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July 21, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(61) 全シングル紹介 その15

9月27日に日本公開になる映画『ジャージー・ボーイズ』日本語版公式サイトが、オープンしている。今のところ予告編が観られるだけだが。

以前ご紹介したサウンドトラック盤ならぬイメージ・アルバム『ジャージー・ボーイズ』の国内発売も9月10日に決定したようだ。このワーナーミュージックのサイトに掲載されているジャケット写真は、私が「映画『Jersey Boys(ジャージー・ボーイズ)』“サントラ”盤到着!」の回などで紹介したものと違い、“COCKTAILS BAR”という赤いネオンサインなどの写った別ヴァージョンとなっている。実際に2種類のジャケットがあるのか、現物を見ていないので何とも言えない。

それでは、1か月ぶりになってしまったが、第55回以来となる、ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介、今回は15回目だ。

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A) DON'T THINK TWICE (Bob Dylan) PHW1-37272 #12
B) SASSY (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-37273
THE WONDER WHO?
Produced by Bob Crewe
Arranged & Conducted by "Calello" (side A)
Philips 40324 [30/9/65]
45cat

ボブ・ディランが1962年に書き、1963年5月リリースのセカンド・アルバム『THE FREEWHEELIN' BOB DYLAN』に収録された「Don't Think Twice, It's All Right(くよくよするなよ)」は、ディランの先輩格にあたるフォーク歌手ポール・クレイトンが1960年にリリースした「Who's Gonna Buy You Ribbons (When I'm Gone)」からメロディの一部を借用したとも言われている。

1963年秋にはピーター・ポール&マリーによるカヴァーも全米9位のヒットとなり、ほかにも多くの歌手にカヴァーされている。ディラン自身もライヴでよく歌っている人気曲だ。

前々回前回とご紹介してきたアルバム『THE 4 SEASONS SING BIG HITS BY BURT BACHARACH... HAL DAVID... BOB DYLAN』(Philips PHM 200-193 [mono]/PHS 600-193 [stereo])に収めるべく、フォー・シーズンズでこの曲を録音することになったが、フランキー・ヴァリはいくらテイクを重ねても、その出来に満足することができなかった。そこでスタジオの緊張をほぐそうと、例のローズ・マーフィーばりのおふざけっぽいファルセットで録音してみることにしたのだ。曲を注意深く聴けば、特に2:00から2:09のあたり、地声で歌っていた時の録音が消去しきれずにかすかに残っているのがわかる。UK鑑賞団体セッショングラフィーによれば、録音日はアルバムの他の収録曲の録音前日にあたる1965年9月14日である。

この録音を聴いたフィリップスの重役の一人が、シングルで出すべきだと提案。ところがこのシングルは、ザ・フォー・シーズンズでも、もちろんフランキー・ヴァリのソロでもなく、ザ・ワンダー・フー?(「誰でしょう?」の意)という匿名でリリースされた。

ピクチャー・スリーヴにはタイトルは表記されず、「ザ・ワンダー・フー?は誰でしょう」と書かれていた。その下には点つなぎが配置され、点をつないでいくと"We are your favorites"という文字が浮かび上がる仕組みになっていた。レーベルに記載された曲名も匿名性をいくらか強調するかのごとく、後半の"It's All Right"が省かれて「Don't Think Twice」となっていた(当時の邦題も同様に「くよくよするなよ」ではなく「ドント・シンク・トワイス」)。

ここで問題。ザ・ワンダー・フー?という名称が使われた理由は、次の3つのうちのどれでしょう。

(1) フィリップスが、ほぼ同時発売の「Let's Hang On!」で新たに確立しようとしているフォー・シーズンズのイメージが崩れてしまうと考えたから。

(2) フォー・シーズンズという名前をあえて使わずに、曲のインパクトだけでヒットさせることができるか実験したかったから。

(3) 契約上の理由により、この曲をリリースするにあたってフォー・シーズンズという名称が使えなかったから。

これは3つともネットで検索して見つかった「理由」なのだが、実はどれが正解なのか、あるいは複数の理由が絡んでいるのか、私にもよくわからない。どなたか正解をご存知の方がいらしたら、教えていただきたい。

いくら名前を隠したところで、フランキー・ヴァリの特徴ある歌声は、誰が聴いても間違いようがなかった。フォー・シーズンズのバック・コーラスも普段と変わりがなく、確信犯的アプローチだったとすら言える。9月30日にリリースされたシングルは、シリアスなディラン・ファンには評判が悪かったようだが、結果的にビルボードのポップ・チャートで12位まで上昇。アルバムにも、?マークなしのThe Wonder Who名義でそのまま収録された。

音楽記者のジョン・ブリームによれば、ボブ・ゴーディオは1980年(引用記事の“1990年”は誤り)、ニール・ダイアモンドが自ら主演した『THE JAZZ SINGER』のサウンドトラックをプロデュースしていた時に、ニールからボブ・ディランを紹介されたのだと言う。「彼のそんなにふざけていない‘Don't Think Twice, It's All Right’を、ワンダー・フーでとてもふざけたヴァージョンにしてしまったことを詫びたんだ。彼はこう答えたよ、『初めて聴いた時、それが自分の曲だなんて思いもしなかった』ってね」

カップリングの「Sassy」は、このB面のためだけに用意された、初のインストゥルメンタル。ボブ・クルー=ボブ・ゴーディオの合作となっているが、ほとんどスタジオで即興で演奏されたと思われる12小節のブルースっぽいナンバーで、アレンジャー名のクレジットもない。オルガン(ベース音も)とエレクトリック・ハープシコードもしくはプリペアド・ピアノ(?)、ドラムス(タムとスネアのみ)とハンドクラップで組み立てられたグルーヴィーな小品である。

この曲は、第11回で触れたように、1996年に日本のリアル・ミュージック・カンパニーがリリースしたオムニバスCD『US SOFT POP RARITIES』(Real Music RMD-1002)に板起こしで収録されたことがあるのみで、正規には復刻されていない。もちろんステレオ・ヴァージョンは存在しない。

(続く)

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July 12, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(60) バカラック=デイヴィッド=ディラン作品集 その2

前回に引き続いての『THE 4 SEASONS SING BIG HITS BY BURT BACHARACH... HAL DAVID... BOB DYLAN』(Philips PHM 200-193 [mono]/PHS 600-193 [stereo])のご紹介、今回はB面のディラン・サイドに移る。

