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June 27, 2014

映画『Jersey Boys(ジャージー・ボーイズ)』“サントラ”盤到着!

クリント・イーストウッド監督による映画版『Jersey Boys(ジャージー・ボーイズ)』は全米ほかで6月20日に公開された(日本公開は9月27日)。現時点でのやや厳しい人気や評価については「ミュージカルの映画化ジャージー・ボーイズ情報サイト」や、Elainesさんのサイト内の記事「映画JERSEY BOYSの(今のところの)評価」「映画JERSEY BOYS公開に思う(1)」などをとりあえず参照して頂くとして、サウンドトラック盤CDが今日届いたので、取り急ぎ内容をご報告しておこうと思う。

Jerseyboysmov

"JERSEY BOYS - MUSIC FROM THE MOTION PICTURE AND BROADWAY MUSICAL" (Rhino R2 544039)

いや、実際に聴いて確認できたのだが、“サウンドトラック盤”という表記は、実は正しくない。映画に使われた曲目を、今回の映画の出演者たちによる新録音、2005年のブロードウェイ・オリジナル・キャストによる録音、そして本家フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズによるオリジナル録音を駆使しながら、プロデューサーのボブ・ゴーディオ自ら再構成したコンセプト・アルバムというべき内容になっているのだ。

そして映画ではボーイズたちの歌は、アフレコではリアルではないというイーストウッド監督の意向により、撮影中にライヴで歌われている。CDに収められたトラックはスタジオでの録音だろうから、厳密に言うとまったく同じではないはずだ。2005年の録音も使われているのは、そんな理由もあるのかも知れない。

ちなみに、2005年のブロードウェイ・オリジナル・キャスト盤はこちら。フランキー・ヴァリ役のジョン・ロイド・ヤング以外は、ボーイズたちを演じる俳優たちの顔ぶれは違う。

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"JERSEY BOYS - ORIGINAL BROADWAY CAST RECORDING" (Rhino R2 73271)

今回のCDのブックレットには、ボブ・ゴーディオのこんなメッセージが載せられている。

クリント・イーストウッドの映画およびデス・マッカナフのブロードウェイ・ミュージカル、それぞれの『ジャージー・ボーイズ』からの演奏がこのCDでお聴きになれるでしょう。フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズのオリジナル録音から私が個人的に選んだものも含まれ、そのうちのいくつかはアルバムの至る所に織り込まれ、私にとって興味深い驚きになっています。

この織り込まれ具合が実に絶妙なのだ。それではざっと曲目について。

01. Prelude
2014年録音。「Can't Take My Eyes Off You」のイントロ部分。

02. December, 1963 (Oh, What A Night)
1975年のフォー・シーズンズ・オリジナル録音。やけに音がいいが、エンディング前でフェイド・アウト。フィーチャリング・ヴォーカリストのクレジットにジェリー・ポルチやドン・シコーニの名前がないのは何故? これだけは文句を言いたい。

03. My Mother's Eyes
1967年のフランキー・ヴァリ・オリジナル録音。完奏はされないがこれも音がいい。

04. I Can't Give You Anything But Love
2014年録音。ジョン・ロイド・ヤングはさすがにローズ・マーフィーばりの超ファルセットまでは再現できていないが、それでも健闘している。

05. A Sunday Kind of Love
前半は今回のメンバーによる新録音だが、途中から第53回で紹介した1964年のオリジナル録音にクロスフェイドで繋げている!

06. Moody's Mood for Love
2014年録音。フランキー・ヴァリ自身はこの曲を録音していない。

07. Cry For Me
2014年録音。ゴーディオ役のエリック・バーゲンが歌う。

08. Sherry
09. Big Girls Don't Cry
10. Walk Like A Man
「Sherry」以下3曲は2005年ブロードウェイ・キャスト盤から。

11. My Boyfriend's Back
2014年録音。劇中に登場する女性ヴォーカル・トリオ、エンジェルズの曲。キミー・ゲートウッドが歌う。

12. My Eyes Adored You
13. Dawn (Go Away)
14. Big Man In Town
「My Eyes Adored You」以下3曲は2005年ブロードウェイ・キャスト盤から。

15. Beggin'
1967年のオリジナルのイントロから、2014年録音の本編へと繋げている。

16. Medley: Stay / Let's Hang On (To What We've Got) / Opus 17 (Don't You Worry 'Bout Me) / Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)
2005年ブロードウェイ・キャスト盤から。

17. C'mon Marianne
「Beggin'」同様イントロのみ1967年のオリジナルで、本編は2014年録音。

18. Can't Take My Eyes Off You
19. Working My Way Back To You
この2曲は2005年ブロードウェイ・キャスト盤から。
(追記:コピーライト・クレジットにはそう書いてあるが、「Can't Take...」はピアノ伴奏から始まる別の録音だった)

20. Fallen Angel
1976年のフランキー・ヴァリ・オリジナル。完奏される。

21. Who Loves You
1975年のオリジナルだが、エンディング前にクロスフェイドで2014年のメンバーのヴォーカルに入れ替わり、ブロードウェイ・オリジナル・キャスト盤同様のフィナーレ。

22. Closing Credits: Sherry / December, 1963 (Oh, What A Night)
2014年録音。「Sherry」のア・カペラ・ヴァージョンから「December, 1963 (Oh, What A Night)」のダンサブルなヴァージョンにつながる。

23. Sherry
24. Dawn (Go Away)
25. Rag Doll
最後の3曲はフォー・シーズンズのオリジナル・ヴァージョン(モノラル)。劇場で「Closing Credits」の後もエンドロールが続く部分で流れるのだろう。

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June 22, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(55)

(6/23追記:第53回は全シングル紹介の第12回だったのだが、誤って第11回としてしまい、以後一つずつズレてしまっていた。前回が全シングル紹介の第13回、今回が第14回となるので、訂正しておく)

ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第14回。

★★★★★
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A) LET'S HANG ON! (Crewe - Randell - Linzer) PHW1-37252 #3
B) ON BROADWAY TONIGHT (Crewe - Gaudio) PHW1-32851
THE 4 SEASONS Featuring the "sound" of Frankie Valli
Produced by Bob Crewe
Arranged & Conducted by Charles Calello (side A)
Arranged & Conducted by Denny Randell (side B)
Philips 40317 [28/9/65]
45cat

ニューヨーク生まれで、ピアノからトランペット、トロンボーン、ギター、ベース、ドラムスまでこなすマルチ・プレイヤーでもあるデニー・ランデルは、ハイスクール時代からバンド活動を始め、1960年代初頭には自己名義のシングルも出していた。そのレコードを聴いたニューヨークの音楽出版者シャピーロ・バーンスタインが、彼をスタッフ・ソングライターとして雇い入れる。ランデルはそこでアレンジやプロデュースも手掛けるようになり、それを聴いたCBSレコードのプロデューサー、アル・カーシャがボブ・ゴーディオに紹介。ゴーディオはランデルにフォー・シーズンズのアレンジをやらないかと持ちかけ、ボブ・クルーに紹介。かくしてランデルはボブ・クルー・プロダクションズの一員となり、やはりカーシャから紹介された作詞家のサンディ・リンザーと1964年からソングライター・コンビを組むことになるのである。

作者のランデルとリンザーがプロデュースを、チャールズ・カレロがアレンジを手掛け、女性ヴォーカル・トリオのザ・トイズが歌った「A Lover's Concerto」は、1965年8月24日にボブ・クルーのダイノヴォイスからリリースされ、ビルボードで2位を記録する大ヒットとなった。原曲の「メヌエット ト長調 (Menuett G Dur BWV Anh.114)」は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1725年、2度目の妻アンナ・マクダレーナに贈った2冊目の『アンナ・マクダレーナ・バッハのための音楽帳 (Notenbüchlein für Anna Magdalena Bach)』(主に子供たちの音楽教育のために、バッハや後には妻のペンで、以降何年にもわたって雑多な曲目が書き足されていった)に書き加えられていた作品のひとつ。作曲者名が書かれていなかったため、長らく大バッハ作曲と伝えられてきたが、現在ではバロック音楽のオルガン奏者/作曲家クリスティアン・ペツォールトの作品として認識されている。

Toys

これはトイズのアルバム『THE TOYS SING "A LOVER'S CONCERTO" AND "ATTACK!"』(DynoVoice 9002-S)。ビートルズ「Yesterday」のカヴァー以外の全曲を書いたリンザー=ランデルがアルバム全体のプロデュースも担当。アレンジはカレロ。

モータウンとバロックを融合した画期的な「A Lover's Concerto」に続き、ボブ・クルーの手を借りて仕上げた「Let's Hang On!」で、このコンビは遂にフォー・シーズンズのシングルA面の座を手に入れた。彼らが初めてグループに提供した「Betrayed」が「Toy Soldier」のカップリングに起用されていたのは、第53回でご紹介した通りである。

カレロによれば、この曲が出来上がった時フォー・シーズンズはツアー中で、彼は楽譜を受け取ると家に持ち帰り、ヴォーカル・パートを書き、オーケストレーションを書き、クルー=ランデル=リンザー=カレロの“チーム”は、グループ抜きでスタジオ・ミュージシャンを使ってバック・トラックを録音した。カレロは「ゴーディオは曲を気に入っていたよ。曲を承認したとは思うけど、確かじゃない」と振り返る。

ランデルがカレロの書いたヴォーカル・チャートを持ってグループのツアー先のアトランティック・シティに出向き、各ヴォーカル・パートを指導した。その練習を終えたメンバーはスタジオにやって来ると、すべてのヴォーカルを録音し、すぐにツアーに戻っていった。そしてあのスローなイントロは、このヴォーカル録りのタイミングで、恐らくはボブ・クルーのアイディアで付け加えられた。

UK鑑賞団体セッショングラフィーによれば、この曲は1965年8月にステア=フィリップスとオルムステッドという二つのスタジオで録音されている。どちらがどちらかは判らないが、片方でバック・トラックが録音され、もう片方でヴォーカルとイントロが録音されたのだろう。そしてカレロは「次のレコード(注:10月録音の「Working My Way Back To You」のことを指すと思われる)ではニック・マーシは去り、私がバンドに加わっていた」と締めくくっている。

そう、脱退したマーシがベーシストとして、ヴォーカリストとして、そしてヴォーカル・アレンジャーとして担っていた役割は、そのすべてを熟知していたカレロがそのまま引き継ぐことになるのだが、ヴォーカル・アレンジに関しては、それ以前から受け持つこともあったのかも知れない(クレジット上はアルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』まで)。

と、ここで大きな疑問が生じる。マーシがフォー・シーズンズを脱退したのは6月ではなかったのか?

