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September 24, 2014

フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(70) 時代を超える「Beggin'(悲しきプロポーズ)」(全シングル紹介 その24)

(9月25日19:47追記:文中で触れたタイムボックスのカヴァーの音源について、早速情報を頂いたので修正した。また、Pilooskiエディットについても事実誤認があり、訂正した)

これまでに紹介してきた、ザ・フォー・シーズンズ/ザ・ワンダー・フー?/フランキー・ヴァリの1966年までのオリジナル・アナログ・シングルは38枚(最終的には90枚ほどになる予定)。内訳はフォー・シーズンズが31枚、フランキー・ヴァリのソロが4枚、ザ・ワンダー・フー?が3枚。どの回でどれを紹介したのか自分でも判らなくなってしまったので、インデックスを作ってみた。通し番号の4S-はフォー・シーズンズ、FV-はフランキー・ヴァリ、WW-はワンダー・フーである。

第42回(その1)
[4S-01] Bermuda / Spanish Lace
[4S-02] Sherry / I've Cried Before
第43回(その2)
[4S-03] Big Girls Don't Cry / Connie-O
第44回(その3)
[4S-04] Santa Claus Is Coming To Town / Christmas Tears
[4S-05] Walk Like A Man / Lucky Ladybug
[4S-06] Ain't That A Shame! / Soon (I'll Be Home Again)
第45回(その4)
[4S-07] Candy Girl / Marlena
[4S-08] New Mexican Rose / That's The Only Way
第46回(その5)
[4S-09] Peanuts / Stay
第47回(その6)
[4S-10] Dawn (Go Away) / No Surfin' Today
第48回(その7)
[4S-11] Stay / Goodnight My Love
[4S-12] Ronnie / Born To Wander
第49回(その8)
[4S-13] Alone / Long Lonely Nights
第50回(その9)
[4S-14] Rag Doll / Silence Is Golden
第51回(その10)
[4S-15] Save It For Me / Funny Face
[4S-16] Sincerely / One Song
[4S-17] Apple Of My Eye / Happy Happy Birthday Baby
第52回(その11)
[4S-18] Big Man In Town / Little Angel
[4S-19] I Saw Mommy Kissing Santa Claus / Christmas Tears
[4S-20] Bye Bye Baby (Baby, Goodbye) / Searching Wind
[4S-21] Never On Sunday / Connie O'
第53回(その12)
[4S-22] Toy Soldier / Betrayed
[4S-23] Since I Don't Have You / Tonight-Tonight
[4S-24] Girl Come Running / Cry Myself To Sleep
第54回(その13)
[FV-01] The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore) / This Is Goodbye
第55回(その14)
[4S-25] Let's Hang On! / On Broadway Tonight
第61回(その15)
[WW-01] Don't Think Twice / Sassy
第62回(その16)
[4S-26] Little Boy (In Grown Up Clothes) / Silver Wings
第63回(その17)
[FV-02] (You're Gonna) Hurt Yourself / Night Hawk
[4S-27] Working My Way Back To You / Too Many Memories
第64回(その18)
[WW-02] Peanuts / My Sugar
[4S-28] Stay / My Mother's Eyes
第65回(その19)
[FV-03] You're Ready Now / Cry For Me
第66回(その20)
[4S-29] Opus 17 (Don't You Worry 'Bout Me) / Beggers Parade
第67回(その21)
[WW-03] On The Good Ship Lollipop / You're Nobody 'Til Somebody Loves You
第68回(その22)
[4S-30] I've Got You Under My Skin / Huggin' My Pillow
第69回(その23)
[FV-04] The Proud One / Ivy
[4S-31] Tell It To The Rain / Show Girl

それでは、記念すべき第70回にお届けする、全シングル紹介・その24に移る。

★★[4S-32]★★
40433a

40433b

40433c

40433d

A) BEGGIN' (B. Gaudio - P. Farina) PHW1-39810 #16
B) DODY (B. Crewe - B. Gaudio) PHW1-39811
THE 4 SEASONS Featuring The 'sound' of Frankie Valli
A Bob Crewe Production
Arranged & Conducted by Artie Schroeck (Side A)
Philips 40433 [8/2/67]
45cat