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今更言うまでもないことだが、1965年はボブ・ディランにとって重要な年だった。1月には(A面のみだが)ロック・バンド編成で録音された初のアルバム『BRINGING IT ALL BACK HOME』を録音し、3月22日に発売。そして6月22日に発売された記念碑的シングル「Like A Rolling Stone」は演奏時間6分という異例の長さながら、9月4日付ビルボードで2位まで上がる大ヒットとなった。同曲をA面トップに据えた『HIGHWAY 61 REVISITED(追憶のハイウェイ61)』は8月30日にリリースされベストセラーを記録、翌年の『BLONDE ON BLONDE』などと並んで、ディランの最高作のひとつに数えられている。

本人の活動のみならず、ピーター・ポール&マリーによる「Blowin' In The Wind(風に吹かれて)」などのカヴァーがフォーク時代のディランを有名にしたように、ロック期に突入した彼のステイタスを後押ししたのも、さまざまなカヴァーだった(その本質を明確に捉えているかは別にして)。

もちろん代表に挙げられるのは、ザ・バーズの「Mr. Tambourine Man」だろう。ディランはこの曲を1964年に書き、アルバム『ANOTHER SIDE OF BOB DYLAN』にランブリン・ジャック・エリオットとのデュオで収録しようとしたが、気に入った出来にならず断念(現在は『THE BOOTLEG SERIES VOL. 7: NO DIRECTION HOME - THE SOUNDTRACK』に収録。改めてデュオではなくソロで録音し直した公式ヴァージョンは次の『BRINGING IT ALL BACK HOME』に収録)。8月にこのボツ録音のアセテート盤をディランの出版社から入手したのがジム・ディクスンだった。

西海岸のジャズ・レーベル、ワールド・パシフィックのプロデューサーとして業績を上げ、録音スタジオをある程度自由に使える権利を得たディクスンは、スタジオの空き時間に自分で見つけてきたフォーク・ミュージシャンのレコーディングを始める。その最初のひとりがデイヴィッド・クロスビーで、最初の録音はうまくいかなかったが、クロスビーが次に連れてきたのがジム(後のロジャー)・マグウィンとジーン・クラークだった。3人はザ・ジェット・セットを名乗って活動を開始、やがてクリス・ヒルマンとマイケル・クラークが加わり、ザ・ビーフィーターズを経てザ・バーズを名乗ることになる。ディクスンは彼らのマネージャーとなり、1964年いっぱいをかけてワールド・パシフィック・スタジオでデモ・テープを制作していく。

ディクスンから提案された「Mr. Tambourine Man」の録音に、当初メンバーたちは乗り気ではなかったようだが、完成したデモ音源は、発掘盤『PREFLYTE』などで聴くことが出来る。マグウィンの弾くリッケンバッカー12弦ギターの印象的なイントロなどはすでにこの時点で完成していた。

そして大手コロンビアとの契約に成功、プロデューサーには若きテリー・メルチャーが起用され、ザ・バーズのデビュー・シングルとなる「Mr. Tambourine Man」は1965年1月20日に録音された。マグウィンのギターとヴォーカル、クロスビーとジーン・クラークのヴォーカル・ハーモニー以外はスタジオ・ミュージシャン(リオン・ラッセル、ハル・ブレインらいわゆるレッキング・クルーの面々)が起用され、メルチャーがサーフィン/ホット・ロッドの手法を応用して仕上げたこの曲は、4月12日にリリースされ6月26日付ビルボードで見事第1位に輝く。

ビートルズとフォークと西海岸ポップスの要素をバランスよく融合させたザ・バーズの「Mr. Tambourine Man」は、フォーク・ロックの扉を開けた。

夫(当時)のソニー・ボノとのデュオ、ソニー&シェールでも活躍していたシェールは1965年5月、ソロとしてのデビュー・シングル(それ以前にも別の名前ではシングルを出していた)で「All I Really Want To Do」(オリジナルは『ANOTHER SIDE OF BOB DYLAN』収録)をカヴァー(プロデュースとアレンジはソニー・ボノ)、8月28日付ビルボードで15位まで上昇した。ザ・バーズのセカンド・シングルも同じ「All I Really Want To Do」で、奇しくも競合する形になったが、遅れて6月14日にリリースされたバーズの方は40位止まりだった。

続いてザ・タートルズが「It Ain't Me Babe」(これもオリジナルは『ANOTHER SIDE OF BOB DYLAN』収録)のカヴァーで7月にデビュー、同曲は9月にビルボードで8位を記録した。

この後も、10月にザ・グラス・ルーツ(当時はまだP. F. スローンとスティーヴ・バリの覆面プロジェクトで、バンドとしての実体はなかった)が「Mr. Jones (A Ballad Of A Thin Man)」でデビューするなど、ボブ・ディランのカヴァーでデビューというパターンが続く。

このように、ボブ・ディラン作品を取り上げることは1965年のトレンドであったわけで、ボブ・クルーがカヴァー集を作ろうと考えるのも無理からぬことではあった。シングルとなった「Don't Think Twice」の紹介は次回に回すことにして、それ以外の曲目を見てみると、まず1曲目にヒット曲ではない「Queen Jane Approximately」が置かれている点が注目に値する。

この「Queen Jane Approximately」は、雑誌「レコード・コレクターズ」2006年2月号の鈴木カツ氏の解説によれば、「英国に伝わるトラッド(チャイルド・バラッド170番)を素材として、ディランが書き下ろしたバラッド」。ディランは発表当時、「クイーン・ジェーンとは誰?」というノーラ・エフロン(当時は記者、後に脚本家/映画監督)の質問に「男だよ」と答えたらしいが、当時微妙な関係にあったジョーン・バエズのことを指しているという説も有力だ。

マイク・ブルームフィールドのギター、アル・クーパーのオルガン、ポール・グリフィンのピアノなどをフィーチャーし、「Like A Rolling Stone」の流れを汲むラフなロック・サウンドに仕上げられたディランのオリジナルは、ニューヨークのコロンビア・スタジオで1965年8月2日に録音された。後に「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」のカップリングとしてシングルにはなるのだが(1966年2月)、当初はアルバム『HIGHWAY 61 REVISITED』に収録。冒頭に記したように、このアルバムがリリースされたのは8月30日である。この日付が実は重要だ。

ボブ・クルーやフォー・シーズンズたちは、ディランやその周辺と直接的な交流があったわけではないだろうから(双方のレコーディング・セッションに参加しているスタジオ・ミュージシャンなら複数いるが)、発売前にこの曲の音源を耳にしていたことは考えにくい。となると、マトリクス番号の少しだけ若い「Don't Think Twice」はともかく、それ以外の『THE 4 SEASONS SING BIG HITS BY BURT BACHARACH... HAL DAVID... BOB DYLAN』収録曲(11曲のマトリクス番号は連番になっている)が録音されたのは、やはり9月15日で正しいのではないか。このアルバムは、ニック・マーシの参加した最後のアルバムであるから、第55回で疑問を呈したマーシの脱退時期について、6月説は完全に覆されたと見ていいだろう。

