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August 16, 2014

フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(64) 全シングル紹介 その18

9月27日公開の映画『ジャージー・ボーイズ』の日本オリジナル予告編が公開された。ナレーションは小林克也氏だ。

しかし、拙ブログをお読みいただいているみなさんには先刻ご承知のことと思うが、多くの紹介記事でフォー・シーズンズの代表曲の一つとして紹介されている「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」は、フォー・シーズンズではなくてフランキー・ヴァリのソロ曲である。そして、グループではなくてソロでのヒットだったということは、彼らを理解する上で極めて重要なのである。そのことは改めて強調しておきたい。

さて、ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第18回。

★★★★★
Vj717a

Vj717b

A) PEANUTS (J. Cook) 62-2639
B) MY SUGAR (Crewe - Gaudio) 62-2917
THE WONDER WHO
Vee-Jay VJ-717 [2/66]
45cat

すでに倒産寸前となっていたヴィー・ジェイが、第61回で紹介したザ・ワンダー・フー?「Don't Think Twice」のヒットにあやかろうと、どさくさ紛れに出した便乗シングル。フォー・シーズンズでフランキー・ヴァリがローズ・マーフィー風の特異なファルセットで歌っていた2曲を、ザ・ワンダー・フーの名前で(「?」は付いていない)ちゃっかりリリースしたもので、当然のようにチャート・インはしなかった。

ファースト・アルバム『SHERRY & 11 OTHERS』からの「Peanuts」は、第44回でご紹介したプロモーション用片面シングルを含めれば、3回目のシングル化ということになる。そのプロモ盤はEPの販促用だったが、第44回での紹介時点で未入手だったEP2種の方は、その後入手できたので、ついでにご紹介しておく。

"THE 4 SEASONS SING" (Vee-Jay VJEP1-901) 12/1962 #108
Ep1_901a

Ep1_901b

Ep1_901c

Ep1_901d

Side 1:
1. Never On Sunday (Towne - Hadjidakis)
2. Peanuts (J. Cook)
Side 2:
1. I Can't Give You Anything But Love (Fields - McHugh)
2. La Dee Dah (Crewe - Slay)

"THE 4 SEASONS SING" (Vee-Jay VJEP1-902) 3/1963 #123
Ep1_902a

Ep1_902b

Ep1_902c

Ep1_902d

Side 1:
1. Why Do Fools Fall In Love? (F. Lymon - G. Goldner)
2. Silhouettes (F. Slay - B. Crewe)
Side 2:
1. Since I Don't Have You (Beaumont - Vogel - Verscharen - Lester - Taylor - Rock - Martin)
2. Alone (Selma - M. Craft)

1963年12月に発売された「Peanuts」のオフィシャル・シングルも第46回でご紹介した通り、カップリング曲の「Stay」に注目が集まってしまい、回収されてしまった。曲自体の人気はないわけではないのに、シングルとしては不運な運命をたどっている(私の見つけた盤も行方不明のまま、結局届かなかった)。曲については第24回を参照されたい。

カップリングの「My Suger」は、オリジナル・セカンド・アルバム『BIG GIRLS DON'T CRY』から。曲については第35回を参照いただきたい(大したことは書いていないが)。

★★★★★
Vj719a

Vj719b

A) STAY (M. Williams) 63-3320
B) MY MOTHER'S EYES (Gilbert - Bear) 65-8797
THE FOUR SEASONS
Produced by Bob Crewe (Side B)
Vee-Jay VJ-719 [3/66]
45cat

正真正銘、ヴィー・ジェイからの最終シングル。サード・アルバム『AIN'T THAT A SHAME AND 11 OTHERS』からカットされた「Stay」も、シングル化は3度目となるが(第46回および第48回参照)、何故この時期に再びシングルとして出したのかは、まったく意味不明。チャート・インもしていない。

カップリングの「My Mother's Eyes」は、第62回でご紹介した偽ライヴ盤『ON STAGE WITH THE FOUR SEASONS』からのシングル・カット。フォー・シーズンズ名義にはなっているが、完全にヴァリのソロで歌われる(その理由は後述する)。アルバムでは、ニック・マーシがヴァリを紹介した後、ミュート・トランペットやソプラノ・サックスがイントロのメロディーを奏で、歌が始まるのだが、このシングルでは何ともずさんなことに、MCばかりかイントロも切れていて、歌の直前からブチッと始まる。アウトロは終止の直前で不自然にフェイド・アウト。拍手と歓声は目立たないが、カットされてはいない。レーベルはもうやる気がなかったのだろうが、このいい加減な編集にはあきれてしまう。コレクターの方以外、このシングルを探す必要はないだろう。

ただしこの曲は、ヴァリにとってとても重要な1曲である。1953年、若きフランシス・カステルッチオが、フランキー・ヴァリ(当時の綴りはFrankie Valley)を名乗って初めてリリースした曲だからである(だからここでもソロで歌われる)。コロナから出たオリジナル・シングル「My Mother's Eyes/The Laugh's On Me」(Corona 45-1234)はとても手に入らないが、第36回で紹介した初期音源編集盤のうち(3)『THE FANTASTIC FIRST YEARS』、(4)『THIS IS MY STORY - THE EARLY YEARS 1953-1959』、(5)『THE ANTHOLOGY』、(6)『TWO CLASSIC ALBUMS PLUS THE FOUR LOVERS AND RARE SINGLES』で聴ける。

