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September 07, 2014

フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(67) 全シングル紹介 その21

ザ・フォー・シーズンズ/ザ・ワンダー・フー?/フランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第21回。

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A) ON THE GOOD SHIP LOLLIPOP (S. Clare - R. A. Whiting) PHW1-38555 #87
B) YOU'RE NOBODY 'TIL SOMEBODY LOVES YOU (Stock - Morgan - Cavanaugh) PHW1-38556 #96
THE WONDER WHO?
A Bob Crewe Production
Arranged & Conducted by Herb Bernstein
Philips 40380 [5/66]
45cat

1934年、作曲家リチャード・ホワイティングは、シャーリー・テンプル主演の映画『輝く瞳(Bright Eyes)』の音楽を担当していた。当時わずか6歳ながら『可愛いマーカちゃん(Little Miss Marker)』(日本では1935年正月映画として公開)ですでに主演を果たし、天才子役として全米どころか世界中を熱狂させていたシャーリーを大々的にフィーチャーした作品である。

孤児を演じるシャーリーが劇中で歌う曲を、ホワイティングはなかなか書くことができずに苦しんでいた。そこへ、8歳の娘マーガレットが学校から帰ってきた。マーガレットは帰宅すると父親のスタジオに入ってピアノの横に座り、父親が書いたばかりの曲や、ジェローム・カーンやリチャード・ロジャーズといった父親のハリウッド仲間の新曲を聴くのが日課だった。ちょうどその日、マーガレットは手にべたべたする大きなロリポップ(キャンディ)を持っていた。

ピアノの長椅子に座った娘に「私から離れなさい。お前はピアノも楽譜も映画の台本もべたべたにしてしまうぞ。それにしても誰からもらったんだ?、そのロリポ…」と言いかけたホワイティングは、自分の娘が大きなロリポップを持っているのを改めて見た瞬間、パッと脳裏にひらめいた。すぐに作詞家のシドニー・クレアに電話を掛け、「こんな歌はどうだろう?」とアイディアを告げた。かくして生まれたのが「On The Good Ship Lollipop」である。シャーリーが劇中で歌う感動的なシーンを、まずはご覧いただこう。もちろんオリジナルはモノクロで、後から着色処理が施されている。

画面からもわかるように、“Good Ship”とは飛行機のこと。映画は1934年12月20日に公開、この曲の楽譜は売れに売れ、シャーリー・テンプルのテーマ・ソング代わりにもなった。

ちなみにホワイティングは1938年に46歳で早世してしまうが、名曲誕生のきっかけを作った娘のマーガレット・ホワイティングは後に人気歌手となり、父へのトリビュート作といえる1980年のアルバム『TOO MARVELOUS FOR WORDS』で遂にこの曲をレコーディングした。

最初に発売されたレコードは、1934年11月27日に録音されたヴィンセント・ローズと彼のオーケストラ(歌:ドロシー・ブレント)のヴァージョン。

アニメの人気キャラクター、ベティ・ブープの声優として知られ、後に『ポパイ』のオリーブ・オイル役も担当するメイ・ケステル(当時26歳)も1935年1月16日にデッカに録音し、レコードは200万枚以上売れたらしい。音はこちら

この曲を歌った子供向けのレコードは数多くあると思われるが、ポップ・フィールドでのカヴァーにはユニークなものが多い。まずは『ビキニ・ビーチ』などアネット主演の一連のビーチ・ムーヴィーやTV番組『シンディグ!』などへ出演し、ドクター・ペッパーのCMガールにも起用されたティーン・アイドル、ドナ・ローレンの1963年のチャレンジへの録音。ビートの効いた伴奏に乗せて、パンチのある歌声を聞かせる。合いの手を入れるのはラジオDJでTV番組のホストも務めたウィンク・マーティンデール。サンプル音源はこちらから。

R&B歌手ルース・ブラウンが1965年2月にメインストリームからリリースした『RUTH BROWN '65』からシングル・カットされたヴァージョンは、ピーター・マッツの編曲指揮によるスローでドリーミーなものに意匠替えがなされていた。音はこのブログ内で聴ける。

時代は先になるが、アイク&ティナ・ターナーのバック・コーラス隊、ジ・アイケッツの1964~65年のメンバー(ロビー・モンゴメリー、ヴェネッタ・フィールズ、ジェシー・スミス)が独立してスタートさせたザ・ミレッツの1968年のファースト・アルバム『IN THE MIDNIGHT HOUR』収録のヴァージョンはミディアム・スローでファンキーな仕上がり。