いずれにしても「Queen Jane Approximately」を取り上げたことは、『SING BIG HITS』というタイトル通りにヒット曲ばかりを集めたアルバムの中で、唯一の意外な選曲ということになる。なにしろディラン自身、1987年のグレートフル・デッドとの共演まで、ほとんどライヴでは歌っていなかったようだし、カヴァーも少なく、ザ・デイリー・フラッシュというシアトル出身のバンドが1966年7月のデビュー・シングルで取り上げているぐらいだからだ。

ザ・バーズの「Mr. Tambourine Man」でロジャー・マグウィンが弾いた例の印象的なイントロのギター・フレーズをこの曲のイントロに当てはめ、「Let's Hang On!」のあのファズ・ギターの音色で処理をするという、カレロによる手の込んだアレンジが面白い。そして、ディラン・サイドではこの曲のみ、フランキー・ヴァリはファルセットを使っていない。

続いて「Mr. Tambourine Man」の登場だが、イントロのギターは控えめで、ヴァリのファルセットがかぶさってくる。ここがこのアルバムで初めてファルセットが登場する瞬間なのである。以降、ディラン自身がヒットさせた「Like A Rolling Stone」、シェールやザ・バーズがカヴァーしていた「All I Really Want To Do」と、それぞれのカヴァーの音の傾向は比較的似ている。

ファルセットと地声を使い分けたヴァリのヴォーカルにバック・コーラスが絡み、バディ・サルツマンの腰の据わったドラムスを柱に、様々な楽器が有機的に組み合わさっていくそのサウンドは、いつものフォー・シーズンズらしいもの。オリジナル・アレンジを尊重していることもあってキーボード主体だったバカラック・サイドと比較して、ギターの比重が高くなっているのは、フォーク・ロックであるからして当然。

ここで主にギターを弾いているのは、スタジオ・ミュージシャンのアル・ゴーゴーニやヴィニー・ベル(第8回参照)あたりだと思われるが、考えてみればゴーゴーニはディランのセッション(『BRINGING IT ALL BACK HOME』)にも参加していたので、そのテイストを盛り込むことは容易だったように思われる。なおゴーゴーニは、バイオグラフィーによれば「Sherry」以降、フォー・シーズンズの多くのセッションに参加していたようである。

最後の「Blowin' In The Wind」はおなじみの曲で、ピーター・ポール&マリー以外にもジャッキー・デシャノン、ボビー・ダーリン、ザ・ステイプル・シンガーズ(以上1963年)、マリアンヌ・フェイスフル、サム・クック(以上1964年)などがカヴァーしている。スティーヴィー・ワンダーのヴァージョンは1966年にヒットしポップ・チャートで9位、R&Bチャートで1位となるが、フォーク・ロック・アレンジのものとしてはフォー・シーズンズが最初ではないだろうか。

いよいよ次回はザ・ワンダー・フー?名義の「Don't Think Twice」を紹介する。

(続く)

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フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(59) バカラック=デイヴィッド=ディラン作品集 その1

第55回「Let's Hang On!/On Broadway Tonight」に続いてご紹介するシングルは、ザ・ワンダー・フー?「Don't Think Twice/Sassy」となるのだがその前に、「ボブ・ディランの47枚組BOX(その4)」の回でも簡単に触れた、このA面曲を含むアルバム『THE 4 SEASONS SING BIG HITS BY BURT BACHARACH... HAL DAVID... BOB DYLAN』(Philips PHM 200-193 [mono]/PHS 600-193 [stereo])をご紹介しておこう。

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Side 1 (B. Bacharach - H. David):
What The World Needs Now Is Love
Anyone Who Had A Heart
Always Something There To Remind Me
Make It Easy On Yourself
Walk On By
What's New Pussycat?

Side 2 (B. Dylan):
Queen Jane Approximately
Mr. Tambourine Man
Like A Rolling Stone
Don't Think Twice
(The Wonder Who)
All I Really Want To Do
Blowin' In The Wind

内容については、タイトルや曲目からも判るように、A面がバート・バカラック=ハル・デイヴィッド、B面がボブ・ディランのカヴァー集である。当初はディラン作品単独の企画だったものが、理由は定かではないが、この組み合わせに変更されたらしい。1965年11月に発売されたが、ビルボード・アルバム・チャートでの最高が106位と、フィリップス移籍後のアルバムとしては過去最低の結果に終わってしまった。

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売れなかった割に、彼らのフィリップス盤としては異例のことだが、レコード番号と盤はそのまま、1970年頃にジャケット・デザインが変更されている(参加していないジョー・ロングが写っている。ステレオ盤のみ)。この再プレス盤はレアだが、デザインは1988年のライノからの再発盤に流用されている。

アルバムの全曲をアレンジし指揮したチャールズ・カレロは、このアルバムについてこう語っている(原文はこちらの7ページ下から8ページ上に掛けて)。

「バカラックとディランの大失敗作は、私には理解できなかった部類のものだ。シーズンズはディランとはまるで無関係だったし、バカラックを歌えるほど音楽的に洗練されてもいなかった。これは私の意見だが、彼らはあのアルバムを決してリリースすべきではなかった。何かしらの契約上の問題を解消するためだったのかどうかは知らないが、私には悪いやり方としか思えなかった。ディランのカヴァーはボブ・クルーの発案だ。あれをやりながら、ばかげたアイディアだと思ったよ。私たちはフォーク・グループではなかったし、フォーク・ソングを聴く大学生のようなタイプでもなかったからね。私たちは基本的には学歴の低い、ストリート出身のイタリア系だった。60年代の若者たちが興味を持っていることについて、私たちもちょっと気にかけることだって出来たはずだ。どっちの方向に進んでいくのか、当時のフォー・シーズンズが真剣に考えていたとは思えない。彼らはヒットを放つことだけに注意を払っていた。60年代、ボブ・ディランとバート・バカラックは、モータウンの連中以上に人気のあるソングライターだった。クルーからそのアイディアの価値を説得されて、彼らはついて行ったんだろうね。そのアイディアがフランキーやボブ(・ゴーディオ)から出たとは、まったく考えられないよ」

当事者からの、かなり辛辣な意見である。当時のカレロが実際にこんな風に感じながら仕事をしていたとすれば、それはそれでプロフェッショナルとして立派だったと言うこともできるのかも知れないが…。

