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August 27, 2014

フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(65) 全シングル紹介 その19

ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第19回。

★★★★★
S2037a

S2037b

A) YOU'RE READY NOW (B. Crewe - B. Gaudio) YW1-38490 #112
B) CRY FOR ME (B. Gaudio) YW1-38491
FRANKIE VALLI
A Bob Crewe Production
Arranged by Herb Bernstein (Side A)
Smash S-2037 [3/66]
45cat

「The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore)」「(You're Gonna) Hurt Yourself」に続くフランキー・ヴァリのソロ第3弾。この後はヴァリのソロ・シングルもフィリップスからリリースされることになるので、スマッシュからのリリースはこれが最後である。

UK鑑賞団体セッショングラフィーでは録音が1966年3月、マスター登録が3月29日、発売も3月となっているが、そんな早業が可能だったのだろうか。ちなみに45catの該当ページでは、発売は4月となっている。

1966年に入って初の録音ということで、制作陣にも変化が見られる。ニック・マーシ脱退後、ベーシストなどとしてピンチヒッターを務めていたチャールズ・カレロは、1966年に入りジョー・ロングが加入したのに伴い降板し、スタッフ・アレンジャー、プロデューサーとしてコロンビアと専属契約を結ぶ。

UK鑑賞団体セッショングラフィーによれば、その専属期間は1966年1月から1967年5月までとのことだが、チャーリー・カレロ・シンガーズを率いて「Vino Or Cappuccino/Tulips From Amsterdam」「The Blue Matador/September Rain (Here Comes The Rain)」という2枚のシングルをリリースしたのはそれぞれ1967年7月と9月のことなので、実際にはもう少し長かったのではないだろうか? カレロがコロンビア専属時代にプロデュースとアレンジを手掛けたシングルはかなりの数に上るが、トップ100に到達したのはシャーリー・エリスの「Soul Time」(67位)と、サンディ・リンザー&デニー・ランデルが書いたザ・サークルの「Penny Arcade」(95位)の2枚に留まっている。

カレロのコロンビアでの1960年代の仕事の中で最もよく知られ、評価も高いのは、1968年4月にリリースされたローラ・ニーロの移籍第1弾アルバム『ELI AND THE THIRTEENTH CONFESSION(イーライと13番目の懺悔)』におけるアレンジと共同プロデュースだろうが、この時点では既に、レーベル専属ではなくフリーランスとしての仕事だったのではなかろうか。

カレロがコロンビア専属となりフォー・シーズンズ/フランキー・ヴァリのセッションから離れた時期には、代わりにさまざまなアレンジャーたちが参加し、才能を発揮することとなった。今回「You're Ready Now」に抜擢されたのは、ブルックリン出身で当時ボブ・クルー周辺にいたハーブ・バーンスタイン。ほかにエディ・ランボー、ザ・ミッチェル・トリオ(=チャド・ミッチェル・トリオ)、レスリー・ゴア、ザ・ハプニングス、ザ・カウシルズなどを手掛け、ローラ・ニーロのヴァーヴ・フォーキャストからの1966年のデビュー・アルバム『MORE THAN A NEW DISCOVERY』でも全曲の編曲指揮を担当した。

冒頭からいきなり飛び出してきてタイトルを連呼する女性コーラスが、それまでと違うソロ・シンガーとしてのヴァリのスタンスを改めて強調するかのようなインパクトに溢れている。UK鑑賞団体セッショングラフィーでは、このバッキング・ヴォーカルを担当しているのは「ジ・エンジェルズ(バーナデット・キャロル、ペギー・サンティグリア、デニース・フェーリ)」と記載されている。

1963年のNo.1ヒット「My Boyfriend's Back」で知られる女性ヴォーカル・トリオ、ジ・エンジェルズはニュージャージー出身で、フォー・シーズンズとも当然繋がっている。何を隠そう、彼女たちはミュージカル/映画『ジャージー・ボーイズ』にも登場し、「My Boyfriend's Back」を歌うシーンもあるのである(「映画『Jersey Boys(ジャージー・ボーイズ)』“サントラ”盤到着!」の回でも触れたように、サントラ盤CDにもキミー・ゲートウッドのリード・ヴォーカルで収録されている)。そして彼女たちは、自分たちのレコードのほかにも、セッション・シンガーズとしてニール・ダイアモンド、トリニ・ロペス、ルー・クリスティ、トニー・オーランド、フランク・シナトラなどのレコーディングに参加しているという。

