« フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(62) 偽ライヴ盤と「Little Boy」(全シングル紹介 その16) | Main | フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(64) 全シングル紹介 その18 »

August 13, 2014

フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(63) 全シングル紹介 その17

クリント・イーストウッド監督の映画『ジャージー・ボーイズ』の試写での評判はすこぶる好評のようで、週刊文春でも小林信彦氏が絶賛されていた。

前回もお知らせしたように、私が書いた紹介記事の掲載された雑誌「レコード・コレクターズ」9月号も本日発売されたので、ぜひご一読いただきたい(P194「イーストウッド監督が描くフォー・シーズンズの知られざる壮絶な人間ドラマ」)。

それでは、ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第17回。

★★★★★
S2015a

S2015b

A) (YOU'RE GONNA) HURT YOURSELF (B. Crewe - C. Calello) YW1-37523 #39
B) NIGHT HAWK (B. Crewe - B. Gaudio) YW1-37524
FRANKIE VALLI (side A)
THE VALLI BOYS (side B)
A Bob Crewe Production
Arranged & Conducted by "Calello"
Smash S-2015 [12/65]
45cat

第54回で紹介した「The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore)/This Is Goodbye」に続くフランキー・ヴァリのソロ第2弾シングル。1965年10月には、フォー・シーズンズの次のシングルとなる「Working My Way Back To You/Too Many Memories」が、他のアルバム収録曲と共に録音されていたが、11月録音のこちらのシングルの方が一足早く、12月に発売。チャート・アクションは、100位にすら入れなかった前作よりもはるかに良く、ビルボードのシングル・チャートで39位まで上昇した。

「(You're Gonna) Hurt Yourself」はフランキー・ヴァリのソロ名義だが、ニック・マーシから交代したチャールズ・カレロを含むフォー・シーズンズのメンバーもバック・ヴォーカルで参加している。そのカレロが作曲と編曲指揮を担当。ベースとドラムスが刻むモータウン風のグルーヴ感あふれるリズムに乗せて、ホーン・セクション、ヴィブラフォン、エレクトリック・ピアノなどがかぶさっていく。バック・ヴォーカルとの絡みはあっても、ファルセットを使わないヴァリのヴォーカルは、グループとは異なる色合いを表現している。

この曲は、1967年6月発売の『FRANKIE VALLI - SOLO』(Philips PHM 200-247[mono]/PHS 600-247[stereo])にもそのまま収録された。

カップリングの「Night Hawk」は、やはりボブ・クルー=ボブ・ゴーディオ合作だったザ・ワンダー・フー?の「Sassy」と同傾向のインストゥルメンタルで、この曲のみ、ザ・ヴァリ・ボーイズ名義となっている(アレンジはカレロ)。「Sassy」はキーボード主体だったが、こちらはギター、ベースも使われている。冒頭の"Here comes the night hawk, time to fly!"という低音の語りは、カレロだろうか。ハンドクラップと加工されたスネアの音が主体のリズムは、後年盛んになるリズムボックスの使い方を先取りしたような感じだ。終盤ではヴァリ(ファルセット)とシーズンズのメンバーによるハミングも使われている。

この曲はまったく未復刻で、このシングルでしか聴けない。YouTubeに音がアップされているので、埋め込んでおく。

★★★★★
40350a

40350b

A) WORKING MY WAY BACK TO YOU (S. Linzer - D. Randell) PHW1-37525 #9
B) TOO MANY MEMORIES (B. Crewe - B. Gaudio) PHW1-37526
THE 4 SEASONS Featuring the "sound" of Frankie Valli
A Bob Crewe Production
Arranged & Conducted by Charles Calello
Philips 40350 [11/1/66]
45cat

1965年10月、ベース&低音ヴォーカルが脱退したニック・マーシから代役のチャールズ・カレロに交代後のフォー・シーズンズとしては初のセッションが、ステア=フィリップス・スタジオで行われ、合計9曲が録音された。カレロは当然ながら、全曲のアレンジも出掛けている。これらは1966年1月に、アルバム『WORKING MY WAY BACK TO YOU』(Philips PHM 200-201[mono]/PHS 600-201[stereo])としてリリースされた。

Ph201m_1

Ph201s_1

ただし曲数が足らず、1965年3月リリースの『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』(Philips PHM 200-164[mono]/PHS 600-164[stereo])に収録されていた3曲(以下曲目の★印)がそのまま再収録された。