ただ、これが1965年の出来事と考えると、ディラン=フォークという図式で捕らえること自体に、すでに無理が生じ始めていたのではないか(当のカレロは、しっかりと時代/流行を見据えたフォーク・ロック・サウンドに仕上げている)。フォーク云々を言うのであれば、むしろピート・シーガーの「Where Have All The Flowers Gone(花はどこへいった)」やフィル・オクスの「New Town」(本人は正式に録音しておらず、後に復刻された1963年のデモ音源のみが存在していた)を含む1964年2月のアルバム『BORN TO WANDER』こそが当てはまるのではないか。決して悪いアルバムではないが、それこそブームに便乗したような居心地の悪さを感じてしまうのだ(アコースティック・ギターなど生楽器類の響きがきれいに捕らえられずに歪んでしまった録音のせいもありそうだが)。

一方のバカラックはどうだろうか。メロディやコード進行などに見られる“洗練”が、当時のフォー・シーズンズと相容れない要素だったとは、ちょっと思えない。秘蔵っ子だったディオンヌ・ワーウィックはもとより、後で紹介するルー・ジョンスンのようなR&B系の歌手、あるいはトム・ジョーンズにしても、ソウルフルだったりパワフルだったりもしているわけで、要はバランスの問題。あるいはアプローチ次第。フィル・スペクターもモータウンも大胆に呑み込んできた彼らにとって、踏み込めない聖域というわけでは決してなかっただろう。実際にこのアルバムの後も、グループやフランキー・ヴァリのソロでバカラックをカヴァーしたりしているのだから。

問題があるとすれば、組み合わせの悪さだろう。それぞれが素材としては充分に魅力的だとしても、方向性の大きく異なる2組を並べて取り上げようとすれば、アルバムとしてのイメージはぼやけてしまう。そのことが災いしたように思えてならない。それだけに、当初ディランのみのカヴァー企画だったものが、なぜバカラック=デイヴィッド作品とのスプリットという形になったのか、その理由が知りたいところだ。

まずはA面に収められたバカラック=デイヴィッド作品について。

バート・バカラックは1962年2月、作曲とアレンジを手掛けたザ・ドリフターズ「Mexican Divorce」(作詞はハル・デイヴィッドではなくボブ・ヒリアード)の録音スタジオにいた。そのセッションに参加していたうちのひとりがディオンヌ・ワーウィックで、力強さと繊細さを併せ持ったその声がいたく気に入ったバカラックは、彼女をデモ録音のための歌手に起用した。最初に録音したのが「Make It Easy On Yourself(涙でさようなら)」である。このデモ録音を気に入り、バカラックに編曲まで依頼したのがR&B歌手ジェリー・バトラーで、6月にヴィー・ジェイからリリースされたシングルはビルボードのポップ・チャートで20位、R&Bチャートでは18位まで上昇した。

セプターと契約したディオンヌは、「Make It Easy On Yourself」でデビューすることを熱望していた。ところが、すでにバトラーがレコーディングしてしまったことをバカラックとデイヴィッドから聞かされると大きなショックを受け、捨て台詞を吐いて飛び出していった。するとデイヴィッドは「おい、今の言葉は新曲のタイトルになるぞ」とバカラックに告げ、早速曲作りを開始。それが実際に彼女のデビュー曲となった「Don't Make Me Over」で、10月に発売されると全米21位を記録した。

ちなみに、「Make It Easy On Yourself」のディオンヌによるデモ録音は彼女の1963年のファースト・アルバム『PRESENTING DIONNE WARWICK』にそのまま収められ、改めて1970年のライヴ録音がシングルとなった。1965年にはザ・ウォーカー・ブラザーズがカヴァーし、9月に全英で1位、12月に全米で16位のヒットとなっている。

1963年にやはりディオンヌがデモ録音していた「(There's) Always Something There to Remind Me(愛の想い出)」(フォー・シーズンズの盤では"(There's)"が取れている)は、R&B歌手のルー・ジョンスンが1964年7月にシングルとしてリリース。それまでにも「Reach Out For Me」などのバカラック作品を歌っていたものの、ヒットに恵まれなかったジョンスンは、この曲もチャートの49位に送り込むのがやっとだった。実力はありながら、タイミングが合わなかったのだ。

翌1964年9月、イギリスの女性歌手サンディ・ショウがカヴァーし11月に全英1位に輝く。南アフリカやカナダでも1位となるなど各国でもヒットを記録したが、何故か全米では52位と惨敗。1983年になり、エレクトロ・ポップ・デュオのネイキッド・アイズによるカヴァーが初めて全米で10位まで到達した。

「Anyone Who Had A Heart」「Walk On By」はどちらもディオンヌ・ワーウィックのためのオリジナルで、1963年11月リリースの前者は全米8位、1964年4月リリースの後者は同6位と、どちらも大ヒットを記録している。

「What The World Needs Now Is Love(世界は愛を求めてる)」は1965年、ディオンヌのために書かれた曲だが、彼女が断ったため、ジャッキー・デシャノンが3月23日に録音。4月15日にリリースされたシングルは5月にビルボードで7位まで上昇した。ディオンヌも結局翌年にこの曲を録音している。

「What's New Pussycat?(何かいいことないか子猫チャン)」は、1965年6月公開の同名コメディ映画主題歌としてトム・ジョーンズが歌った。同月にリリースされたシングルは全米3位と、これも大ヒット。

当時も今もバカラックの人気作に数えられるような曲ばかり6作品が選ばれていたわけだが、カレロの施したアレンジは、驚くほど原曲に忠実で、逆に言えば、それまでのフォー・シーズンズにしばしば見られた意外性のあるアレンジとは程遠いものだった。

そして、フランキー・ヴァリはこの6曲で一切ファルセットを使わず、地声で歌い通している。これこそ「意外性」と言うべきだろうか。それだけに、グループよりもヴァリのソロに近い雰囲気とも言える。

なお、第57回にも書いたとおり、「What The World Needs Now Is Love」のモノラル・ヴァージョンには入っているギターの最初の一ストロークが、すべてのステレオ・ヴァージョンでは欠けてしまっている。つまり、

♪ジャーッ ジャジャジャッ ジャッ ジャッ ジャジャッ

の頭の「ジャーッ」がなくて「ジャジャジャッ」から始まっているのである。

(続く)

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July 09, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(58) 18枚組BOX続報その3

フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの『THE CLASSIC ALBUMS BOX』(Rhino/Warner Music 8122795939)の内容紹介、残りは4枚だ。