これまでの各記事でマーシの脱退時期を6月としていたのはセッショングラフィーに、アルバム『THE 4 SEASONS SING BIG HITS BY BURT BACHARACH / HAL DAVID / BOB DYLAN』のための11曲(ザ・ワンダー・フー?名義での「Don't Think Twice」を除く)の録音日を9月15日とした上で、「チャールズ・カレロによれば、ニック・マーシはすべてのトラックで演奏し、1965年6月にグループを脱退したので、これは恐らくボブ・クルーがマスターを登録した日付と思われる」と記載されていたからだ。

脱退時期についてネットで検索したところ、「9月」と書かれたバイオグラフィーを見つけたが、他の記述は正確ではなかったので、あまり信用できない。いずれにしても、6月ではなく8月頃と仮定してみると、いろいろとつじつまが合う。ウィキペディアの「Let's Hang On!」の項でも、この曲をマーシの参加した最後のシングルとしている。ということで、第53回で「Girl Come Running」を紹介した際の「結果的に彼の参加したフォー・シーズンズとしてのシングルはこれが最後となってしまう」という一文も訂正しておいた方がよさそうだ。

ランデルやリンザーもそうだろうが、この時期クルーやカレロは、モータウンの一連のヒット曲を強く意識していた。「私たちはモータウンのレコードを聴いて、あんな風にしたいと思った。同じミュージシャンを使っていなかったからこそ、そして同じ機材でも同じ音響でもなかったからこそ、モータウンを模倣していたんだ。決して複製できなかったあのサウンドを手に入れようと、私たちはやっきになっていた。でもそうやっていくうちに、私たちは独自のものを作り上げたんだ」とカレロは言う。

もちろんカレロが聴いていたのはモータウンだけではない。「Let's Hang On!」のスローなイントロからインテンポになるところで飛び出してくる印象的なファズ・ギターは、ザ・ローリング・ストーンズの「(I Can't Get No) Satisfaction」からヒントを得ている。

1960年代のストーンズのイメージを決定付けたこの曲は、アメリカ合衆国先行で1965年6月5日に発売され、7月10日付ビルボードから4週連続で、彼らにとって初の全米第1位を獲得している(本国イギリスでの発売日は8月20日)。そんな旬のヒット曲からすかさずアイディアを頂戴するあたりも、ヒット・レコード“製造”の最前線にいたカレロらしい。しかも「(I Can't Get No) Satisfaction」自体がモータウンを下敷きにしたりしているので、違和感もないわけだ。

「Let's Hang On!」ではホーン・セクションも効果的に使われている。ホーンの導入はシングルA面では実に「Ain't That A Shame」以来のこと。これ以降のモータウン風路線ではホーンが多用されるようになるが、カレロは「サックスが2本の時には、ジョー・ファレルを使った。彼は有名なジャズ・ミュージシャンだったけど、ポップ・ミュージックを理解できるぐらい、まだ充分若かったんだ」と言っている。

とにかく曲の作りは明快、ファルセットもコーラスも鮮やかで、新しい魅力に溢れた「Let's Hang On!」は9月28日に発売され、12月11日付ビルボードで3位に到達した。トップを阻んだのはビートルズ、ではなくてザ・バーズの「Turn! Turn! Turn!」(1位)とザ・スプリームズの「I Hear A Symphony(ひとりぼっちのシンフォニー)」(2位)だったが、いずれにしても1960年代のフォー・シーズンズを代表する重要な1曲となり、コンサートのフィナーレを盛り上げる定番の人気曲となった。

オリジナル・アルバムには未収録で、リリース2か月後の11月に出たベスト盤『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』のA面1曲目に収録。この時点でステレオ・ヴァージョンはなく、ステレオ盤にもモノラルで収録された。

第7回で紹介したように、『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』で初登場したステレオ・ヴァージョンは、スローなイントロなしでいきなりファズ・ギターから始まる。『STORY』ではオリジナル通りのモノラル・ヴァージョンに戻された。『EDIZIONE D'ORO』のCDには、モノラル・ヴァージョンのスローなイントロとステレオ・ヴァージョンの本編とを繋いだハイブリッド・ヴァージョンで収録され、これは『JERSEY BEAT - THE MUSIC OF FRANKIE VALLI & THE 4 SEASONS』にも流用されている。

スローなイントロの一番最初のスタート部分、マスターテープの頭出しをミスしたような感じで、ほんの僅かに音が立ち上がりきれていなくて、ふわっとピッチが上がって安定する箇所があるのだが、オリジナル・シングル(私の盤は送り溝の手書きのマトリクスがPHW1 137252-1)の段階ではほとんど目立たない。

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シングルは1967年以降、このような青いフィリップス・レーベルで再プレスされているが(手持ちの盤のマトリクスは37252-1 1-II)、収録された各LPやCDと同様、初期プレスとは異なり頭のピッチの変化は明らかで、音の鮮度も少し落ちている。とりあえずシングルを買うなら、黒いフィリップス・レーベルの初期プレスをお勧めする(その中でもプレスによる違いはあるかも知れないが)。

恐らく1966年、この曲の替え歌がBeech-Nutペパーミント・ガムのテレビ・コマーシャルに使われ、フォー・シーズンズ自身も画面に登場した(ベースはジョー・ロング)。

人気コーラス・グループ、ザ・マンハッタン・トランスファーの1994年のアルバム『TONIN'』(Atlantic 7597-82661-2)は、フィーリクス・カヴァリーア、スモーキー・ロビンソン、ローラ・ニーロ、ベン・E・キングら豪華ゲストとのコラボレーションによる60年代ヒットのカヴァー集だったが、1曲目が「Let's Hang On!」で、フランキー・ヴァリがゲスト参加して一緒に歌っている。サルサ風味のアレンジが楽しい。

Tonin

カップリングの「On Broadway Tonight」は、アルバム『RAG DOLL』からシングル・カットされた同名テレビ番組のテーマ曲。“ON BROADWAY TONIGHT”は1964年7月8日から1965年3月12日までCBSテレビでオンエアーされたバラエティー・ショーで、歌手/俳優/バンドリーダーのルディ・ヴァレーが司会を務め、毎回新人を含むタレント6組を紹介する1時間番組だった。

曲はクルーとゴーディオが書き下ろした。当時のテレビ番組のテーマ曲らしく、ビッグ・バンドをバックに全編コーラスで歌われる。アレンジと指揮はランデルが担当し、アルバムでは他の曲と毛色が違うこともあってかB面のラストに収められていた。

このオープニング・クレジットを観ると、同曲のインスト・ヴァージョンがオープニングに使われていたことがわかる。フォー・シーズンズの歌入りはエンディングに使われていたのだろう。それにしても、たとえB面だとしても番組終了後にシングル・カットというのも何だか間の抜けた話だ。

(続く)

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June 19, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(54)

ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第13回。

★★★★★
S1995a

S1995b

A) THE SUN AIN'T GONNA SHINE (ANYMORE) (Crewe - Gaudio) YW1-36622 #128
B) THIS IS GOODBYE (Gaudio) YW1-36623
FRANKIE VALLI
A Bob Crewe Production
Arranged & Conducted by Charles Calello (side A)
Smash S-1995 [9/65]
45cat

1965年6月、アトランティック・スタジオ(場所は推定)で、フランキー・ヴァリのソロのためのレコーディング・セッションが行われた。UK鑑賞団体セッショングラフィーによると、セッションにはフォー・シーズンズのメンバーも参加したようだが(彼らのためのコーラス・パートは用意されておらず、その代わりに雰囲気の異なるクラシカルな男性コーラス隊が起用された)、6月に脱退するニック・マーシの名前はなく、マーシの代わりに半年間ベーシストを務めることになるチャールズ・カレロの名前が「?」付で載っている。

(6/23追記:第55回に書いたように、マーシの脱退時期は6月よりも少し後だったと思われるので、訂正しておく)

フランク・シナトラやジミー・スコットといったジャズ・ヴォーカリストにあこがれて歌の世界に入ったフランキー・ヴァリにとって、ソロ活動はかねてからの夢だった。フォー・シーズンズ以前の1950年代にはFrankie Valley、Frankie Tyler、Frankie Vallyと何度も表記を変えながらソロ名義のシングルも出していたが、当時とは状況がまるで違う。そしてボブ・クルーやボブ・ゴーディオも、フランキー・ヴァリの並外れた表現能力はグループだけでは発揮し切れないと考えていた。