1968年9月にイギリスのトーストからシングルをリリースしたザ・カメオズは、同国の女性ヴォーカル・グループと思われるが、詳細は不明。ポップでダンサブルなアレンジを担当したデレク・ワズワースは、アレンジャーとしてダスティ・スプリングフィールド、クリスティン・パーフェクト(=クリスティン・マクヴィー)、マデリーン・ベル、アラン・プライスなどを手掛けたほか、トロンボーン奏者としてローリング・ストーンズの『THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST』、ビリー・プレストンやドリス・トロイのアップル録音などに参加。クレジットはないがジョージ・ハリスンの『ALL THINGS MUST PASS』でもオーケストラ・アレンジの一部を手掛けているらしい。ジャズ・ロック・バンド、ロック・ワークショップのメンバーでもあった。そのほか、『スペース1999』など多くのTVや映画音楽を作曲している。

このように子供にも大人にも楽しまれてきた「On The Good Ship Lollipop」が、ザ・ワンダー・フー?のシングル第2弾に選ばれた。

覆面グループと言いながら、ヒットした第1弾「Don't Think Twice」は既にフォー・シーズンズのアルバム『THE 4 SEASONS SING BIG HITS BY BURT BACHARACH... HAL DAVID... BOB DYLAN』にしっかり収められていたから、正体はバレバレだがあえてカヴァー企画は続行されたというわけだ。ピクチャー・スリーヴのメンバー写真の切り張りもどこか中途半端。

録音日は不明だが、マスター登録は1966年5月9日で、発売も5月。アレンジは「You're Ready Now」「Opus 17 (Don't You Worry 'Bout Me)」に続いてハーブ・バーンスタインが担当した。数多くのカヴァー・ヴァージョンと同様、シャーリー・テンプルが歌った♪I've thrown away my toys...以下の最初のヴァース部分は省かれている。

超ファルセットによるコミカルな演出ということで、シャーリー・テンプルのオリジナルというよりは“ザ・ベティ・ブープ・ガール”メイ・ケステルからのイメージを受け継いでいると言えそうだが、米国人なら誰でも知っている曲であっても、意外性は少なかったせいか、ビルボード・シングル・チャートでの最高は87位に留まった。

カップリングの「You're Nobody 'Til Somebody Loves You」は、1944年にラス・モーガン(ビッグ・バンド・リーダーでアレンジャー)、ラリー・ストック(ファッツ・ドミノがヒットさせた「Blueberry Hill」の作者のひとり)、ジェームズ・キャヴァノー(ビング・クロスビーが有名にした「Mississippi Mad」の作者のひとり)の3人で書いたポピュラー・ソング。

最初に発売されたのはラス・モーガン&ヒズ・オーケストラ(歌もモーガン自身)による自作自演盤で、1945年にデッカからリリースされた。

1945年5月19日にはザ・キング・コール・トリオ(ナット・キング・コールのピアノとヴォーカル、オスカー・ムーアのギター、ジョニー・ミラーのベース)によるスウィンギーで素晴らしいヴァージョンが録音されたが、何と1966年に『THE VINTAGE YEARS』に収められるまで未発表だったらしいのだ。

この曲はスタンダードとなり、多くの歌手に歌われているが、最も有名なのは、1965年のディーン・マーティンのヴァージョン。ビルボードのポップ・チャートで24位、イージー・リスニング・チャートでは1位となった。

これを聴くと、フランキー・ヴァリのソロとして普通に取り上げても違和感がないようにも思うが、ザ・ワンダー・フー?のヴァージョンは、ナット・キング・コール版をベースにしているように思える。ディーン・マーティン版のヒットの余波か、かろうじて両面ヒットとなり、96位を記録した。

ザ・ワンダー・フー?のこのシングルは2曲とも、LP時代にはオリジナル・アルバムはおろかベスト盤にも一度も収録されることはなかった。初めてアルバムに収められたのは1990年6月、ライノからCD(とカセット)でリリースされた『RARITIES, VOL. 1』(Rhino R2-70973)においてである。しかも、収められたのはどちらもステレオ・ヴァージョンだった。アルバムに収録するつもりでステレオ・ヴァージョンを制作していたのだろうか。

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R2_70973b

『RARITIES, VOL. 1』のライナーには、「"You're Nobody"には早くフェイド・アウトするプレスの盤もあるが、フル・ヴァージョンがこのコンピレーションでアルバム・デビューを飾った」と書かれている。ところが、私の所持しているシングル盤(送り溝の手彫りのマトリクスはPHW1-38556-2)は、フェイド・アウトせずに、バラバラと演奏が終わる部分まで収録されているのである! 

恐らく、誤ってフェイド・アウトをしないまま最初のマスターが作られてしまい、後期のプレスでは早めにフェイド・アウトするマスターと差し替えられたのではないかと思われる。

(続く)

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