[15] WHO LOVES YOU
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Original LP: Warner Bros./Curb (11/1975)
CD releases: BR Music (1988) / Curb (1995)

モーウェストからの『CHAMELEON』以来3年半ぶりのアルバムとして、新たに契約したワーナー・ブラザーズ/カーブからThe Four Seasons名義でリリース。プロデュースはボブ・ゴーディオ。メンバーはフランキー・ヴァリ、ボブ・ゴーディオ(レコーディングのみで、ステージには立たない)のほか、ジェリー・ポルチ(ds)、ドン・シコーニ(b)、リー・シャピーロ(kbd)、ジョン・パイヴァ(g)。

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リリース直前に曲順が変更されたようで、米国オリジナル盤LPの曲目表記は実際の曲順と異なっている。

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今回のBOXのスリーヴには正しい曲順で表記。LPのインナー・スリーヴには歌詞が印刷されていたが、今回再現はなし。

[16] HELICON
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Original LP: Warner Bros./Curb (4/1977)
CD releases: BR Music (1988) / Collectors' Choice Music (2006)

[15]と同じ布陣によるワーナー/カーブ第2弾。この時期ソロ・アルバムを連発していたヴァリは、本作には9曲中5曲しか参加していない。

アナログ盤はゲートフォールド・ジャケットで、見開き左側に歌詞と詳細なクレジットが印刷されていたが、今回のスリーヴでは再現されなかった。

[17] STREETFIGHTER
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Original LP: Curb/MCA (8/1985)
CD releases: Curb (1991) / Collectors' Choice Music (2006)

スタジオ録音としては実に8年ぶりとなったアルバム。名義はFrankie Valli and The Four Seasons。ジャケット写真には当時のメンバーが写っているが、表の写真だと暗くて顔がよく判らない。裏ジャケの写真では右からラリー・リングル(g)、リン・ハンマン(ds)、チャック・ウィルスン(per)、レックス・ロビンスン(b)、ロビー・ロビンスン(kbd)、ロビン・スヴェンスン(kbd)の順に並んでいる(もちろん手前のヴァリは除く。クレジットはなし)。

ところが実際に録音に参加しているのは、“影のメンバー”ゴーディオのほかはレックス・ロビンスンとリングル(バック・ヴォーカルのみ)だけで、あとは旧メンバーのジェリー・コルベータとジェリー・ポルチのほかはスタジオ・ミュージシャンたちでまかなっている。ブロデュースはサンディー・リンザーが5曲、ゴーディオが2曲、ボブ・クルー&ジェリー・コルベータが1曲と、曲ごとに分担し、ゴーディオがイグゼクティヴ・プロデューサーを務めた。

[18] HOPE + GLORY
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Original CD: Curb (9/1992)
Reissue CD release: Collectors' Choice Music (2006)

フォー・シーズンズとしては現在に至るまで“最新”のオリジナル・アルバム。名義は"The"のない、Four Seasons。1992年のアルバムなのでアナログ盤はなく、最初からCDのみでリリースされている。オリジナルCDのブックレット内側には詳細なクレジットが掲載されていたが、今回のBOXでは省かれている。

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このように、かろうじて盤面に各曲の作者名が表記された以外、情報が何もないという困った状態。なので、オリジナル盤のクレジットを載せておく。

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[17]以降のメンバー・チェンジについて触れておくと、ハンマンの脱退後ポルチが一時復帰したが、結局やめたため、ウィルスンをパーカッションからドラムスへとコンバート。キーボードがスヴェンスンからティム・ストーンに交代している。

本作は、プロデューサー、メイン・コンポーザーのゴーディオがキーボードからドラムのプログラミングまで音作りのかなりの部分を手掛けている。それだけに、同年のアトランティック・シティ公演のDVDでその演奏が確認できる当時のバンドのサウンドとは傾向がまるで異なるが、作りは丁寧で統一感もあり、[17]のようなバラけた感じはしない。そしてバック・コーラスにはメンバー全員が参加している。

前作同様コルベータやポルチも協力しているほか、[17]ではまったく出番がないままにグループを去ったスヴェンスンが、ここでは「Learn How To Say Goodbye」で一部分のリード・ヴォーカルを担当したり、「The Girl Of My Dreams」がゴーディオとの共作だったりと活躍している。

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以上全部で18タイトル、一通りチェックし終えた。さすがに収録曲目のミスは、【速報】の回第56回前回とご紹介したとおり、カーブ盤に由来する『RAG DOLL』『NEW GOLD HITS』の2枚以外にはなかったが、最低でもこの2枚は作り直して交換してもらわなければならない。まだライノからの返事はないのだが。

そういえば、ファクトリー・シールの上に貼られたステッカーには、「Will You Love Me Tomorrow?」の文字もあった。

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オリジナル・アルバム未収録のこの曲がここに載っている時点でダメでしょう。

(続く)

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フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(57) 18枚組BOX続報その2

(10月3日追記:『NEW GOLD HITS』の曲目修正盤が届いたので、その旨追記。同アルバムに一部確認ミスもあり訂正した)

フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの『THE CLASSIC ALBUMS BOX』(Rhino/Warner Music 8122795939)の内容紹介を続ける。

[09] THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU
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Original LP: Philips (3/1965)
CD releases: Ace (1995) / Collectors' Choice Music (2006)

第53回でご紹介したように、このアルバムの初期プレスには、ラストの曲として「A Sunday Kind Of Love」が収録されていたが、すぐにシングル曲「Toy Soldier」に差し替えられた。ここではその差し替え後のエディションが採用されている。両曲を含むエース盤CDについては[11]の項参照。

スリーヴは、第53回でご紹介した青いステッカーが貼られたセカンド・プレスより後の、FEATURES THE NEW HITS TOY SOLDIER AND BYE BYE BABYと直接印刷されたサード・プレスのジャケットを元にしている。

全曲ステレオで、「Big Man In Town」は通常のステレオ・ヴァージョンで収録。

[10] THE 4 SEASONS SING BIG HITS BY BURT BACHARACH... HAL DAVID... BOB DYLAN
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Original LP: Philips (11/1965)
CD releases: Rhino (1988) / Ace (1996)

A面がバート・バカラック=ハル・デイヴィッド作品、B面がザ・ワンダー・フー?名義の「Don't Think Twice」を含むボブ・ディラン作品で構成された、ニック・マーシ最後の参加作。今回のスリーヴは、デザインが一部変更されたセカンド・プレスを元にしている。

全曲ステレオで特にヴァージョン違いはないが、モノラル・ヴァージョンには入っている「What The World Needs Now Is Love」のギターの最初の一ストロークが、ステレオ・ヴァージョンでは欠けている(LP、CDとも)。

[11] WORKING MY WAY BACK TO YOU
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Original LP: Philips (1/1966)
CD releases: Rhino (1988) / Ace (1995) / Collectors' Choice Music (2006)
(Badly) edited CD release (as "LET'S HANG ON"): Curb (1995)

ニック・マーシの脱退後、助っ人としてチャールズ・カレロが参加していた間に制作されたアルバムだが、「Living Just For You」「One Crown Cried」「Show Girl」の3曲は、[09]収録のものがそのまま再録されている。曲数が足りないのなら、オミットされていた「A Sunday Kind Of Love」を復活させるとか、シングル曲を入れるなどの手もあったはずだが、コンセプト(があったとは思えないが…)に合わないとでも判断されたのだろうか?