映画『ジャージー・ボーイズ』でも、ヴァリ(ジョン・ロイド・ヤング)がこの歌を歌うシーンがあるが、強面のギャングのボス、ジップ・デカルロ(クリストファー・ウォーケン)の反応に注目してほしい。

1929年の映画『LUCKY BOY』の主題歌となった「My Mother's Eyes」は、ティン・パン・アレーのソングライターであるL. ウォルフ・ギルバート(作詞)とアベル・ベア(作曲)が前年に書いたフォックストロットで、主演のジョージ・ジェッセルが感情豊かに歌った。

ボストン出身で1923年に渡英したリード奏者、アル・スタリータは1928年、ピカデリー・ホテル専属のダンス・バンド、ザ・ピカデリー・プレイヤーズを率いる。この楽団がやはり1929年、コロンビアに「My Mother's Eyes」を録音しているが(歌手はハリー・シャルスン)、こちらは打って変わって軽快な演奏で、よりフォックストロットらしい。

このような古い曲を、フランキー・ヴァリがなぜデビュー曲として取り上げたかと言えば、フランク・シナトラと並んでヴァリに多大なる影響を与えたジミー・スコット(当時はリトル・ジミー・スコット)が、1951年にロイヤル・ルーストにこの曲を録音していたから、というのが大きな理由だろう。

フランキー・ヴァリの「My Mother's Eyes」はまったく売れなかったが、同年にR&B系のアルト・サックス奏者、タブ・スミスが録音したインストゥルメンタル・ヴァージョンは、1950年代後半から1960年代にかけて、ジャマイカのDJ、デューク・リードの人気ラジオ番組"Treasure Isle Time"のテーマ曲として使われ、ジャマイカではとても有名らしい。

1950年代後半以降、様々なジャンルのアーティストが、この曲を取り上げている。ソフト・トーンズ(1955年)、ピート・ルゴロ楽団(1956年)、ミルズ・ブラザーズ(1958年)、パティ・ペイジ(1959年)、ネリー・ラッチャー(1959年)、ケニー・ボール&ヒズ・ジャズメン(1961年)、ソニー・スティット(1963年)、トム・ジョーンズ(1967年)、エラ・フィッツジェラルド(1968年、メドレーの中の1曲として)、ナンシー・シナトラ(1969年)、ニール・リード(1972年)、ケヴィン・コイン(1976年)、ウィリー・ネルスン(1981年)といった具合だ。

ヴァリも1967年に、ソロ・アルバム『FRANKIE VALLI - SOLO』のために3度目の録音を果たすことになる。その際にプロモーション・オンリーのシングルも制作されるので、ヴァリの3つのヴァージョンの比較については、その盤を紹介する際に、改めて見ていくことにしよう。

(続く)

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Comments

鳩サブローさん、こんばんは。

>多くの紹介記事でフォー・シーズンズの代表曲の一つとして紹介されている
「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」

多くの記事でそんな間違いが紹介されているのでしょうか?
驚きです。恥ずかしい限りですね。

でも、予告編動画を見たら、そういう勘違いをする人が現れても当然だろうなとは思えました(苦笑)。

Posted by: JD | August 17, 2014 at 01:46 AM

JDさん、コメントありがとうございます。

そうなんですよ、日本オリジナルの予告編は音が全編「君の瞳…」ですからね、みんな知っているのはこれだろう、っていう感じで。

ただし、もともとの制作過程ではグループとソロと完全にコンセプトを分けていたとしても、今年のコンサートでも明らかなように、現在のFrankie Valli & The Four Seasonsは、もともとがグループの曲もソロの曲も同じように演奏していますから、逆にあまり目くじら立てても、という気も、しないでもありません。

いずれにしても今は、少しでも多くの人に注目してもらうことが先決かな、とも思ったりしています。

Posted by: さいとう(鳩サブロー) | August 17, 2014 at 02:12 AM

映画『ジャージー・ボーイズ』
上映映画館を調べた結果、残念ながら
九州では福岡一館のみとのことでした。
上映館が限られてるとは・・・
興行益は期待してないということですかねぇ
DVDも出るかわかんないですね

今日は地元で見られないと知って
ショックでした
今でもブツブツ!

Posted by: とぜんね | August 23, 2014 at 02:33 AM

とぜんねさん、こんばんは。

九州は福岡一館のみですか!
それはがっかりですね。
お気持ちお察しします。遅れてでもやらないんでしょうかね。

DVDは出るでしょうが、やはり劇場で観たいですものね。

Posted by: さいとう(鳩サブロー) | August 24, 2014 at 12:06 AM

こんばんは。
上映館情報は私も気になっていますが、HPに紹介されてるのは、あくまでも「前売り券を扱っている劇場」です。どの映画でも、前売り券を扱っている劇場というのは非常に限られています。
サントラがリリースされる頃にはあらためて上映館情報が載ると思います。
映画サイトの情報では、「全国公開」となっているので、これまでの前例から普通に考えても、各都道府県で上映されると思うのですが。

Posted by: Elaine’s | August 27, 2014 at 11:50 PM

Elaine'sさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。お返事遅れてすみません。
なるほど、前売り取り扱い劇場=上映劇場ではないのですね。
日頃公開情報などチェックすることがあまりないので、気付きませんでした。

上映館情報、早く知りたいものですね。

Posted by: さいとう(鳩サブロー) | August 31, 2014 at 12:06 AM

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