だが所属レーベルのフィリップスは、ヴァリのソロ活動が、軌道に乗っているフォー・シーズンズの活動の妨げになるのではないかと考え、ソロでのレコードのリリースには消極的だった。結果的に、ソロのシングルは(最初の3枚のみだが)マーキュリー社の傍系レーベルのスマッシュからリリースされた。

UK鑑賞団体のセッショングラフィーの以前のヴァージョン(Ver. 5)ではこの盤のリリースは11月となっていたため、雑誌「レコード・コレクターズ」2013年9月号の特集記事中の「代表アルバム選」、『FRANKIE VALLI - SOLO』の項で「5か月遅れでリリース」と書いた。ところが最新のセッショングラフィー(Ver. 6)では9月に改められ、45cat.comの該当ページでも9月リリースとなっていて(8月としている資料もある)、実際に10月30日付のビルボードにチャート・インしている。ということで、先の記事は誤りだったので、謹んで訂正させていただく。またこのセッションでは、シングル2曲以外にも何曲か録音されていたと思われるが、それらについてはそれぞれの曲紹介で触れることにする。

クルーとゴーディオが曲を書き、カレロがアレンジを担当した「The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore)(太陽はもう輝かない)」は、プロダクション的にはフォー・シーズンズでのレコード制作の手法を完全に踏襲している。もちろんコンセプトは異なり、トレードマークだったファルセットは“基本的に”封印された。

この曲は、フォー・シーズンズとしてのブレイク後のフランキー・ヴァリの新たなソロ・キャリアのスタートに相応しい、ドラマチックでスケールの大きな作品だったが、渋々リリースしたスマッシュはまともにプロモートしなかったと思われ、チャートの最高は128位と低迷してしまった。

ロサンゼルス出身ながらイギリスに拠点を移して成功を収めたザ・ウォーカー・ブラザーズによるカヴァー・ヴァージョンは、イギリスでフィリップスから1966年2月15日にリリースされ、全英チャートの1位に輝いた。アメリカ合衆国でも4月に発売されビルボードの13位に到達、これは彼らが米国で残した最高の成績で、皮肉にも米盤のレーベルはスマッシュだった。

この違いはどこから生まれたのか。ウォーカー・ブラザーズのヴァージョンは、アイヴァー・レイモンドがアレンジを手掛けた。基本的にはヴァリのオリジナルを踏襲しつつ、キーを少し下げてテンポは上げ、イントロでのヴァリの多重録音によるハミングをホーンに置き換えたほか、タンバリンやスネアに深いエコーを掛けて、フィル・スペクター風の作りを更に強調。それだけに、スペクターがプロデュースしたザ・ライチャス・ブラザーズにおけるビル・メドレーに通じるところのある、スコット・ウォーカーの太く低い声もよくマッチしていた。

ウォーカー・ブラザーズがヒットさせたおかげで、この曲は幻にならずに済み、いくつものカヴァーが生まれた。ボブ・ゴーディオがプロデュースしたニール・ダイアモンドの1979年のアルバム『SEPTEMBER MORN』(Columbia FC 36121)にもコンテンポラリーなアレンジで収められている。

フランキー・ヴァリのオリジナルも、1967年6月リリースのファースト・ソロ・アルバム『FRANKIE VALLI - SOLO』(Philips PHM 200-247 [mono]/PHS 600-247 [stereo])に収録されている。

Ph247m_1

ただしこのアルバム・ヴァージョンではヴォーカルが全面的に録り直され、一部の節回しが違っているほか、シングルではフェード・アウト前に2回出てくる♪Woo-woo-woo-woo...というファルセットによるハミングが、アルバムでは登場しない。オケは基本的にシングルと同一だが、微妙にリミックスが施され、シングルでは前面に出ていたイントロのアコースティック・ギターのストロークがアルバムでは少し後ろに引っ込んでいる。変更前のオリジナル・シングル・ヴァージョンは一度も復刻されていないはずだ。

カップリングの「This Is Goodbye」はボブ・ゴーディオの単独作。完全にソロで歌われ、コーラスはなし。ベース、ギター、ピアノ、マリンバ、ドラムスを絡めたイントロの、どこがアタマなのかわかりにくいリズム処理が面白い。歌に入ってからも、ウラでンチャ、ンチャ、と入るギター、時折響くマリンバ、そして途中から鳴り続けるオルガンなどによるシンプルなバッキングがイカしてる。ゴーディオが弾いているに違いないオルガンの音を聴くたびに、私はどうしてもスティーヴ・ナイーヴ(エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズのキーボード奏者)を連想してしまう。

なぜかアレンジャー名が記載されていないが、スタジオでゴーディオ中心にヘッド・アレンジでまとめられたからではないだろうか。

この曲は残念ながら(米国では)アルバム未収録に終わったが、イギリスでのみ1967年10月リリースの12曲入り『FRANKIE VALLI - SOLO』(Philips BL7814 [mono]/ SBL7814 [stereo])に収められた(3枚目のシングル「You're Ready Now」のB面「Cry For Me」も同様に収録)。このイギリス盤LPは未聴だが、これに準じた内容の2 in 1 CD『SOLO / TIMELESS』(Ace CDCHD 538)にはモノラルで収められており、ステレオ・ヴァージョンは存在しないものと思われる。

第38回第40回で報告した通り、昨年ワーナーミュージック・ジャパンがファースト・ソロを『君の瞳に恋してる』(Rhino WPCR-27825)として国内初CD化した折、イギリス盤のみに収録された2曲も含む形でリリースする予定だったが、許諾が降りずに断念した経緯がある。「This Is Goodbye」は、埋もれさせてしまうにはもったいない曲だと思う。

(続く)

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June 13, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(53)

ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第12回だが、長い前置きから始めよう。

フィリップス通算4枚目のアルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』収録曲で最も早く録音されたのは、1964年8月の「A Sunday Kind Of Love」である。

バーバラ・ベル、アニタ・レナード、スタン・ローズ、ルイ・プリマの共作によるこの曲は1946年に出版され、同年11月にクロード・ソーンヒル楽団(歌:フラン・ウォーレン)が初録音(発売は年が明けてから)。これに続き作者のひとりでもあるルイ・プリマ自身、フランキー・レイン、ジョー・スタッフォード、エラ・フィッツジェラルド、ダイナ・ワシントン、エタ・ジェームズなどが次々に歌い、スタンダード・ナンバーとなった。

1953年にマンハッタンのドゥー・ワップ・グループ、ザ・ハープトーンズが録音して以降、多くのドゥー・ワップ・グループにとっても人気のレパートリーとなった。ザ・デル・ヴァイキングスによるアップテンポのヴァージョン(1957年)、1963年に録音されながら1969年まで日の目を見なかったディオン(クレジットはないがバック・コーラスはデル・サテンズ?)の素晴らしいヴァージョンなどもある。

フランキー・ヴァリたちもこの曲は、ハープトーンズのヴァージョンを参考にフォー・ラヴァーズ時代からレパートリーにしていたはずで、ミュージカル/映画"Jersey Boys"にも登場する(ブロードウェイ・オリジナル・キャスト盤にも今回のサントラ盤にも収録)。そして、第34回第37回で紹介した1982年のシカゴ公演と1992年のアトランティック・シティ公演という2種類のライヴDVDでもそれぞれ、街角でドゥー・ワップを歌っていた時代を再現するコーナーでこの曲がア・カペラで歌われているのを観ることができる(昨年8月の武蔵小山アゲインでのトーク・イベントでも1982年の映像をご紹介した)。それだけ彼らにとっては重要なレパートリーのはずだが、8月にこれ1曲だけがポツンと録音された理由はよくわからない(ちなみにハープトーンズのカヴァーにはもう1曲、『DAWN (GO AWAY) AND 11 OTHER GREAT SONGS』に収録されていた「Life Is But A Dream」もある)。

続いて前回ご紹介したように、9月に「Big Man In Town」「Little Angel」、11月に「Living Just For You」「Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)」が録音され、「Living Just For You」以外の3曲がシングルとして発売された。

そして1965年1月にオルムステッド・スタジオで計7曲がレコーディングされ、アルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』(Philips PHM 200-164[mono]/PHS 600-164[stereo])は3月に発売された。

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Side 1:
1. Show Girl (Bob Crewe - Bob Gaudio)
2. Where Is Love? (Lionel Bart)
3. One Clown Cried (Bob Gaudio - Sandy Linzer)
4. My Prayer (George Boulanger - Jimmy Kennedy)
5. Little Darlin' (Maurice Williams)
6. Bye Bye Baby (Baby Goodbye) (Bob Crewe - Bob Gaudio)
Side 2:
1. Betrayed (Denny Randell - Sandy Linzer)
2. Somewhere (Leonard Bernstein - Stephen Sondheim)
3. Living Just For You (Nick Massi)
4. Little Angel (Bob Crewe - Bob Gaudio)
5. Big Man In Town (Bob Gaudio)
6. A Sunday Kind Of Love (Barbara Belle - Anita Leonard - Stan Rhodes - Luis Prima)

全曲がボブ・ゴーディオ作品で占められた前作『RAG DOLL』から一転、カヴァー曲の比率が高くなった。「Where Is Love?」は"Oliver!"、「Somewhere」は"West Side Story"と、それぞれブロードウェイ・ミュージカルからの選曲。「My Prayer」はザ・プラターズ、「Little Darlin'」はザ・ダイアモンズがヒットさせた曲である(どちらもそれぞれのオリジナルではない)。