その[09]との2 in 1だったエース盤CDは、ボーナス・トラック扱いだが「A Sunday Kind Of Love」を12曲目、「Toy Soldier」を13曲目に収録、[11]のパートは冒頭にアルバム未収録シングル「Girl Come Running」「Let's Hang On」を置き、[09]と重複する3曲を抜いた9曲に続けるという好編集だった。エース盤では「Too Many Memories」がモノラルと表記されていたが、正しくステレオ・ヴァージョンで収録。

『LET'S HANG ON And More Great New Hits』と改題されたカーブ盤CDは、[09]とのダブリ曲はそのまま、「I Woke Up」を「Let's Hang On」に、「Can't Get Enough Of You Baby」を[09]収録の「Little Darlin'」に、「Sundown」を「Opus 17」に、「Comin' Up In The World」を「My Prayer」(これも[09]収録曲)にそれぞれ差し替えるという、訳のわからない編集がなされていた。

さすがに今回のBOXはオリジナル通りの曲目で、カーブ盤の轍を踏んではいないが、なぜかこの盤のみ音量レヴェルが低く、迫力が足りない。

[12] NEW GOLD HITS
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Original LP: Philips (5/1967)
CD release: Ace (1996)
(Badly) edited CD release: Curb (1995)

オリジナル・アルバムとしては1年4か月ぶりと、それまでのペースから考えると非常に長いインターヴァルを経てリリースされた、ジョー・ロング参加後初のアルバム。モノラル盤とステレオ盤の両方で発売されたのは、フォー・シーズンズとしてはこれが最後(本当の最終はこれの翌月リリースのフランキー・ヴァリのファースト・ソロ)。

「Tell It To The Rain」の2コーラス目が終わった後のバック・コーラスとの絡みの部分、

(Tell it baby) yeah
(Tell it baby) yeah
(Tell it baby)
Yeah, yeah, yeah, yeah
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah

このYeah...の2行目のところ、シングルやモノラル盤LPに収録の通常ヴァージョンや『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』収録のエコーの深いステレオ・ヴァージョンでは、音程を上げて盛り上げていくのだが、ステレオ・アルバム・ヴァージョンでは、同じ音の高さ、同じ調子のままYeah, yeah, yeahとあと3回(1行目と合わせて7回)続けてあっさり終わっている。これは今回のBOX収録ディスクにもそのまま採用されている

(10月3日追記:これは私の確認ミスで、収録されているのはシングル・ヴァージョンのステレオ・ミックスだった。お詫びして訂正する)

【速報】の回でも問題にした通り、今回誤ってカーブ盤のマスターが使用されたと思われ、「I'm Gonna Change」がザ・ワンダー・フー?の「Don't Think Twice」に、「Dody」「Will You Love Me Tomorrow」に、ザ・ワンダー・フー?の「Lonesome Road」「Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)」にそれぞれ差し替えられてしまっている。

(10月3日追記:9月中旬以降の出荷分から正しい曲目に修正済み)

これもお伝えしたとおり、「C'mon Marianne」がステレオの左右チャンネルが逆になってしまっているが、やはりカーブ盤の編集時にミスったのだろう。

[13] THE GENUINE IMITATION LIFE GAZETTE
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Original LP: Philips (1/1969)
CD releases: Rhino (1988) / Ace (1996) / Collectors' Choice Music (2006)

フランキー・ヴァリのソロ2タイトル、編集盤『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』を挟んでリリースされた、初のコンセプト・アルバム。初めてボブ・クルーの手を離れ(アシストはしている)、ボブ・ゴーディオがプロデュースも手掛けた。

エース盤は2 in 1ではなく、アルバム+ボーナス・トラック(シングル曲)4曲の構成だった。

LPは6面変形ジャケットと8ページ・ブックレット付だったが、さすがに再現はされず(エース盤の蛇腹型ブックレットには、画質は荒いが全ページ分が掲載されていた)、今回はゲートフォールド・スリーヴ(内側は、6面ジャケットを最初に開いた状態)仕様での収録となった。

ジャケットやブックレットの各面に散りばめられて掲載されていた歌詞をゲートフォールドの内側にまとめて掲載した後期プレスのLPもあるので、またいずれご紹介したい。

[14] HALF & HALF
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Original LP: Philips (4/1970)
CD releases: Ace (1996) / Collectors' Choice Music (2006)

ゲートフォールド・カヴァーでリリースされたフィリップス最終作。フランキー・ヴァリのソロ曲とフォー・シーズンズの曲とが5曲ずつ交互に並べられていることで、このアルバムおよびシングル・カットされたフォー・シーズンズの「Patch Of Blue/She Gives Me Light」に対して、Frankie Valli & The 4 Seasonsという表記が初めて使われた。

エース盤は2 in 1ではなく、アルバム+ボーナス・トラック(シングル曲)6曲の構成だった。

(続く)

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July 06, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(56) 【修正版】 18枚組BOX続報

(7月6日23:00追記:アルバムごとの過去のCDを紹介するにあたり、オランダのディスキー盤が抜けていたので追加した。ただし内容については未確認。発表から50年経過後の著作権切れ関連CDは今回は含んでいない。また、BOXに収録されている各ディスクのスリーブ写真を追加、一部コメントも追加した)

(10月3日追記:『RAG DOLL』の曲目修正盤が届いたので、その旨追記)

7月4日の独立記念日のイベントに出演したフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの最新映像をご紹介しよう。「Grease」「Can't Take My Eyes Off You」「Let's Hang On!」の素晴らしいパフォーマンスだ。

ザ・フォー・シーズンズ/フランキー・ヴァリの全シングルのご紹介に戻る前に、今回のBOXについてもう少し続ける。

一昨日速報した、フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの『THE CLASSIC ALBUMS BOX』(Rhino/Warner Music 8122795939)の編集ミスについては、前回分に追記したように、ライノから「修正された交換ディスクを製作中」という返事を受け取った。どの程度の修正が行われるのか、それがどのように届けられるのかは不明だが、動きがあればまたお知らせしたい。