だが、フランキー・ヴァリの「You're Ready Now」に“エンジェルズとして”参加、という表記は正しくない。1966年の時点で彼女たちは契約の関係でその名前は使えず、ザ・ヘイローズ(The Halos)を名乗っていた(1967年からエンジェルズに戻る)。だがそれよりも何よりも、上記3人=エンジェルズではない。エンジェルズはメンバー・チェンジが頻繁だったが、バーナデットとペギー(「My Boyfriend's Back」のリード・ヴォーカル)との参加時期は重ならないし、ペギーと幼馴染で10代の頃一緒に歌っていたデニースは、エンジェルズには(少なくとも正式には)参加したことはなかったはずだ。それはともかく、ここで歌っているのは彼女たち3人なのだろう。ちなみにペギー・サンティグリアは、後にペギー・ファリーナの名前で「Beggin'(悲しきプロポーズ)」をボブ・ゴーディオと共作することになる。

彼女たちの強力なヴォーカルをバックに、ヴァリはダブル・トラック録音を駆使し、時にハモりながら、ガンガン歌っていく。だが残念なことに、この曲は100位にも入れずに終わってしまう。

ヒットしなかったのはイギリスも同様だったが、1970年になって突如としてノーザン・ソウル・シーンで注目を浴び、DJたちがプレイし始めた。そこでイギリスのフィリップスがシングルを11月に再発売したところ、12月12日付全英チャートにランク・イン。1971年初めには11位まで上昇し、13週間チャートに留まった。

この曲は、1967年6月発売の『FRANKIE VALLI - SOLO』(Philips PHM 200-247[mono]/PHS 600-247[stereo])のラストに収録されているが、その際にミックスし直されている。違いはほんの僅かで、よく聴かないと違いは判らない程度だが。そのほか、アルバムではフェイド・アウトが6秒ほど長くなっている(モノラル盤もステレオ盤も同じ)。

その後のベスト盤(手元にあるものでは『THE VERY BEST OF FRANKIE VALLI』(Curb/MCA MCA-3198)やCDでは、フェイド・アウトはまた短くなり、シングルより1~2秒長い程度となっている。

カップリングの「Cry For Me」は、第54回でご紹介した「The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore)」のカップリング曲「This Is Goodbye」同様、ボブ・ゴーディオ単独作で、アレンジャーのクレジットがなく、米国ではアルバム未収録で、イギリスでのみ『FRANKIE VALLI - SOLO』に収録され、恐らくステレオ・ヴァージョンは存在しない、というもの。

A面の「You're Ready Now」同様、バーナデット、ペギー、デニースの3人がバッキング・ヴォーカルを受け持っていると思われるこのロッカバラードは、映画『ジャージー・ボーイズ』の中で重要な位置を占めている。後にジョー・ペシとなるジョーイ(ジョセフ・ルーソ)からフォー・ラヴァーズのメンバーたちに引き合わされたボブ・ゴーディオ(エリック・バーゲン)が、ピアノに向かって披露するのがこの曲なのである(これもサントラCDに含まれている)。

ここで気になるのが、ゴーディオが当時、実際にこの曲をすでに書き上げていて、弾いてみせたのかどうかということ。もしそうだとすると、フォー・シーズンズのヒット曲を書き続けてきた間、ゴーディオは(ヴァリやボブ・クルーもだが)ずっとこの曲を温存してきたことになる。そんなことがあるのだろうか? グループ向きの曲ではないと、ずっと考えていたのだろうか。

(続く)

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Comments

鳩サブローさん、こんばんは。

「You're Ready Now」の女性コーラスがAngels(のメンバー)だったなんて!
初めて知りました。驚きですね。

それと、この曲が英国で70年代初頭にヒットしていたなんて。

個人的には好きな曲なので米国で100位内に入っていないのは残念です。

Posted by: JD | August 30, 2014 at 02:59 AM

JDさん、いつもコメントありがとうございます。

そういえばエンジェルズのアルバム、去年ブログで紹介されていましたね。私は彼女たちのアルバムは持っていないので、機会を作って聴いてみなければ。

話は変わりますが、ついにAT33MONOを買いました。詳しくはいずれまた。

Posted by: さいとう(鳩サブロー) | August 31, 2014 at 12:12 AM

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