アルバムの正確な発売日がわからないために前後関係は不明だが、3月15日にニュー・シングルが発売された。

★★★★★
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A) TOY SOLDIER (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-35304 #64
B) BETRAYED (D. Randell - S. Linzer) PHW1-34728
THE 4 SEASONS Featuring the "sound" Of Frankie Valli
A Bob Crewe Production
Arranged & Conducted by Calello
Philips 40278 [15/3/65]
45cat

アルバム用のセッションから少し間を置き、2月に新しく録音されたボブ・クルー=ボブ・ゴーディオ作の「Toy Soldier」は、アルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』には未収録だったにもかかわらず、写真の通りレーベル面にはFrom PHILIP'S Album THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU PHM-200-164と書かれている。これは盤のプレス時期などによる違いはないようで、ネットで確認した限りでは、白レーベルのプロモ盤の時点からクレジットされている。そして恐らく4月に入ってからのことだが、フィリップスは実際にアルバムのラストにこの曲を加えて再プレスした。その代わりに何ということか、肝心の「A Sunday Kind Of Love」がアルバムから外されてしまった。この頃、ドゥー・ワップはもう時代遅れとみなされるようになっていたことも理由に挙げられるのだろうか? ちなみに「A Sunday Kind Of Love」は1990年のCD『RARITIES, VOL. 1』(Rhino R2 70973)や1995年の2 in 1 CD『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU / WORKING MY WAY BACK TO YOU』(Ace CDCHD 582)などで聴くことができる。

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アルバムのセカンド・プレス(写真下)ではこのように、ステッカー風印刷(写真上)の上から青のシールを貼り、「Toy Soldier」の収録をアピールしている。もっと後のプレスになると、オレンジ色の地に直接この文字が印刷されるようになる。

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裏ジャケットも、もともとの紙(写真上)の上に訂正されたものが重ね貼りされている(写真下)。"TOY SOLDIER"のタイトル文字が、他のタイトルに比べて少し大きい。また、初版では抜け落ちていたFEATURING THE "SOUND OF FRANKIE VALLI"の表記が付け加えられ、ライナーにはnot to mention their big hit "TOY SOLDIER".と書き足されている。

だが、レーベル側の意向を裏切るかのように、この曲は"big hit"にはならず、アルバムもビルボードでの最高が77位と伸び悩んだ。過去のアルバムでは『BORN TO WANDER』が最高84位だったが、これはシングルA面曲が含まれなかったのが大きな理由だろう。『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』には「Big Man In Town」(全米20位)も「Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)」(全米12位)も含まれてはいたが、どちらもトップ10に到達しなかったのが微妙に響いたか。

ところで、アルバム発売直後に収録曲がシングル・ヒット曲と差し替えられることは時々あり、例えばバッファロー・スプリングフィールド1967年のファースト・アルバム『BUFFALO SPRINGFIELD』収録の「Baby Don't Scold Me」が「For What It's Worth」に差し替えられたケースなどが思い浮かぶが、そうした場合には差し替え前の初期プレスの盤はレアとなりプレミアが付くことが多い。ところが『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』の場合、現在も中古市場にはどちらの盤も同じように流通しており、価格にも特に差はない。フィリップスが初回盤を特に回収したりせず、「Toy Soldier」も爆発的ヒットには至らなかったため、かなりの期間平行して販売されていた、としか考えられないが、実際のところはどうだったのだろう。

ボブ・クルーや本人たちの意向とは関係なくヴィー・ジェイがリリースした「New Mexican Rose」以降のシングルは除き、フォー・シーズンズとしてのデビュー以来のシングルでこれまでビルボードの20位以内に入らなかったのは「Bermuda」「Santa Claus Is Coming To Town」「Ain't That A Shame」の3曲のみで、そのいずれもがカヴァーだった。ゴーディオ作品の打率はめちゃくちゃ高かったわけである。そのことを考えれば、「Toy Soldier」のビルボード最高64位という数字がいかに低かったかが判るだろう。

となると、やはり曲の出来がどうなのか、という話になる。従来のフォー・シーズンズの曲は、時に悲しかったり切なかったりする歌詞を、カラッと明るく歌い演奏していくところに大きな特色があった。ところがこの曲はギターもコーラスのトーンも暗くくぐもっていて、スコーンと抜けてくるところがない。もちろん表現としては当然ありなのだが、この曲の場合には聴き手を惹きつける魅力にいささか乏しいような気がする。

そうした内容とも関連するが、おりしも米軍がベトナム戦争へ本格的に参入し(北ベトナム爆撃開始が1965年2月)、多くの国民がデリケートにならざるを得なくなっていたこのタイミングで、タイトルに“Soldier=兵士”という言葉が使われたことも、敬遠される要因になったのではないか。

「Toy Soldier」の入った『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』はモノラル盤でしか持っていないのでステレオ・ヴァージョンの確認が出来なかったが、『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』にも『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』以降にも同じミックスで収められていて、右チャンネルにギター、ピアノ、コーラスなどが入っている。

カップリングには、アルバムから「Betrayed」が選ばれた。デニー・ランデルとサンディ・リンザーのコンビがフォー・シーズンズのために初めて書いたこの曲は、アルバムではB面トップに置かれたキャッチーなナンバーで、「Toy Soldier」よりもヒット性が高いとも言えそうだが、B面となったのは、ソングライターとしての実績の差もあったのだろう。これ以降、この関係は微妙に変化していくことになる。

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A) SINCE I DON'T HAVE YOU (Beaumont - Vogel - Verscharen - Lester - Taylor - Rock - Martin) 62-2916
B) TONIGHT-TONIGHT (B. Myles) 62-2912
THE FOUR SEASONS
Vee-Jay VJ 664 [3/65]
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これも1965年3月の発売だが、やはり正確な日付は判らず「Toy Soldier/Betrayed」との前後関係は不明。かろうじてチャートの105位に入ったが、ヴィー・ジェイからのシングルもこの頃の盤になると中古でもあまり出回らず、私の手元には写真のプロモ盤しかない。この時期のヴィー・ジェイのプロモ盤のデザインはちょっと変わっているから、これはこれで1枚くらい持っていてもいいかな、という気分にはなる。

両面ともにアルバム『BIG GIRLS DON'T CRY AND TWELVE OTHERS』からのカット。「Since I Don't Have You」については第35回を参照していただきたい。「Tonight-Tonight」は、アルバムでは「Tonite, Tonite」と表記されていた曲で、第33回でご紹介した。

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A) GIRL COME RUNNING (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-36505 #30
B) CRY MYSELF TO SLEEP (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-30992
THE 4 SEASONS Featuring the "Sound" of Frankie Valli
Produced by Bob Crewe
Arranged & Conducted by Charles Calello
Philips 40305 [24/5/65]
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前作の反省を踏まえ(?)1965年4月にオルムステッド・スタジオで録音された「Girl Come Running」は、5月24日に発売された。路線は元に戻り、彼ららしいイキのいいサウンドが楽しめる快作に仕上がったが、ビルボード・シングル・チャートの成績は30位が最高と、今ひとつ振るわなかった。その影響もあってか、グループには様々な転機が訪れることになる。

まず、メイン・ライターだったボブ・ゴーディオが、これを最後にしばらくシングルA面曲を書かなくなってしまう。そしてヴォーカル・アレンジメントを担っていたニック・マーシが6月でグループを脱退することになり、結果的に彼の参加したフォー・シーズンズとしてのシングルはこれが最後となってしまう。そして6月からフランキー・ヴァリのソロ名義での録音が開始され、ザ・ワンダー・フー?の企画もスタートする。

(6/23追記:第55回に書いたように、マーシの脱退時期は6月よりも少し後だったと思われ、次のシングル「Let's Hang On!」が彼の参加した最後となるようなので、訂正しておく)

このあと企画もののアルバムが続くことになることもあって、「Girl Come Running」は、ヴィー・ジェイ以降のシングルA面曲としては初めて、オリジナル・アルバム未収録に終わることになる。

アルバム初収録となったのは1965年11月リリースのベスト盤『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』(Philips PHM 200-196[mono]/PHS 600-196[stereo])で、ステレオ盤にもモノラルで収録かと思いきや、よく聴くと微妙に音を広げた擬似ステレオだった。

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第7回で紹介したように、『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』(Philips PHS 2-6501)で初登場したステレオ・ヴァージョンにはイントロに♪Come on, baby, come on, baby...というコーラスが付け加えられていた。オケは左右に分離、ヴォーカルとコーラスはセンターに位置し、バランスも微妙に変えられていた。『STORY』には未収録。

カップリングの「Cry Myself To Sleep」はクルーとゴーディオのかなり早い時期の共作曲で、1961年8月にボブ・クルーのトピックスから発売されたマシュー・リードのシングル「Lollipops Went Out Of Style」のB面に収められていたのがオリジナル。

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リード版のアレンジはシド・バースで、コーラスには後のフォー・シーズンズのメンバーも参加していた。この時はハーモニカを使ったのどかなアレンジだったが、改めてフォー・シーズンズでフォークっぽさを強調して演奏したヴァージョンがこれで、アルバム『BORN TO WANDER』に収められていた。アレンジを手がけたチャールズ・カレロによれば、この曲は「Dawn (Go Away)」「No Surfin' Today」と共に1963年11月20日にアトランティック・スタジオで録音されたとのこと。『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』にも収録されている。

(続く)

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June 09, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(52)

映画"Jersey Boys"(ジャージー・ボーイズ)6月20日の全米公開に向けて、新しい映像が公開されている。

Jersey Boys Featurette - Meet The Jersey Boys (2014) - Christopher Walken Musical Biography HD