(10月3日追記:修正盤は9月19日に発送され、10月3日に届いた。詳しくは「フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ18枚組BOXの修正盤到着」の回参照)

18枚組でもあり、まだ全部を精査は出来ていないが、これまでのCD化状況、ステレオとモノラルの別などについて、今回はとりあえず最初の8枚分だけだが簡単に整理してみた(音質については、まだ詳しくお伝えできる状態ではない)。

過去のCDについてだが、カーブ盤は1991~2年がBMGビクターからの国内盤(1993年にアルファから再発)、1995年が米盤(Original Classic Hitsシリーズ)を指す。ディスキー盤はボーナス・トラック付。また英エース盤(一部にはボーナス・トラック付)およびコレクターズ・チョイス盤は、いずれも他のアルバムとの2 in 1の形式になっているが、組み合わせなどの詳細は一部を除き省いた(通し番号は異なるが第5回も参照のこと)。

[01] SHERRY & 11 OTHERS
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Original LP: Vee-Jay (9/1962)
CD releases: BR Music (1988) / Curb (1991, 1995) / Disky (1994) / Ace (1994)

エース盤は[02]との2 in 1で、両者に「Big Girls Don't Cry」が収録されているため、こちらのパートからは同曲を抜き、シングルB面曲「I've Cried Before」のオルタナティヴ・ステレオ・ヴァージョン(第42回参照)を追加、曲順を入れ替えてあった。

[02] BIG GIRLS DON'T CRY AND TWELVE OTHERS
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Original LP: Vee-Jay (2/1963)
CD releases: Curb (1991, 1995) / Disky (1994) / Ace (1994)

「Big Girls Don't Cry」はLPのステレオ盤にはモノラルで、CDにはステレオで収録。

「Goodnight My Love」はLPのステレオ盤にはステレオで、CDにはモノラルで収録。

[03] THE 4 SEASONS SING AIN'T THAT A SHAME AND 11 OTHERS
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Original LP: Vee-Jay (6/1963)
CD releases: Curb (1991, 1995) / Ace (1995)

「Soon (I'll Be Home Again)」「Dumb Drum」「New Mexican Rose」「That's The Only Way」はステレオ盤LP、CDともにモノラルで収録。

「Ain't That A Shame」はLPのステレオ盤とAce盤CDにはモノラルで、Curb盤と今回のBOXには1968年の編集盤『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』が初出のオルタナティヴ・ステレオ・ヴァージョンで収録。

[04] FOLK-NANNY
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Original LP: Vee-Jay (5/1964)
CD release: Collectors' Choice Music (2006)

フィリップス移籍後にヴィー・ジェイがリリースした編集盤。すぐに『STAY & OTHER GREAT HITS』と改題。

オリジナル・アルバム未収録の「Connie-O」「Silver Wings」「Star Maker」(正しくは「Starmaker」)はLPのステレオ盤には擬似ステレオで、CDにはリアル・ステレオで収録。

[03]からの「Soon」はLPのステレオ盤には擬似ステレオで、CDにはモノラルで収録。

[02]からの「Goodnight My Love」はLPのステレオ盤にはステレオで収録されているが、右チャンネルのコーラスが1秒ほど音が途切れる箇所がある。CDにはモノラルで収録。[02]のCDにも同様にモノラルで収録されているが、ステレオ・マスターの損傷が原因なのかも知れない。

[02]からの「One Song」は、エンディングで一度フェイド・アウトしかけた後、また一瞬音量が戻り、再びフェイド・アウトしていくのだが、この[04]のCDのみ、一度でフェイド・アウトしてしまう。第51回ではご紹介出来なかったが、シングル(「Sincerely」のB面)も戻らずに一度でフェイド・アウトするパターンである。

[05] ON STAGE WITH THE FOUR SEASONS
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Original LP: Vee-Jay (11/1965)
CD releases: Ace (1995) / Collectors' Choice Music (2006)

契約消化のためにボブ・クルーがヴィー・ジェイに提供した、スタジオ録音に拍手をかぶせた偽ライヴ盤。

[06] DAWN (GO AWAY) AND 11 OTHER GREAT SONGS
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Original LP: Philips (3/1964)
CD releases: Curb (1991, 1995) / Disky (1994) / Ace (1994)

「Big Man's World」「Dawn (Go Away)」「Only Yesterday」はLPのステレオ盤、CDともにモノラルで収録。

[07] BORN TO WANDER
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Original LP: Philips (2/1964)
CD releases: Ace (1995) / Collectors' Choice Music (2006)

[06]より発売は早いがカタログ番号が後のため、この並びとなった。

「Silence Is Golden」はLPのステレオ盤にはモノラルで、CDにはヴォーカルに深いエコーがかかり、フェイド・アウトの少し長いステレオ・ヴァージョン(『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』より)で収録。

「No Surfin' Today」はLPのステレオ盤、CDともにモノラルで収録。

[08] RAG DOLL
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Original LP: Philips (7/1964)
CD releases: Disky (1994) / Ace (1994)
(Badly) edited CD release: Curb (1995)

「Rag Doll」はLPのステレオ盤にはモノラルで、CDにはヴォーカルに深いエコーがかかったステレオ・ヴァージョン(『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』より)で収録。

「Huggin' My Pillow」「Ronnie」はLPのステレオ盤には擬似ステレオで、CDにはモノラルで収録。

Original Classic Hitsシリーズと銘打たれた1995年のカーブ盤では、全8タイトルのうち3タイトルで、オリジナル・アルバムの収録曲を直接関連のないシングル曲と差し替えるという許しがたい編集が行われ、ファンを混乱された。前回も触れたように、このアルバムでは「On Broadway Tonight」「I've Got You Under My Skin」に差し替えられ、その編集が今回のBOXでも誤って適用されてしまった。これは戻してもらわなければ困る。

(10月3日追記:9月中旬以降の出荷分から正しい曲目に修正済み)

(続く)

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July 04, 2014

【速報】フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの18枚組BOXに深刻な問題が!

