレイのリリースは2015年2月4日に決定しているが、同日に関連CDも国内発売される。まずは、フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの歴史を集大成した2007年リリースの3CD+DVDのセット"Jersey Beat: The Music Of The Frankie Valli & The 4 Seasons"が、『ジャージー・ビート・ボックス』として輸入盤国内仕様で出る。これはファン必携。

そして、映画ではないオリジナルのミュージカル版『ジャージー・ボーイズ』のオリジナル・ブロードウェイ・キャスト盤(2005年録音)も、『ミュージカル・ジャージー・ボーイズ~オリジナル・キャスト・レコーディングス』としてリリース。こちらのライナーノーツは私が執筆した。当初依頼された文字数の2倍の長さになってしまったが(それでも随分削ったのだ)、映画とミュージカルの違いも含めて、情報をぎっしり詰め込んだので、今からCDの購入を検討されている方は、ぜひこの国内盤の発売までお待ちいただきたい。

それでは、また間が開いてしまったが、アルバム『ボーン・トゥー・ワンダー』の紹介を続ける(前回のA面紹介はこちら)。

BORN TO WANDER
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A1) BORN TO WANDER (Al Peterson)
A2) DON'T CRY, ELENA (Bob Gaudio)
A3) WHERE HAVE ALL THE FLOWERS GONE (Pete Seeger)
A4) CRY MYSELF TO SLEEP (Bob Crewe - Bob Gaudio)
A5) A BALLAD FOR OUR TIME (Lou Stallman - Sid Jacobson)
A6) SILENCE IS GOLDEN (Bob Crewe - Bob Gaudio)
B1) NEW TOWN (Phil Ochs)
B2) GOLDEN RIBBON (Bob Gaudio)
B3) LITTLE PONY (Get Along) (Bob Gaudio - Nick Massi)
B4) NO SURFIN' TODAY (Bob Crewe - Bob Gaudio)
B5) SEARCHING WIND (Bob Crewe - Bob Gaudio)
B6) MILLIE (Bob Gaudio)
THE 4 SEASONS Featuring the "Sound of Frankie Valli"
Produced by: Bob Crewe
Arranged and Conducted by: Charles Calello
Vocal Arrangements: Nick Massi
Engineer: Gordon Clark
Studio: Stea-Philips, NYC
Philips PHM 200-129 (mono) / PHS 600-129 (stereo) [February 1964]

B面に移って「ニュー・タウン」はフィル・オクスの曲。1940年にテキサス州エルパソに生まれたオクスは、オハイオ州立大学でジャーナリズムを専攻中にフォーク・ソングに目覚め、入学の3年後にドロップ・アウトしてニューヨークに移る。政治や時事問題をストレートに取り上げたプロテスト・ソング、ティピカル・ソングを得意としてグリニッチ・ヴィレッジで頭角を現したオクスが、エレクトラからアルバム『オール・ザ・ニューズ・ザッツ・フィット・トゥー・シング』でデビューするのは、1964年11月になってからのことだ。

要するにフォー・シーズンズは、まだ正式にはデビュー前だった彼の曲をいち早く取り上げたことになる。この「ニュー・タウン」を見つけてきたのはボブ・クルーだと思われるが、この曲はオクスが1963年4月にフロリダ州フォート・ローダーデールで録音したデモ・テープ(2010年にこの時の25曲が『オン・マイ・ウェイ』としてCD化)に含まれていた。オクス自身は結局この曲を正式に録音することなく終わっている。

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このアルバムで作品を取り上げられた二人、ピート・シーガーとフィル・オクスの2ショット。1960年代前半と思われる。フィル・オクスの2枚組ベスト・アルバム『コーズ・オブ・フェイム』の内ジャケットより。

ボブ・ディランのエレクトリック化でフォーク界が揺れてからも、オクスはプロテスト中心のスタイルを貫き、1966年にはカーネギー・ホールでのソロ・コンサートも成功させるが、1968年夏にシカゴで行われた民主党大会での武装警官とデモ隊との流血騒ぎの現場を目撃したことで大きな挫折感を味わってしまう。これ以降、開き直ったようにポップな装いに包まれてリリースされた『リハーサルズ・フォー・リタイアメント』(1968年のシカゴで“一度死んだ”自身の墓碑銘がジャケットを飾った)やヴァン・ダイク・パークスがプロデュースした『グレイテスト・ヒッツ』(エルヴィスのヒット曲集のパロディー)といったアルバムは嫌いではない、というよりもむしろ彼の新生面を表現したものとして積極的に評価したい(本人は苦悩していたのだろうが)。

1970年代に入るとレコーディングからは遠ざかり、南米やアフリカを旅する日々が続くが、アフリカで暴漢に襲われて声帯を傷つけられる事件に遭遇したりした後、思うように曲が書けない状態のまま、オクスは1976年4月に自ら命を絶つ(他殺説もある)。二度目の、本当の死だった。オクスの曇りのない澄み切った歌声は、私にとってはいつまでも忘れがたく大切に聴き続けたい宝物の一つである。

古い街でのしがらみから解き放たれて旅立った自分をがっかりさせないで欲しいと、“新しい街”への期待を歌う「ニュー・タウン」には、まだ希望に燃えていた若きフィル・オクスの姿が反映されているように思えてならない。フォー・シーズンズはコーラス・ハーモニー主体で歌っているが、伴奏が一旦ストップし、フランキーがファルセットでスローに歌う3回目のヴァースの美しさが印象に残る。

「ゴールデン・リボン」はゴーディオのオリジナル。これもコーラスが美しい。この曲ではエレキ・ギターも控えめに使われる。

「リトル・ポニー(ゲット・アロング)」は、ゴーディオとニック・マーシの共作。1962年にニックがアレックス・アルダという変名でトピックスに録音していた曲の再演である。トピックス盤ではアレックスことニックがソロで歌い、アレンジも自分で手掛けていたが、ここではニックを中心にグループみんなのコーラス主体で曲が進んでいく。

「追憶のなぎさ」は、シングル「悲しき朝やけ」のB面だったもの。内容については第47回をご参照いただきたい。

「サーチング・ウインド」はクルーとゴーディオが書いたフォーク・ナンバーで、前回ご紹介したザ・ローズ・アイランダーズのシングル「ボーン・トゥー・ワンダー」のB面に収録されていた。ローズ・アイランダーズ版よりも若干テンポを上げて、バンジョーとアコースティック・ギター、ウッド・ベースの伴奏による典型的なスタイルで演奏される。後にシングル「バイ・バイ・ベイビー(ベイビー・グッドバイ)」のカップリング曲となった。

最後の「ミリー」はゴーディオのオリジナル。オルガンによるメランコリックな間奏がいい雰囲気だ。エンディングはフランキーのファルセットで締めくくられる。

(続く)

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