また、ライノからのサウンドトラック盤も6月24日発売予定で、アマゾンなどで予約を開始している。

Jerseyboys

ただし、MUSIC FROM THE MOTION PICTURE AND BROADWAY MUSICAL Plus Original Recordings by Frankie Valli & The Four Seasonsという表記がある通り、ブロードウェイ・オリジナル・キャスト版からの使い回しやご本家の音源の収録もある模様。曲目は以下の通り。

01. Prelude
02. December, 1963 (Oh, What A Night)
03. My Mother's Eyes
04. I Can't Give You Anything But Love - John Lloyd Young
05. Sunday Kind of Love - John Lloyd Young
06. Moody's Mood for Love
07. Cry For Me
08. Sherry
09. Big Girls Don't Cry
10. Walk Like A Man
11. My Boyfriend's Back
12. My Eyes Adored You
13. Dawn (Go Away)
14. Big Man In Town
15. Beggin'
16. Medley: Stay / Let's Hang On! / Opus 17 (Don't You Worry 'Bout Me) / Bye Bye Baby
17. C'mon Marianne
18. Can't Take My Eyes Off You
19. Working My Way Back To You
20. Fallen Angel
21. Who Loves You
22. Closing Credits
23. Sherry
24. Dawn (Go Away)
25. Rag Doll

曲の並びから考えると、おそらく「Closing Credits」の後の3曲がフォー・シーズンズによるオリジナル録音だろう。内容についてはいつもお世話になっているElainesさんがブログの記事「情報続々」で検証されているので、ぜひお読みいただきたい。

それでは、ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第11回。

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A) BIG MAN IN TOWN (Bob Gaudio) PHW1-33172 #20
B) LITTLE ANGEL (Bob Gaudio - Bob Crewe) PHW1-33173
THE 4 SEASONS Featuring the "Sound" Of Frankie Valli
A Bob Crewe Production
Arranged by Denny Randell
Philips 40238 [20/10/64]
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再びアレンジャーにデニー・ランデルが起用され、1964年9月にステア・フィリップス・スタジオで録音されたフィリップス通算5枚目のシングル。

「Big Man In Town」は、シングルA面では実に「Sherry」以来となるボブ・ゴーディオ単独作(B面を含めても「Marlena」以来)。そして、曲がフェード・アウトせずにエンディングまできっちり作られているのは、何とシングルA面ではこれが初である(B面だとここまでで「Spanish Lace」「I've Cried Before」「Christmas Tears」「Soon (I'll Be Home Again)」「Long Lonely Nights」の5曲)。

これまでのシングルがどれもフェード・アウトで終わっていたのは、ラジオDJたちがエンディングに声を重ねたり次の曲と繋げたりしやすいことを考慮してのことだろうか。

この曲は全体の構成がシンプルだがよく考えられていて、楽器の使い方も実にうまい。イントロはハーモニカによるメランコリックなソロからジャーン、ジャーン、と力強いストロークが2回。ドラムスのフィル・インに続いてコーラスが入り、ヴァースへ。ヴァース部分ではダブル・トラックで録音されたフランキー・ヴァリのリード・ヴォーカルにいつものようにコーラスが絡んでいき、コーラス(サビ)部分に入るとヴォーカルは強力なファルセットに切り替わる。ヴァース~コーラス部分の随所に挟まれる、ハーモニカとイングリッシュ・ホルン(オクターヴ下)のユニゾンによると思われるオブリガートが印象的だ。

ヴァース~コーラスが2回繰り返され、そのままコーダへ。そこではチューブラー・ベルが効果的に鳴り響き、途中からタンバリンとハンド・クラップのウラ打ちで盛り上がる。そして最後のフレーズが(恐らくオーボエではなく)イングリッシュ・ホルンによって奏でられる。このような完璧な構成だからこそ、フェイド・アウトではダメだったのだ。“2分47秒のワイド・スクリーン・ロック・オペラ”とは言い得て妙である(雑誌「レコード・コレクターズ」1992年3月号掲載の澤山博之氏の記事によれば、『25TH ANNIVERSARY COLLECTION』(Rhino RNRD72998-2)のライナーにそう書かれているとのこと)。

「金なんかないし、みんなからは流れ者と思われているけど、いつか街の大物になってやる。約束するから待っていておくれ。君は僕のことを誇りに思えるようになるよ」という内容の歌詞も、貧しいイタリア系労働者階級から出て全米中の人気者にまで登りつめた彼らの姿を映しているようで共感を呼びそうだが、ビルボード・シングル・チャートで最高が20位というのは、当時の彼らの勢いを考えてもいささか不本意な結果ではなかっただろうか。

この曲は、1965年3月リリースのアルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』(Philips PHM 200-164[mono]/PHS 600-164[stereo])に収録されることになる。

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アルバムについては改めて紹介するが、「Big Man In Town」のステレオ・ヴァージョンは全ての楽器が左チャンネル、コーラスが右チャンネル、リード・ヴォーカルがセンターに配置されていた。

第7回第11回で触れたように、『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』で新たなステレオ・ヴァージョンが登場、左チャンネルに固められていた楽器は左右に振り分けられた。ハーモニカ、イングリッシュ・ホルン、ギターが右チャンネルに、もう1本のギター、ベース、ドラムス、チューブラー・ベルズなどが左という具合である。ヴォーカルはダブル・トラックからシングル・トラックになり、深いエコーが掛けられた。コーラスは右チャンネルからセンターに移り、これもエコーは深めである。

『STORY』では通常のステレオ・ヴァージョンに戻され、『EDIZIONE D'ORO』のCDにはモノラルで収録された。同じモノラル・ヴァージョンでも『JERSEY BEAT - THE MUSIC OF FRANKIE VALLI & THE 4 SEASONS』収録のものは音の鮮度が上がっていて、より状態のよいマスターが使われているように感じる。

カップリングの「Little Angel」はミディアム・テンポの佳曲で、ヴァリはファルセットと地声を自在に使い分けて歌っている。シングル盤での作者クレジットはボブ・ゴーディオ=ボブ・クルーと、通常と逆になっているが、アルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』収録時には通常のBob Crewe - Bob Gaudioという表記に戻されている。

やはりアレンジは巧みでマリンバなども効果的に使われているが、ボブ・ハイド氏は英エース盤CD『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU / WORKING MY WAY BACK TO YOU』(Ace CDCHD 582)のライナーで「ある部分ではハーモニカのように、別の箇所ではアコーディオンのように聞こえる、メンバーのボブ・ゴーディオの電子キーボード(electronic keyboard)がフィーチャーされている」と書いている。

確かにオブリガートや間奏でアコーディオンやハーモニカの音色が現れる。トレモロがかかっているが、本物のようにも聞こえるし、よく判らない。電子キーボードとは何を指しているのか。時代的にも音色的にもメロトロンやモーグ・シンセサイザーではない。ということは、ファルフィッサやヴォックス・コンティネンタルといったコンボ・オルガンでこの音を出しているのだろうか。楽器に詳しい方がいらしたら、この音が出せるものなのかどうか、ご教示いただければ幸いである。

この曲もアルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』に収録されるが、ステレオ・ミックスは最初から、楽器が左右に振り分けられヴォーカルとコーラスがセンターに位置するという自然なものになっている。

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A) I SAW MOMMY KISSING SANTA CLAUS (Thomas Connor) 62-2762
B) CHRISTMAS TEARS (Thompson - Wilson) 62-2743
THE FOUR SEASONS
Vee-Jay VJ-626 [11/64]
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1964年のクリスマス・シーズンに合わせ、ヴィー・ジェイが『THE 4 SEASONS GREETINGS』から11月にシングル・カット。ヴィー・ジェイでは2度目にして最後のピクチャー・スリーヴ付シングルとなった。ポップ・チャートには登場していないが、1週だけビルボードの12月25日付クリスマス・チャートの19位にランク・インした。「I Saw Mommy Kissing Santa Claus(ママがサンタにキッスした)」も、2度目のB面となる「Christmas Tears(涙のクリスマス)」も、曲については第30回を参照していただきたい。

しかし、ボブ・クルーとアレンジのシド・バースのオリジナルである「Christmas Tears」の作者がThompson - Wilson(誰?)となっているのは、悪い冗談だろうか。

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A) BYE, BYE, BABY (BABY, GOODBYE) (Gaudio - Crewe) PHW1-34574 #12
B) SEARCHING WIND (Crewe - Gaudio) PHW1-30998
THE 4 SEASONS Featuring the "sound" Of Frankie Valli
A Bob Crewe Production
Arranged & Conductet by Calello
Philips 40260 [30/12/64]
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アレンジャーをチャールズ・カレロに戻し、1964年11月にオルムステッド・スタジオで録音。エンジニアはビル・マクミーキン。同じ月にニック・マーシ作の「Living Just For You」も録音されたが、カップリング曲としては使われず(アルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』に収録)、代わりに『BORN TO WANDER』から、バンジョーとアコースティック・ギター、ウッド・ベースの伴奏によるフォーク調のクルー=ゴーディオ作品「Searching Wind」(1964年1月録音)がB面に採用された。

シングルのレーベル面には「Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)」と表記されているが、ピクチャー・スリーヴでは「Bye Bye Baby (Baby, Goodbye)」とカンマが取れて、アルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』に収録された時点でジャケット、レーベル面の表記ともに「Bye Bye Baby (Baby Goodbye)」とカッコ内のカンマまでなくなってしまった。『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』、『STORY』も同様だが、『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』では「Bye Bye Baby (Baby, Goodbye)」、『JERSEY BEAT - THE MUSIC OF FRANKIE VALLI & THE 4 SEASONS』では「Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)」と表記されている。このあたり、かなりいい加減である。ちなみに当時の邦題は「バイ・バイ・ベイビー・グッドバイ」だった。