(7/4 6:30追記:以下の編集ミスについて、ライノから早速「修正された交換ディスクを製作中です。出来るだけ早く進捗状況をお知らせします」という返事が届いた)

連載の第49回などでご紹介したフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの『THE CLASSIC ALBUMS BOX』(Rhino/Warner Music 8122795939)が届いた。

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もちろんすべては聴けていないが、とりあえず気になった箇所をチェックしてみて唖然。深刻な編集ミスが見つかってしまったので、取り急ぎ報告する。

なお、各ディスクはオリジナルLPをそこそこ忠実に再現した紙ジャケットというかスリーブに収められている(詳しいレポートや写真はいずれ)。以下でご紹介する、曲目が間違って入っている盤も、ジャケットや盤面の曲目表記は、本来収録されるべき正しいものになっている。クレジットの載ったリーフレットのような類のものは付属していない。

『AIN'T THAT A SHAME』
タイトル曲の「Ain't That A Shame」(第44回参照)がオリジナル通りのモノラルではなく、オルタナティヴ・ステレオ・ヴァージョンで収録されてしまっている。持ってはいないが、同様にステレオで収録されたCDもあったはずだ。

『RAG DOLL』
最後の「On Broadway Tonight」(第55回参照)が、「I've Got You Under My Skin」に差し替えられてしまっている。これはどういうことかというと、第5回でもご紹介したように、1995年にカーブがCD化した際に、シングル曲との無意味な差し替えが行われたのだが、どうもその時のマスターが今回は使われてしまったようなのである。

『NEW GOLD HITS』
「C'mon Marianne」がステレオの左右チャンネルが逆になってしまっている。これだけならまだしも、これも『RAG DOLL』と同様、最悪のカーブ盤の弊害で、「I'm Gonna Change」がザ・ワンダー・フー?の「Don't Think Twice」に、「Dody」が「Will You Love Me Tomorrow」に、ザ・ワンダー・フー?の「Lonesome Road」が「Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)」に差し替えられてしまっている。このアルバムは、個人的にはフォー・シーズンズ/フランキー・ヴァリの全キャリアを通じての最高作とも考えているのだが、英エースの2 in 1 CD以外に、これまでただの1度もオリジナル通りのフォーマットでCD化されたことはなかった。大いに期待していただけに、この傑作がずたずたにされて、ショックは大きい。

とりあえずライノには速攻でメールを書き、交換ディスクを用意して送るようリクエストしてみた。

(続く)

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July 02, 2014

安倍内閣による集団的自衛権行使容認の閣議決定は憲法破壊行為

全米では6月20日に公開されたクリント・イーストウッド監督の映画『Jersey Boys(ジャージー・ボーイズ)』が9月27日に日本でも公開されるのに先立ち、映画の題材となったフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズについて、5月から連載を再開している。

ネタはたまっていて、どんどん書き進めなればならないところだが、ここ数日は暗澹たる気分の中で、書くことに集中することができない。その大きな原因は、昨日(7月1日)に行われた、安倍内閣による集団的自衛権行使容認の閣議決定という憲法破壊行為にある。

ツイッターではともかく、ブログでは普段は政治的なことは書かないようにしているのだが、今回ばかりは整理しておかないことには先に進めないと思い、あえて書くことにした。正直なところ、付け焼刃的な知識の部分もあり、読んで不快になる方もいるかも知れないが、ご容赦いただきたい。そして皆さんにも考えていただきたい。

まず、「集団的自衛権」とは何なのか。言葉自体が判りにくく、「個別的自衛権」との区別が付いていない人も多いようだ(私も最近までよく判っていなかったから、えらそうなことは言えない)。

万が一、他国から侵略された時に最小限の武力行使をするのが、個別的自衛権。それに対し、集団的自衛権というのは「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される」というもの。要するに、友好国が(自国とは直接利害関係のない)第三国と戦争する場合に、これに参戦することができてしまうという、想像を絶するもので、これが「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という日本国憲法第9条に完全に違反する行為であることは、誰が見ても明らかだろう。

もちろん「自国と密接な関係にある外国」とは、アメリカ合衆国のことに他ならない。米ソ冷戦終結後、随一の軍事超大国となった米国に対し、テロはともかく、他国があえて攻撃を仕掛ける理由は、まず見当たらないと思われる。それにも関わらず、米国は戦争を続けてきた。それは軍需産業がアメリカ経済を成り立たせている側面があるからであり、失業者対策になっているからでもあり、戦争をすることで(自分たちの手は汚さずに)儲かる人たちがいるからである。恐ろしい話だ。

しかも、世界の警察を気取る米国は、理不尽な言い掛かりをつけては他の国や地域に攻撃を仕掛けてきた。2003年には、「イラクが大量破壊兵器を大量に持っている」という理由でイラク戦争を開始し、サッダーム・フセイン政権を崩壊させた。大量破壊兵器などというものは、結局見つからなかった。そして多くの死者、負傷者を出し、深刻なPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされている帰還兵も少なくないという。劣化ウラン弾による被爆、ライフライン破壊による感染症などの被害だってあるだろう。

これまでも米国から日本へは、このような大義なき戦争(という名の大量殺人)への主に経済面での協力要請があり、遂にイラクには自衛隊を派遣することになったが、それは人道復興支援に限られていた。第9条が歯止めとなっていたからである。それでも、米国の海外侵略について、日本政府は反対もせず、ひたすら支持を表明するのみだった。

今後もし日本において集団的自衛権が行使される事態となれば、このような理不尽な戦場へ自衛隊員などが送られてしまう可能性が出てきてしまうわけである。それだけでなく、徴兵制まで検討されかねない。そして、そのような第三国との戦争に加担するようになった結果、相手国の怒りを買い、日本国内がテロに見舞われる恐れも出てきてしまうだろう。

自衛隊の募集CMにAKB48の島崎遥香が起用され(秋元康は正気なのか?)、募集案内の封筒が届いたという報告もツイッターで散見された。もう動きは始まっているのだ。

私は9条を変えてしまうことには絶対反対だが、その是非はともかく、手続きに向けての議論も何も行わないまま、その解釈を自分勝手に変えようとしていること、実はこれが今回の最大の問題である。そもそも憲法は何のためにあるのか。国家権力の暴走を食い止めるためにあるのではなかったか。それをないがしろにしようというのだから、これは立憲国家として、絶対に許されることではない。

こちらのサイトでは「日本弁護士連合会へ: 安倍内閣を憲法違反で訴えるよう即します」というキャンペーンをやっていて、署名することもできる。

この解釈改憲については、Asian Kung-Fu Generationのゴッチさんの日記「解釈改憲になぜ反対なのか」が、読んでいて納得する部分が多かった。

閣議決定だけでは実行できるわけではないのだからまだ安心という声もあるが、これは安倍内閣にとって確実な第一歩であり、これから次々と手続きを進めようとするだろう。今後の動きについては絶対に注視しつつ、異議を唱えていかなければならない。

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