「Sherry」以来、フォー・シーズンズ作品の中心的ソングライターだったボブ・ゴーディオは、1965年6月の「Girl Come Running」を最後にシングルA面曲を書かなくなっていた。ただし、ちょうど同じ時期からフランキー・ヴァリのシングル曲を書き続けてきたことは、これまでにご紹介した通り。

そして1967年の幕開けと共に、久々にゴーディオの新曲がフォー・シーズンズのシングルA面を飾ることになった。共作者はペギー・ファリーナ第65回で触れたように、エンジェルズで「My Boyfriend's Back」を歌ったペギー・サンティグリアのペンネームである。

と、ここで訂正というか補足をしておかなければならない。不勉強で把握できていなかったのだが、その第65回で紹介したフランキー・ヴァリの「You're Ready Now/Cry For Me」および前回紹介の「The Proud One」でバッキング・ヴォーカルを担当したペギー・サンティグリア、バーナデット・キャロル、デニース・フェーリの3人は、そのままジェシカ・ジェームズ&ジ・アウトローズ(Jessica James And The Outlaws)の名前でシングルをリリースしていたのを見落としていたのである。

ペギーとフォー・シーズンズとの直接の交流は1964年にさかのぼる。ペギーは1964年8月にペギー・サンズ(Peggy Sans)名義で「Snow Man/Give Your Love」(Tollie T-9018)をリリースしているが、このプロデュースがゴーディオとヴァリで(A Gaudio-Valli Productionと表記)、アレンジがデニー・ランデルだった。ゴーディオとサンディ・リンザーが共作した「Snow Man」はもともとエンジェルズが録音するはずだったが、企画が頓挫してしまったために、ペギー単独で変名で出すことにしたわけである。

そして1965年11月に、ボブ・クルーのダイノヴォイスからリリースされたジェシカ・ジェームズ&ジ・アウトローズの「Give Her Up (Baby)」(DynoVoice 213)は、ゴーディオとファリーナの初の共作で、チャールズ・カレロがアレンジを手掛けた。プロデュースはなんとフォー・シーズンズである(A 4 Seasons Productionと表記)。このシングルは両面とも、次のコンピレーションに含まれていた。

Dynovoicestory

"BOB CREWE PRESENTS THE DYNOVOICE STORY - THE LABEL THAT HAD TO HAPPEN - 1965-1968" (Westside WESD 226)

B面の「Come Closer」はゴーディオ単独作だが、ゴーディオとヴァリがプロデュースしカレロがアレンジしたジャッキー・ヒルの1963年のシングル(タイトルは「Won't You Come Closer」)(Mar-Brit 301)のオケがそのまま流用されていた。やはりゴーディオとヴァリがプロデュースした(A面のみ)1964年5月のディー・クラークのシングル(タイトルは「Come Closer」)(Constellation C-120)も、オケは同じだった。

続く1966年5月の「We'll Be Makin' Out/Lucky Day」(DynoVoice 220)はボブ・ゴーディオの単独プロデュースで、ハーブ・バーンスタインがアレンジを手掛けていた。「We'll Be Makin' Out」は、ボブ・クルーとボブ・ゴーディオの共作だ。

「Lucky Day」はジェシカ・ジェームズのソロ名義になっていた。

彼女たちにはもう1枚、「Blue Skies」というシングルがあるらしいのだが、詳細は不明。

ペギーは同年、ティファニー・ミシェル(Tiffany Michel)名義でもMGMから「Dixie/Come Closer」(MGM K13624)をリリースした。シングルはレアで、ネット上にも音源は見当たらず(B面の音源はあった)、まだ音を聴けていない。