語りも交えたスローなイントロの後、ハイハットが刻む二拍三連のリズムに乗せて曲が展開していく「Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)」は、ベイ・シティ・ローラーズによるカヴァーも有名で(1975年3~4月に全英で6週間連続No.1)、曲のイメージは定着しているといえるだろう。前述の澤山博之氏が“エンディングのストリングスは「ビー・マイ・ベイビー」の途中のフレーズと同じ”と指摘する通り、フィル・スペクターからの影響は顕著なのだろうが、「Rag Doll」とは違い、個人的には特に意識しなければ、あまり影響は感じない。よりこなれているというか、それだけ曲がよく書けている証ではないかと思う。

ステレオ・ヴァージョンはリズム・セクションが左、ヴォーカルがセンター、コーラスとストリングスが右(どの盤も同じ)。そういえば、ストリングスはこれまでのシングルにはあまり使われていなかったように思う。

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A) NEVER ON SUNDAY (M. Hadjidakis - B. Towne) 62-2643
B) CONNIE O' (Crewe - Gaudio) 64-2650
THE FOUR SEASONS
Vee-Jay VJ-639 [1/65]
45cat

1965年の第1弾シングルはヴィー・ジェイからのリリースとなったが、もはやチャート・インせず。「Never On Sunday(日曜はダメよ)」『SHERRY & 11 OTHERS』からのカット。曲については第25回を参照していただきたい。

「Connie O'」はもちろん「Big Girls Don't Cry」のカップリング曲「Connie-O」のこと。タイトル表記の変更にも特に意味はないのだろう。同シングルを紹介した第43回も参照していただきたい。

(続く)

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June 06, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(51)

ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第10回。

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A) SAVE IT FOR ME (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-33008 #10
B) FUNNY FACE (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-32848
THE 4 SEASONS Featuring the "Sound" of Frankie Valli
A Bob Crewe Production
Arranged by Denny Randell
Vocal arrangements by Nick Massi
Philips 40225 [8/8/64]
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フィリップス3枚目のアルバム『RAG DOLL』(Philips PHM 200-146[mono]/PHS 600-146[stereo])は、先行シングル「Ronnie」(全米6位)「Rag Doll」(全米1位)を除く全10曲が1964年6月にステア・フィリップス・スタジオで録音された(記載はないが、エンジニアとしてステア・フィリップスのゴードン・クラークのほかにトム・ダウドの名前もあるので、アトランティック・スタジオでも録音が行われた可能性が高い。第10回第12回も参照のこと)。

7月に発売されるとアルバム・チャートの7位まで上昇。第48回でも触れたように、初めて全曲がボブ・ゴーディオ作品(共作含む)で構成されたこのアルバムは、フィリップス期を代表する1枚に数えられることになる。雑誌「レコード・コレクターズ」2013年9月号で彼らの紹介記事を書かせてもらった際にも、代表アルバム選に入れておいた。

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写真下のステレオ盤は「Save It For Me」シングル・カット後のプレスのため、"INCLUDING THE NEW HITS SAVE IT FOR ME"と書かれたステッカー風デザインがジャケットに組み込まれた。

それまでのチャールズ・カレロに加えて、デニー・ランデルも半数の曲(先の雑誌記事で「5曲」と書いたのは誤りだったので訂正)で初めてアレンジを手がけたが、何故かアルバムにはどちらもクレジットはされず、ヴォーカル・アレンジのニック・マーシの名前がクレジットされるに留まった。

すべて正しいのかどうかは判らないが、参考までにUK鑑賞団体セッショングラフィーに記載された曲(+作者)ごとのアレンジャー名を記しておこう。(6/12追記:「Rag Doll」はシングル、アルバムともに未記載だったが、ベスト盤2種にはカレロとクレジットされていたので訂正しておく)

Side 1:
1. Save It For Me (Crewe-Gaudio) Arr. by D. Randell
2. The Touch Of You (Gaudio) Arr. by "Calello"
3. Danger (Gaudio-Linzer) Calello
4. Marcie (Gaudio-Linzer) Calello
5. No One Cares (Gaudio) Randell
6. Rag Doll (Crewe-Gaudio) Arr. by The 4 Seasons Calello
Side 2:
1. An Angel Cried (Gaudio) Randell
2. Funny Face (Crewe-Gaudio) Randell
3. Huggin' My Pillow (Crewe-Gaudio) Calello
4. The Setting Sun (Gaudio) Randell
5. Ronnie (Crewe-Gaudio) Calello
6. On Broadway Tonight (Crewe-Gaudio) Randell

アルバム発表時点でステレオ・ミックスが作られなかったのは「Rag Doll」「Huggin' My Pillow」「Ronnie」の3曲。ステレオ盤に「Rag Doll」はモノラルで、「Huggin' My Pillow」と「Ronnie」は擬似ステレオで収録された(第48回で「Ronnie」だけが擬似ステレオで収録されたように書いたのは誤りだったので訂正)。

そして、A面トップに収められた強力ナンバー「Save It For Me」が8月8日にシングル・カットされた。この曲の録音データについて、私は第12回で次のように書いた(アルバム[06]は『DAWN (GO AWAY) AND 11 OTHER GREAT SONGS』、[07]は『RAG DOLL』)。

「Save It For Me」はエース盤[06]+[07] (CDCHD 554)掲載のディスコグラフィーには8月3日録音と書かれていたが、シングルは確かに8月8日(!)発売でも肝心のアルバム[07]は7月発売なので、この日付は誤り。セッショングラフィーでは7月?とされ、スタジオもオルムステッドかステア=フィリップスかが特定できていない。

にもかかわらず、私は先ほど、この曲を含めた「全10曲が1964年6月にステア・フィリップス・スタジオで録音された」と書いた。これはどういうことなのか。

UK鑑賞団体のセッショングラフィーにおける「Save It For Me」についての記載を見てみると、前回参照したVer.5 (May 2012)では7月?付のマスター番号PHW1-33088だけだったのが、更新された現在のVer.6ではそれに加え、6月のアルバム用セッションの一番最初にもPHW1-32842として載っている。同じと思われる音源が二つのマスター番号を持つ例は、「Silence Is Golden」(アルバム『BORN TO WANDER』は30994、シングルはPHW1-32690)などにもあるので、あまり気に留めていなかったが、いくつもの盤をじっくり聴き比べてみて驚いた。

この曲は、フランキー・ヴァリの歌うメロディーに終始コーラスが絡んでいくが、オルガンが同じメロディーが奏でる間奏部分もコーラスは休まずに絡んでいくという構成が面白い。で、そのオルガンの間奏に入る前の部分、♪I'm coming home to your arms, Oh, baby,の後、もう一度♪I'm coming home to your arms.と繰り返すところでドラムスの音量がわずかに上がるのだが(アルバムやCDで通常耳にするヴァージョン)、シングルを手に入れてじっくり聴いてみて驚いた。

最初の♪I'm coming home...のところから、ドラムスがガーンと前面に出てくるのだ。実にカッコいい。そう、シングルは新たにミックスし直していたのである。これで謎が解けた。

アルバムに収められている「Save It For Me」は他の曲と一緒に6月に録音されていた(32842)。そしてシングル・リリースの直前、より迫力のある音を求めてリミックスを慣行(33088)、それが8月3日だった。そう考えれば合点がいく。

ベスト盤『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』には通常のアルバム・ヴァージョンで収録されている(ステレオ盤しか確認していないが、モノラル盤だけシングル盤のマスターを使うことは考えにくい)。そして『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』で新たなステレオ・ヴァージョンが登場。コーラスが左チャンネルからセンターに移り、楽器の配置も変更された。肝心の間奏部分でオルガンとコーラスの音量が低く、ギターのカッティングが目立つミックスが施された。このヴァージョンは英エースからのCD『EDIZIONE D'ORO』(Ace CDCHD 642)でも聴くことができる。1975年12月の『STORY』では通常のステレオ・ヴァージョンに戻された。

『JERSEY BEAT - THE MUSIC OF FRANKIE VALLI & THE 4 SEASONS』(Rhino R2 74852)にはモノラルで収められているが、通常のモノラル・ヴァージョン(マスターが残されていれば)もしくはステレオ・ヴァージョンをモノラルにミックスしたものである。

ということで、シングル・ヴァージョンはオリジナルのシングルでしか聴けないということになるが、これは手に入れる価値があると思う。

カップリングの「Funny Face」もデニー・ランデルのアレンジで、落ち着いた雰囲気の佳曲。マーシの施すヴォーカル・アレンジにも安定感がある。

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A) SINCERELY (H. Fuqua - A. Freed) 62-2915 #75
B) ONE SONG (L. Morey - F. Churchill) 62-2914
THE FOUR SEASONS
Vee-Jay VJ-608 [8/64]
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もうこの頃になると、ヴィー・ジェイの出すシングルは、ヒット性うんぬんを考えるでもなく、これまでシングルになっていなかった曲を適当に出す感じだ。もちろん曲や演奏自体が悪いわけではなく、一応チャート・インしているが、時代は激動の1964年なのである。

「Sincerely」「One Song」、共にアルバム『BIG GIRLS DON'T CRY AND TWELVE OTHERS』からのカット。曲については第33回を参照していただきたい。

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A) APPLE OF MY EYE (Otis Blackwell) 62-2642 #106
B) HAPPY HAPPY BIRTHDAY BABY (M. Sylvia - G. Lopez) 63-3317
THE FOUR SEASONS
Vee-Jay VJ-618 [9/64]
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ヴィー・ジェイから2か月連続でのシングル。ザ・フォー・ラヴァーズ時代唯一のヒット曲のセルフ・カヴァー「Apple Of My Eye」は、アルバム『SHERRY & 11 OTHERS』からのカット。ビルボードの最高位は106位。詳しくは第24回を参照していただきたい。

