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July 21, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(61) 全シングル紹介 その15

9月27日に日本公開になる映画『ジャージー・ボーイズ』日本語版公式サイトが、オープンしている。今のところ予告編が観られるだけだが。

以前ご紹介したサウンドトラック盤ならぬイメージ・アルバム『ジャージー・ボーイズ』の国内発売も9月10日に決定したようだ。このワーナーミュージックのサイトに掲載されているジャケット写真は、私が「映画『Jersey Boys(ジャージー・ボーイズ)』“サントラ”盤到着!」の回などで紹介したものと違い、“COCKTAILS BAR”という赤いネオンサインなどの写った別ヴァージョンとなっている。実際に2種類のジャケットがあるのか、現物を見ていないので何とも言えない。

それでは、1か月ぶりになってしまったが、第55回以来となる、ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介、今回は15回目だ。

★★★★★
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A) DON'T THINK TWICE (Bob Dylan) PHW1-37272 #12
B) SASSY (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-37273
THE WONDER WHO?
Produced by Bob Crewe
Arranged & Conducted by "Calello" (side A)
Philips 40324 [30/9/65]
45cat

ボブ・ディランが1962年に書き、1963年5月リリースのセカンド・アルバム『THE FREEWHEELIN' BOB DYLAN』に収録された「Don't Think Twice, It's All Right(くよくよするなよ)」は、ディランの先輩格にあたるフォーク歌手ポール・クレイトンが1960年にリリースした「Who's Gonna Buy You Ribbons (When I'm Gone)」からメロディの一部を借用したとも言われている。

1963年秋にはピーター・ポール&マリーによるカヴァーも全米9位のヒットとなり、ほかにも多くの歌手にカヴァーされている。ディラン自身もライヴでよく歌っている人気曲だ。

前々回前回とご紹介してきたアルバム『THE 4 SEASONS SING BIG HITS BY BURT BACHARACH... HAL DAVID... BOB DYLAN』(Philips PHM 200-193 [mono]/PHS 600-193 [stereo])に収めるべく、フォー・シーズンズでこの曲を録音することになったが、フランキー・ヴァリはいくらテイクを重ねても、その出来に満足することができなかった。そこでスタジオの緊張をほぐそうと、例のローズ・マーフィーばりのおふざけっぽいファルセットで録音してみることにしたのだ。曲を注意深く聴けば、特に2:00から2:09のあたり、地声で歌っていた時の録音が消去しきれずにかすかに残っているのがわかる。UK鑑賞団体セッショングラフィーによれば、録音日はアルバムの他の収録曲の録音前日にあたる1965年9月14日である。

この録音を聴いたフィリップスの重役の一人が、シングルで出すべきだと提案。ところがこのシングルは、ザ・フォー・シーズンズでも、もちろんフランキー・ヴァリのソロでもなく、ザ・ワンダー・フー?(「誰でしょう?」の意)という匿名でリリースされた。

ピクチャー・スリーヴにはタイトルは表記されず、「ザ・ワンダー・フー?は誰でしょう」と書かれていた。その下には点つなぎが配置され、点をつないでいくと"We are your favorites"という文字が浮かび上がる仕組みになっていた。レーベルに記載された曲名も匿名性をいくらか強調するかのごとく、後半の"It's All Right"が省かれて「Don't Think Twice」となっていた(当時の邦題も同様に「くよくよするなよ」ではなく「ドント・シンク・トワイス」)。

ここで問題。ザ・ワンダー・フー?という名称が使われた理由は、次の3つのうちのどれでしょう。

(1) フィリップスが、ほぼ同時発売の「Let's Hang On!」で新たに確立しようとしているフォー・シーズンズのイメージが崩れてしまうと考えたから。

(2) フォー・シーズンズという名前をあえて使わずに、曲のインパクトだけでヒットさせることができるか実験したかったから。

(3) 契約上の理由により、この曲をリリースするにあたってフォー・シーズンズという名称が使えなかったから。

これは3つともネットで検索して見つかった「理由」なのだが、実はどれが正解なのか、あるいは複数の理由が絡んでいるのか、私にもよくわからない。どなたか正解をご存知の方がいらしたら、教えていただきたい。

いくら名前を隠したところで、フランキー・ヴァリの特徴ある歌声は、誰が聴いても間違いようがなかった。フォー・シーズンズのバック・コーラスも普段と変わりがなく、確信犯的アプローチだったとすら言える。9月30日にリリースされたシングルは、シリアスなディラン・ファンには評判が悪かったようだが、結果的にビルボードのポップ・チャートで12位まで上昇。アルバムにも、?マークなしのThe Wonder Who名義でそのまま収録された。

音楽記者のジョン・ブリームによれば、ボブ・ゴーディオは1980年(引用記事の“1990年”は誤り)、ニール・ダイアモンドが自ら主演した『THE JAZZ SINGER』のサウンドトラックをプロデュースしていた時に、ニールからボブ・ディランを紹介されたのだと言う。「彼のそんなにふざけていない‘Don't Think Twice, It's All Right’を、ワンダー・フーでとてもふざけたヴァージョンにしてしまったことを詫びたんだ。彼はこう答えたよ、『初めて聴いた時、それが自分の曲だなんて思いもしなかった』ってね」

カップリングの「Sassy」は、このB面のためだけに用意された、初のインストゥルメンタル。ボブ・クルー=ボブ・ゴーディオの合作となっているが、ほとんどスタジオで即興で演奏されたと思われる12小節のブルースっぽいナンバーで、アレンジャー名のクレジットもない。オルガン(ベース音も)とエレクトリック・ハープシコードもしくはプリペアド・ピアノ(?)、ドラムス(タムとスネアのみ)とハンドクラップで組み立てられたグルーヴィーな小品である。

この曲は、第11回で触れたように、1996年に日本のリアル・ミュージック・カンパニーがリリースしたオムニバスCD『US SOFT POP RARITIES』(Real Music RMD-1002)に板起こしで収録されたことがあるのみで、正規には復刻されていない。もちろんステレオ・ヴァージョンは存在しない。

(続く)

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Comments

達郎さんのサンストFour Seasons特集を聴くと「Four Seasonsは正規の自分たちの名前でフランキー・ヴァリが歌ったレコードの他にもいろいろとやっておりまして、この人たちは自分たちのFour Seasonsという名前だからレコードが売れているのではないと、自分たちが音楽的に実力があるのだからレコードが売れているんだということを証明したかったという事がありまして・・・」
と語っておりました。。。

Posted by: | October 14, 2014 at 08:36 PM

お返事遅れました、コメントありがとうございます。

三つのうちの(2)というわけですね、充分考えられると思います。

またコメントお寄せいただくことがありましたら、お名前頂戴できると助かります。よろしくお願いします。

Posted by: さいとう(鳩サブロー) | October 18, 2014 at 06:20 AM

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