1966年10月10日に録音された「Dixie」は、19世紀の南北戦争前に書かれ南軍のテーマ・ソング的に使われた有名な曲を素材に、プロデュースのゴーディオがアダプトし、アーティ・シュロックがアレンジした。演奏も歌も素晴らしいとのことだが、テーマがテーマなだけに、レコード店や放送局にはボイコットするところも少なからずあったらしい。

ゴーディオのプロデュース、カレロのアレンジと表記されているB面の「Come Closer」は、ジェシカ・ジェームズ&ジ・アウトローズのヴァージョンに多少の手を加えたもの。

またもや前置きが長くなってしまった。ボブ・ゴーディオとペギー・ファリーナの共作による「Beggin'(悲しきプロポーズ)」は、1967年1月の録音で、スタジオは不明。リリースは2月8日。1960年代後半のフォー・シーズンズのシングルの中でも、とりわけ時代に先んじた感覚があふれ出た傑作である。

要となるのは、シンコペーションを多用してグルーヴ感溢れるリズムを繰り出すバディ・サルツマンのドラムスと、見事なコンビネーションを見せるジョー・ロングのベース。ストリングスを生かしたアレンジはアーティー・シュロックが担当しているが、ベーシックな部分はゴーディオ自身が組み立てていると思われる。彼自身が弾いていると思われるリズミカルなピアノも効果的だ。

ファルセットを使わないヴァリのヴォーカルは力強さにあふれているばかりでなく、これまではあまり感じたことのなかったソウルっぽさも漂わせている。

ビルボード・シングル・チャートの最高は、4月8日と15日付の16位だったが、この手の音に人気の集まりそうなイギリスでは、まったくヒットしなかった。その代わりというわけではないが、イギリスからはこの曲の素晴らしいカヴァー・ヴァージョンが誕生した。

モッドな雰囲気のR&B/ジャズ/ポップ志向から出発したバンド、タイムボックスが1968年5月31日にデラムからリリースした通算4枚目のシングルで取り上げたのである。7月に全英チャートの38位まで上昇、彼らの唯一のヒット曲となった。まずはテレビ出演時の生演奏の映像から。

リード・ヴォーカルはマイク・パトゥー、ヴィブラフォンはオリー・ハルソールである。そう、1970年代半ば以降、ケヴィン・エアーズのギタリストを長年務めたことで知られるハルソール(1992年に心臓発作で他界)は、当時はヴァイブ奏者としてグループの個性的なサウンドを支えていたのである。タイムボックスは徐々にロック色を強めながらシングルをリリースしていくがヒットは続かず、録音されたアルバムも未発表に終わってしまった。

アルバム用未発表マテリアルを含む彼らの音源は1998年に初めてCDにまとめられたが(『TIMEBOX FEATURING MIKE PATTO & OLLIE HALSALL』(Deram 844 807-2))、現在出ているものは、パイ系列のピカデリーからの最初のシングル2枚分を追加した決定版である。

Timebox

"BEGGIN'" (RPM/Retrodisc RETRO 834)

このCDで聴ける「Beggin'」は、オリジナル・シングル通りのモノラル・ヴァージョンだが、以下の画像で聴ける音は何とステレオである。

1998年のデラム盤CDには、ステレオ・ヴァージョンで収められていたのだろうか。お持ちの方がいらしたら、ご教示頂きたい

(追記:上記のように書いたところ、早速お持ちの方から「ステレオです」とご教示頂いたので、訂正しておく)

いずれにしても、(ライヴ映像には入っていなかった)ブラスやストリングスも効果的なこのアレンジと演奏は実にスリリングで、フォー・シーズンズのオリジナルをも凌駕しそうな出来栄えである。これまでに聴いたフォー・シーズンズ/フランキー・ヴァリの楽曲のカヴァーで、これほどの喜びや驚きを与えてくれたものは、ほかにはない。

高度な音楽性を誇ったタイムボックスは、解散後そのまま発展的に、プログレの要素もあるハード・ロック・バンド、パトゥーとなる(パトゥーのアルバムは未聴)。優れたヴォーカリストだったマイク・パトゥーは、パトゥーの解散後もボクサーなどのバンドで活動を続けたが、1979年にわずか36歳で咽頭がんで亡くなってしまった。