「Happy Happy Birthday Baby」は、アルバム『AIN'T THAT A SHAME AND 11 OTHERS』からのカット。R&Bヴォーカル・グループ、ザ・チューン・ウィーヴァーズが1957年に放った唯一のヒット曲で、メンバーのマーゴ・シルヴィアとギルバート・ロペスの作品。ビルボードのR&Bチャートで4位、ポップ・チャートで5位を記録した。

ムーディーな雰囲気の原曲に対し、フランキー・ヴァリのファルセットとニック・マーシの低音ヴォーカルを対比させ、フォー・シーズンズらしいメリハリを付けた仕上がりになっている。

(続く)

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June 04, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(50)

7月1日発売予定のBOX2タイトル、フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの18枚組『THE CLASSIC ALBUMS BOX』とフランキー・ヴァリの8枚組『SELECTED SOLO WORKS』で、彼らのオリジナル・アルバムがほぼ一通り揃うことは前回お伝えした。ここに含まれないアルバムは『THE 4 SEASONS GREETINGS』(=『THE 4 SEASONS' CHRISTMAS ALBUM』)、モーウェスト~モータウン期の全音源(2枚組CD『THE MOTOWN YEARS』にまとめられた『CHAMELEON』『INSIDE YOU』+シングル)、『REUNITED LIVE』と最新作『ROMANCING THE '60s』ということになる。

今回のBOXおよび以上のアルバムに含まれない、シングルやコンピレーションのみの収録曲は全部でどのくらいあるのか。同じ録音のヴァージョン違い、コカ・コーラのCMソングなどの非売品は除き、リリース順にまとめてみた(★印の付いているものは公式にCD化されていないと思われるもの)。

Bermuda (The Four Seasons)
Spanish Lace (The Four Seasons)
I've Cried Before (The 4 Seasons)
A Sunday Kind Of Love (The 4 Seasons)
Girl Come Running (The 4 Seasons)
This Is Goodbye (Frankie Valli)
Let's Hang On (The 4 Seasons)
Sassy (The Wonder Who?) ★
Night Hawk (The Valli Boys) ★
Cry For Me (Frankie Valli)
Opus 17 (Don't You Worry 'Bout Me) (The 4 Seasons)
On The Good Ship Lollipop (The Wonder Who?)
You're Nobody Till Somebody Loves You (The Wonder Who?)
I've Got You Under My Skin (The 4 Seasons)
I Make A Fool Of Myself (Frankie Valli)
Watch The Flowers Grow (The 4 Seasons)
Raven (The 4 Seasons)
Will You Love Me Tomorrow (The 4 Seasons)
Electric Stories (The 4 Seasons)
A Face Without A Name (Frankie Valli)
The Singles Game (The 4 Seasons)
You've Got Your Troubles (I've Got Mine) (Frankie Valli)
A Dream Of Kings (Frankie Valli)
Lay Me Down (Wake Me Up) (The 4 Seasons)
Heartaches And Raindrops (The 4 Seasons)
Where Are My Dreams (The 4 Seasons)
Whatever You Say (Frankie Valli & The Four Seasons)
Sleeping Man (Frankie Valli & The Four Seasons)
Fallen Angel (Frankie Valli)
You To Me Are Everything (Frankie Valli) ★
We Can Work It Out (The Four Seasons)
A Day In The Life (Frankie Valli)
Fancy Dancer (Frankie Valli) ★
Doctor Dance (Frankie Valli) ★
You Make It Beautiful (Cheryl Ladd & Frankie Valli) ★
Can't Say No To You (Cheryl Ladd & Frankie Valli) ★
East Meets West (The Beach Boys / Frankie Valli & The Four Seasons)
Deep Inside Your Love (Frankie Valli and The Four Seasons) ★
Fantasia de Amor (Bello Sentimiento) (Frankie Valli y Sandra Diego) ★
Solo Palabras (Frankie Valli con Franco de Vita)
Can't Take My Eyes Off You (Mary Griffin with Frankie Valli)
The Night (2012 Version) (Frankie Valli and The Four Seasons)

こうしてみると、かなりの数だ。ゴーン~ヴィー・ジェイからの最初の3曲に続く各曲についての詳しい説明は、これから順次行っていくことになる。

それでは、ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第9回。

★★★★★
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A) RAG DOLL (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-32689 #1
B) SILENCE IS GOLDEN (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-32690
THE 4 SEASONS Featuring the "Sound" of Frankie Valli
A Bob Crewe Production
Philips 40211 [28/5/64]
45cat

1964年5月末の発売。このカップリングも強力だ。ピクチャー・スリーブには色違いがあって、上の黄色が初回だと思われる。もう一種類は薄緑色だ。

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ある日ニューヨークで、汚い身なりの少女が、信号待ちしていたボブ・ゴーディオの運転する車の窓ガラスを拭きに現れた。あいにく財布には小銭がなかった。ゴーディオは5ドル札を渡した時の少女の驚いた表情が忘れられず、ボブ・クルーの手を借りて「Rag Doll(悲しきラグ・ドール)」を書き上げた。サウンド的にはフィル・スペクターからの影響を見事に消化し、また新たなスタイルを作り上げた傑作が誕生した。

アルバム『Rag Doll』のタイトル・トラックとなったが、この時はモノラルのみ。『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』も同様で、エコーの深くかかったステレオ・ミックスは1968年12月の『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』で初お目見えした。

歌詞の一節、♪I love you just the way you are...は、そのままビリー・ジョエルのヒット曲のタイトルにつながるが、彼の「Uptown Girl」も、この曲からの影響のもとで生まれたヒット曲である。

1964年6月27日付ビルボード・シングル・チャートでディキシー・カップスの「Chapel Of Love」に代わって1位を獲得したのがピーター&ゴードンの「A World Without Love(愛なき世界)」、このとき「Rag Doll」は登場2週目で18位だった。その次の2週、1位に輝いたのがザ・ビーチ・ボーイズの「I Get Around」で、「Rag Doll」はこの間に8位、3位と上昇。そして7月18日付でついに「Walk Like A Man」以来の1位を獲得、翌週もキープした。その「Rag Doll」を蹴落として8月1日付で1位になったのがザ・ビートルズの「A Hard Day's Night」と、今考えても何ともワクワクするようなチャート争いが繰り広げられていたのだった。

アルバム『BORN TO WANDER』からカットされたカップリングの「Silence Is Golden(沈黙は金)」も名曲。チャート・インしていないのが意外にも感じるが、これはイギリスのバンド、ザ・トレメローズによるカヴァーが1967年5月に全英チャートで1位に輝いた印象が強いからだろう。

「Silence Is Golden」も『BORN TO WANDER』収録時はモノラル・ミックスのみ。『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』で初登場となったステレオ・ヴァージョンはフェイド・アウトが少し長くなっていた。

(続く)

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June 02, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(49)

(6/3追記:BOX2種の画像を発見したので貼付した)

大ニュースが飛び込んできた。米ライノから7月1日にフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの18枚組『THE CLASSIC ALBUMS BOX』が発売されるというのだ。やはり映画"JERSEY BOYS"の6月20日全米公開とリンクしての企画だろう。

CDON.COMというスウェーデンのショップのサイトに曲目が掲載されたので、早速18枚の内訳を紹介する。

Frankievallifourseasons2014classica

(1) SHERRY & 11 OTHERS
(2) BIG GIRLS DON'T CRY & TWELVE OTHERS
(3) AIN'T THAT A SHAME & 11 OTHERS
(4) FOLK-NANNY
(5) RECORDED LIVE ON STAGE
(6) DAWN (GO AWAY) & 11 OTHER GREAT SONGS
(7) BORN TO WANDER
(8) RAG DOLL
(9) THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU
(10) SING BIG HITS BY BURT BACHARACH, HAL DAVID & BOB DYLAN
(11) WORKING MY WAY BACK TO YOU
(12) NEW GOLD HITS
(13) GENUINE IMITATION LIFE GAZETTE
(14) HALF & HALF
(15) WHO LOVES YOU
(16) HELICON
(17) STREETFIGHTER
(18) HOPE + GLORY

『THE 4 SEASONS GREETINGS (CHRISTMAS ALBUM)』と『REUNITED LIVE』が含まれない代わりに、編集盤の『FOLK-NANNY』が含まれているのが意外。まあ、アルバム未収録の3曲(「Connie-O」「Silver Wings」「Starmaker」)が入っているから、というよりは、コレクターズ・チョイスから出た2 in 1に『FOLK-NANNY』と『BORN TO WANDER』をカップリングしたものがあったから、そこからの単純な流れだろう。

ユニヴァーサルが所有するモーウェスト~モータウン期の音源は、フォー・シーズンズ・パートナーシップおよびライノの管轄外なので、『CHAMELEON』が含まれないのは致し方ないところ。

『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』は初回プレスに収められた「A Sunday Kind Of Love」がすぐに「Toy Solder」に差し替えられたが、今回は「Toy Solder」入りのようで、ちょっと残念。また、曲目を見ると『NEW GOLD HITS』のラスト、「Lonesome Road」が収められるべきところが「Melancholy」となっているが、これはリストの単純な間違いだろう(そうでないと困る)。

ボーナス・トラックは一切ない模様で、シングル・オンリーの曲やヴァージョンなどはここでは聴けないが、ほとんどのアルバムがCDで容易に入手できない状態が続いていたので、これは嬉しい限りだ。