Side 1:
1. Working My Way Back To You (S. Linzer - D. Randell)
2. Pity (B. Crewe - M. Petrillo)
3. I Woke Up (B. Crewe)
4. Living Just For You (Nick Massi) ★
5. Beggars Parade (B. Crewe - B. Gaudio)
6. One Crown Cried (B. Crewe - S. Linzer) ★
Side 2:
1. Can't Get Enough Of You Baby (S. Linzer - D. Randell)
2. Sundown (M. Petrillo - A. Bernstein)
3. Too Many Memories (B. Crewe - B. Gaudio)
4. Show Girl (B. Crewe - B. Gaudio) ★
5. Comin' Up In The World (B. Crewe - L. Santos)
6. Everybody Knows My Name (B. Gaudio)

第57回で18枚組『CLASSIC ALBUMS BOX』収録の本アルバムのCDを紹介した際、『ENTERTAIN YOU』から3曲が再録された件について、

曲数が足りないのなら、オミットされていた「A Sunday Kind Of Love」を復活させるとか、シングル曲を入れるなどの手もあったはずだが、コンセプト(があったとは思えないが…)に合わないとでも判断されたのだろうか?

と書いたが、よくよく見てみれば、コンセプトらしきものが、ないわけではなかった。作者クレジットをよく見ると、カヴァー曲は皆無で、メンバーや周辺のソングライターによる書下ろしと思われる作品でまとめられていたのだった。

再録された3曲も同様で、すでにジャケット写真にも写っていないニック・マーシが書いた「Living Just For You」があえて選ばれたのは、大切なメンバーであり友人でもあった彼への感謝の気持ちも込められているのかも知れない。

「Pity」と「Sundown」を作曲したマイク・ペトリロはニューアーク出身、ヴァリたちの古くからの友人で、テナー・サックス奏者としてもこの後の「Opus 17 (Don't You Worry 'Bout Me)」でソロを吹いたりしている。作曲家としては、後に「Tell It To The Rain(雨に言っておくれ)」や「Electric Stories」といったシングル曲も手掛けるようになる。

その「Sundown」をペトリロと共作(作詞)したアラン・バーンスタインは、これが唯一のコラボレーション。作詞家として、フランク・シナトラやトニー・ベネットらも取り上げた「Yellow Days」(1966年出版。原曲は前年のメキシコのTVドラマ主題歌)や、チャールズ・カレロが共同プロデュースを手掛け1976年にヒットしたエンゲルベルト・フンパーディンクの「After The Lovin'」などを手掛けている。

クルーとラリー・サントス(第45回で紹介した「Candy Girl」の作者)の共作「Comin' Up In The World」は、サントス自身が1969年のアルバム『JUST A MAN』でセルフ・カヴァーすることになる。

サンディー・リンザー=デニー・ランデルの「Can't Get Enough Of You Baby」もキャッチーな曲。彼らがプロデュースを手掛けたザ・トイズでも直後に取り上げられ、1966年4月にB面ながらシングルになっている。

そして、そのリンザー=ランデルによる、「Let's Hang On!」(クルーとの合作)に続く傑作となったのが、アルバムのタイトル曲であり、A面の1曲目であり、シングル・カットされた(1966年1月11日発売)「Working My Way Back To You(君のもとに帰りたい)」である。

イントロのよく動くベース・ラインから徹底的に考え抜かれていて、全体の構成も完璧。ヴォーカル・ハーモニーにも新しさがあり、マーシからカレロへの交代がいい方向に作用したと言えそうだ。これもまた、彼らを代表する1曲である。

なお、シングルでもアルバムでも演奏時間が2:51となっているが、これは誤りで、実測では3:02ぐらいである。

ビルボードでの順位は3月5日付けの9位が最高だったが、1979年の暮れ、黒人ヴォーカル・グループのスピナーズがディスコ・アレンジでカヴァーし(プロデュースとアレンジを手掛けたマイケル・ゼーガーが書いた「Forgive Me, Girl」とのメドレー)、1980年3月にビルボードのポップ・チャートで2位、ソウル・チャートで6位の大ヒットとなった。

ボブ・ゴーディオも負けてはいない。間奏のトランペットがちょっとバート・バカラックっぽい、カップリングの「Too Many Memories」(クルーとの合作)も面白い曲で、彼の作風も確実に進化していることがわかる。

この曲ではヴァリはほとんどファルセットを使わず、地声で通しているが、ソロっぽいかと言われればまったくそんなことはない。やはりグループとソロとでは、アプローチは明確に違うのだ。実験精神というか遊び心のようなものが、この時期のフォー・シーズンズの曲には時々現れるのだ。

(続く)

|

« フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(62) 偽ライヴ盤と「Little Boy」(全シングル紹介 その16) | Main | フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(64) 全シングル紹介 その18 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/35335/60141848

Listed below are links to weblogs that reference フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(63) 全シングル紹介 その17:

« フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(62) 偽ライヴ盤と「Little Boy」(全シングル紹介 その16) | Main | フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ(64) 全シングル紹介 その18 »