「Venus」でおなじみ、オランダのショッキング・ブルーが解散直前の1974年にアルバム『GOOD TIMES』に収録したカヴァーも、悪くない。

時は流れ2007年、フランスのDJ、Pilooski(読み方わからん)がフォー・シーズンズのオリジナルを大胆にリミックスしたヴァージョンがリリースされた。

Pilooski

"BEGGIN' [Pilooski Re-Edit]" (679 679L146T)

679というのはレーベル名である。これは12インチ・アナログ・シングルで、A面に表題のエディット・ヴァージョン、B面に「Beggin' [Speaker Killer Remix]」と「Who Loves You(愛はまぼろし)」のオリジナル・ヴァージョンが収められていた。Pilooskiのエディットは、何も新しい音は加えず、もともとのフォー・シーズンズの録音のみを加工してあるのが特徴。B面のスピーカー・キラー・リミックスの方は打ち込みのドラムスの音がかぶせてある。

(追記:上記取り消し部分は、私の確認不足だった。Pilooskiのエディットは、基本的にはフォー・シーズンズの録音を加工したものだが、チキチキチキチキと刻む音やハンドクラップの音などが、目立たない程度だが重ねられていたので、訂正しておく)

このPilooskiによるリミックス・ヴァージョンは、全英チャートで32位、全英ダンス・チャートでは1位を記録した。先日発売されたもののなかなかまともに紹介できないでいるボブ・ゴーディオ作品集『AUDIO WITH A G - SOUNDS OF A JERSEY BOY - THE MUSIC OF BOB GAUDIO』(Rhino 8122-79584-7)にも収められている。どうせならタイムボックスのヴァージョンも入れて欲しかった!

Audiowithag

同じ2007年には、ノルウェイのヒップホップ2人組、マッドコンによるラップ入りのカヴァーも登場、ヨーロッパ各国で大ヒットした。

まあ、私にとってはどうでもいい感じの内容だが(映像のセンスが悪いのがマイナス?)、こうして曲が生命力を保ち続けるのは、悪いことではない。そしてミュージカル/映画『ジャージー・ボーイズ』でも近年のフランキー・ヴァリのライヴでも、この曲は重要な位置を占め続けている。

やはりファルセットは使わず、「Beggin'」に近い雰囲気もあるカップリングの「Dody」は、ボブ・クルーとボブ・ゴーディオによる新曲。盤面にはアレンジャーの表記がないが、実はチャールズ・カレロが担当している(後のアルバムではクレジットされる)。ということで、恐らく1965年11月のカレロとのセッションで録音されていたものと思われる。

両曲とも、1967年5月リリースのオリジナル・アルバム『NEW GOLD HITS』(Philips PHM 200-243[mono]/PHS 600-243[stereo])に含まれることになる。「Beggin'」は1968年12月発売のベスト『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』にも同じヴァージョンで収録。1975年のベスト『STORY』収録のものは両チャンネルの音がほぼ中央に寄せられたパターンだった。

さて、次はいよいよ、フランキー・ヴァリの5枚目のソロ・シングル「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)/The Trouble With Me」の登場となる。9月27日の映画『ジャージー・ボーイズ』の公開には、ちょっと間に合わなさそうだが。

(続く)

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Comments

Beggin'(悲しきプロポーズ)の音
他のCDと比べて
2枚組で出てたWorking My Way Back To Youの
Disc 2の7曲目は左右反対になっていてフェイド・アウトもわずかに早い。
いつも思うこと
再生時間、チャンネル相違(左右)

Posted by: とぜんね | September 26, 2014 at 01:21 AM

>とぜんねさん

あっ、ほんとうですね。気付きませんでした。
どうしてこんなことになってしまっているのか…。

ご教示ありがとうございました。

Posted by: さいとう(鳩サブロー) | September 27, 2014 at 04:12 PM

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