同時に『FRANKIE VALLI - SOLO』から『HEAVEN ABOVE ME』まで、フランキー・ヴァリのソロ8作品を収めた8枚組『SELECTED SOLO WORKS』も発売されるが、こちらも曲目を見る限りボーナス・トラックはない。すべてコレクターズ・チョイスから2 in 1で出たことがあるし、国内盤でも5タイトルが絶賛発売中なので、こちらは微妙なところだ。

Frankievalli2014selectedsoloworkscd

それでは、ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第8回。

★★★★★
Vj597a

Vj597b

Vj597d

Vj597c

A) ALONE (Morty and Selma Kraft) 62-2913 #28
B) LONG LONELY NIGHT (B. Davis and Mimi Unima) 63-3322 #102
(THE) FOUR SEASONS
Vee-Jay VJ-597 [5/64]
45cat

「Ronnie/Born To Wander」をピクチャー・スリーヴ付で出したフィリップスに対抗して(?)、ヴィー・ジェイも(第44回で触れたEP2種を除き)初のピクチャー・スリーヴ付でリリース。

両面ヒットとなったこのシングルは、「Alone」がA面ということだが、スリーブには表面も裏面も

LONG LONELY NIGHTS
B/W
ALONE

と、「Long Lonely Nights」がA面であるかのように書かれている。ところが、45cat.comの該当ページに掲載されているように、片面の表記が

ALONE
B/W
LONG LONELY NIGHTS

となっているものも存在しているのだ。途中から変更したのだろうが、前者の方が出回っている数は多い。また、レーベル面のデザインにもいくつかのパターンがあり、アーティスト名に"THE"が付いていないものと付いているものとがある。

ビルボードで28位を記録した「Alone」は『BIG GIRLS DON'T CRY AND TWELVE OTHERS』からのシングル・カット。曲については第33回を参照していただきたい。

ビルボードで最高が102位だった「Long Lonely Nights(ひとりぼっちの夜)」は、アルバム『AIN'T THAT A SHAME AND 11 OTHERS』からのカット。第24回で紹介した「Teardrops」(『SHERRY & 11 OTHERS』収録)と同じくドゥー・ワップ・グループ、リー・アンドルーズ&ザ・ハーツのヒット曲のカヴァーである。

1953年の結成以来、いくつもの小さなレーベルを転々としていたリー・アンドルーズ&ザ・ハーツは1956年、地元フィラデルフィアの有力なラジオDJ、ジョッコことダグラス・ヘンダーソンにコンタクトを取った。すでに彼らのことを知っていたヘンダーソンは、地元の小さなレーベル、メイン・ラインを共同経営していたバリー・ゴールダーのオーディションを受けさせる。1957年の春、同レーベルで「Long Lonely Nights」を録音し、6月にリリース。ヘンダーソンがアトランティックに全米での配給を依頼に出向いたところ、アトランティックは、この曲をクライド・マクファッターに歌わせたいと言い出した。

アンドルーズ版はチェスがマスターを買い取って7月に再リリース、8月にはビルボードのポップ・チャートで45位、R&Bチャートでは11位まで上がった。一方、マクファッターのレコードはポップ・チャートで49位、R&Bチャートでは1位を記録。どちらの盤にも、作者はUniman-Abbott-Andrews-Hendersonとクレジットされている。

1978年に「Rio De Janeiro」のディスコ・ヒットを飛ばすことになるニュージャージー出身のゲーリー・クリス (Gary Criss)が、1962年11月にダイアモンドからこの曲のカヴァーをリリースしているが、そこでのクレジットはAndrews-Davis-Uniman-Hendersonと、一人入れ替わった。そしてフォー・シーズンズのアルバム『AIN'T THAT A SHAME AND 11 OTHERS』の裏ジャケットにはLee Andrews - Bernice Davis - Douglas Henderson - Mimi Unimanとフルネームで表記されたが、レーベル面(『FOLK-NANNY』も同様)の表記はL. Andrews - B. Davis - D. Hendersonと、一人欠けている。そしてこのシングルでは上記の通り、B. Davis and Mimi Unimaと二人だけになり、Unimanの"n"が欠けてしまっている。

1965年のボビー・ヴィントンのシングルにはB. Davisを含む4人、1970年のデルズの盤にはAbbottを含む4人が作者としてクレジットされている。

実はこの曲は、リー・アンドルーズが単独で書いた作品である。ミニー・ユニマンはフィラデルフィアの人気DJハイ・リットの妻、アボットはDJラリー・ブラウンの変名、バーニース・デイヴィスはDJジョージー・ウッドの妻、ヘンダーソンはご紹介した通り、というわけで、曲を書きもしないDJたちが、オンエアーの見返りに印税を頂戴しようという、当時の悪癖の一端がうかがえる。それにしても肝心のアンドルーズの名前をオミットしてしまったヴィー・ジェイにも困ったものである。

ということで、第24回でご紹介した「Teardrops」も、ロイ・カルホーンの単独作と推測することができる(少なくともレーベル・オーナーのバリー・ゴールダーは名前だけに違いない)。

(続く)

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フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(48)

ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第7回。

★★★★★
Vj582a

Vj582b

A) STAY (M. Williams) 63-3320 #16
B) GOODNIGHT MY LOVE (J. S. Marassalco - G. Motola) 63-2919
THE 4 SEASONS
Vee-Jay VJ 582 [1/64]
45cat

第46回で紹介した「Peanuts/Stay」を市場から回収したヴィー・ジェイが、1964年1月(2月としている資料もある)に改めてリリースしたシングル。少なくとも前回紹介した「Dawn (Go Away)/No Surfin' Today」よりは後のリリースと思われる。なぜかアーティスト表記がThe 4 Seasonsに戻っている(単にいい加減なだけだろう)。

『AIN'T THAT A SHAME AND 11 OTHERS』(Vee-Jay VJLP 1059)からカットされた「Stay」は、ドゥー・ワップ・グループ、モーリス・ウィリアムズ&ザ・ゾディアクス1960年の全米No.1ヒットのカヴァー。テンポは早くなっているが、原曲のアレンジをある程度生かした仕上がりになっている。ビルボードのシングル・チャートでは16位まで上昇したが、ヴィー・ジェイが勝手にリリースした一連のシングルの中ではこれが最高の順位となった。

この曲はさまざまなアーティストが取り上げていて、1963年にはザ・ホリーズによるビートの効いたカヴァーもヒットしているが、とりわけ印象に残っているのはアンドルー・ゴールド1976年のセカンド『WHAT'S WRONG WITH THIS PICTURE?(自画像)』に収められたヴァージョン。同じアルバムに収められたヒット曲「Lonely Boy」に顕著な、どこがアタマでどこがウラか混乱してしまうような複雑なリズム・アレンジ(特に間奏部分)が痛快だ。

カップリングの「Goodnight My Love」は、アルバム『BIG GIRLS DON'T CRY AND TWELVE OTHERS』(Vee-Jay VJLP 1056)のB面ラストに収められていた曲。曲目については第41回を参照していただきたい。

★★★★★
40185a

40185b

40185c

40185d

A) RONNIE (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-31178 #6
B) BORN TO WANDER (Al Peterson) PHW1-30989
THE 4 SEASONS Featuring the "Sound of Frankie Valli"
A Bob Crewe Production
Arranged & Conducted by "Calello"
Philips 40185 [23/3/64]
45cat

「Dawn (Go Away)/No Surfin' Today」に続くフィリップス第2弾シングルは、初のピクチャー・スリーブ付。ヴィー・ジェイ時代からアルバムの裏ジャケットには表示されていた“Featuring the "Sound" of Frankie Valli”の文字が初めてシングルのレーベル面にも記載された(ここでは“Featuring the "Sound of Frankie Valli"”だが)。

「Dawn (Go Away)」が録音された1963年11月から、この「Ronnie」が録音された1964年2月の恐らく後半までの短い間に『BORN TO WANDER』(Philips PHM 200-129[mono]/PHS 600-129[stereo])、そして『DAWN (GO AWAY) AND 11 OTHER GREAT SONGS』(Philips PHM 200-124[mono]/PHS 600-124[stereo])と、アルバム2枚も録音されたわけで、当時の彼らのすさまじいハイペースぶりが伺える。

ボブ・クルーとボブ・ゴーディオの共作による「Ronnie」は全米第6位を記録し、全曲がゴーディオ作品(クルーやサンディ・リンザーとの共作含む)で構成された初のアルバムとなる7月リリースの『RAG DOLL』(Philips PHM 200-146[mono]/PHS 600-146[stereo])に収録されることになる。

Ph146m_1

Ph146s_1

フィリップス時代、発表された時点でステレオ・ミックスが作られなかった曲は、ステレオ盤LPにもモノラルで収められているが、この曲だけは例外で、なぜか『RAG DOLL』には擬似ステレオで収録された。1965年11月発売のベスト『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』(Philips PHM 200-196[mono]/PHS 600-196[stereo])のステレオ盤でも同様だった。

第7回で紹介したように、1968年12月発売の『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』(Philips PHS 2-6501)にも擬似ステレオで収録、1975年12月の『STORY』(Private Stock PS 7000)も同様である。

カップリングの「Born To Wander」は同名アルバムからのシングル・カットだが(1964年1月録音)、アルバムよりも音質がいいように感じる。作者のアラン・ピーターソンはヴィジュアル・アーティスト/詩人。この曲は彼の唯一の音楽作品で、フォー・シーズンズ以外誰も録音していないようだ。

(続く)

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