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June 19, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(54)

ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第13回。

★★★★★
S1995a

S1995b

A) THE SUN AIN'T GONNA SHINE (ANYMORE) (Crewe - Gaudio) YW1-36622 #128
B) THIS IS GOODBYE (Gaudio) YW1-36623
FRANKIE VALLI
A Bob Crewe Production
Arranged & Conducted by Charles Calello (side A)
Smash S-1995 [9/65]
45cat

1965年6月、アトランティック・スタジオ(場所は推定)で、フランキー・ヴァリのソロのためのレコーディング・セッションが行われた。UK鑑賞団体セッショングラフィーによると、セッションにはフォー・シーズンズのメンバーも参加したようだが(彼らのためのコーラス・パートは用意されておらず、その代わりに雰囲気の異なるクラシカルな男性コーラス隊が起用された)、6月に脱退するニック・マーシの名前はなく、マーシの代わりに半年間ベーシストを務めることになるチャールズ・カレロの名前が「?」付で載っている。

(6/23追記:第55回に書いたように、マーシの脱退時期は6月よりも少し後だったと思われるので、訂正しておく)

フランク・シナトラやジミー・スコットといったジャズ・ヴォーカリストにあこがれて歌の世界に入ったフランキー・ヴァリにとって、ソロ活動はかねてからの夢だった。フォー・シーズンズ以前の1950年代にはFrankie Valley、Frankie Tyler、Frankie Vallyと何度も表記を変えながらソロ名義のシングルも出していたが、当時とは状況がまるで違う。そしてボブ・クルーやボブ・ゴーディオも、フランキー・ヴァリの並外れた表現能力はグループだけでは発揮し切れないと考えていた。

だが所属レーベルのフィリップスは、ヴァリのソロ活動が、軌道に乗っているフォー・シーズンズの活動の妨げになるのではないかと考え、ソロでのレコードのリリースには消極的だった。結果的に、ソロのシングルは(最初の3枚のみだが)マーキュリー社の傍系レーベルのスマッシュからリリースされた。

UK鑑賞団体のセッショングラフィーの以前のヴァージョン(Ver. 5)ではこの盤のリリースは11月となっていたため、雑誌「レコード・コレクターズ」2013年9月号の特集記事中の「代表アルバム選」、『FRANKIE VALLI - SOLO』の項で「5か月遅れでリリース」と書いた。ところが最新のセッショングラフィー(Ver. 6)では9月に改められ、45cat.comの該当ページでも9月リリースとなっていて(8月としている資料もある)、実際に10月30日付のビルボードにチャート・インしている。ということで、先の記事は誤りだったので、謹んで訂正させていただく。またこのセッションでは、シングル2曲以外にも何曲か録音されていたと思われるが、それらについてはそれぞれの曲紹介で触れることにする。

クルーとゴーディオが曲を書き、カレロがアレンジを担当した「The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore)(太陽はもう輝かない)」は、プロダクション的にはフォー・シーズンズでのレコード制作の手法を完全に踏襲している。もちろんコンセプトは異なり、トレードマークだったファルセットは“基本的に”封印された。

この曲は、フォー・シーズンズとしてのブレイク後のフランキー・ヴァリの新たなソロ・キャリアのスタートに相応しい、ドラマチックでスケールの大きな作品だったが、渋々リリースしたスマッシュはまともにプロモートしなかったと思われ、チャートの最高は128位と低迷してしまった。

ロサンゼルス出身ながらイギリスに拠点を移して成功を収めたザ・ウォーカー・ブラザーズによるカヴァー・ヴァージョンは、イギリスでフィリップスから1966年2月15日にリリースされ、全英チャートの1位に輝いた。アメリカ合衆国でも4月に発売されビルボードの13位に到達、これは彼らが米国で残した最高の成績で、皮肉にも米盤のレーベルはスマッシュだった。

この違いはどこから生まれたのか。ウォーカー・ブラザーズのヴァージョンは、アイヴァー・レイモンドがアレンジを手掛けた。基本的にはヴァリのオリジナルを踏襲しつつ、キーを少し下げてテンポは上げ、イントロでのヴァリの多重録音によるハミングをホーンに置き換えたほか、タンバリンやスネアに深いエコーを掛けて、フィル・スペクター風の作りを更に強調。それだけに、スペクターがプロデュースしたザ・ライチャス・ブラザーズにおけるビル・メドレーに通じるところのある、スコット・ウォーカーの太く低い声もよくマッチしていた。

ウォーカー・ブラザーズがヒットさせたおかげで、この曲は幻にならずに済み、いくつものカヴァーが生まれた。ボブ・ゴーディオがプロデュースしたニール・ダイアモンドの1979年のアルバム『SEPTEMBER MORN』(Columbia FC 36121)にもコンテンポラリーなアレンジで収められている。

フランキー・ヴァリのオリジナルも、1967年6月リリースのファースト・ソロ・アルバム『FRANKIE VALLI - SOLO』(Philips PHM 200-247 [mono]/PHS 600-247 [stereo])に収録されている。

Ph247m_1

ただしこのアルバム・ヴァージョンではヴォーカルが全面的に録り直され、一部の節回しが違っているほか、シングルではフェード・アウト前に2回出てくる♪Woo-woo-woo-woo...というファルセットによるハミングが、アルバムでは登場しない。オケは基本的にシングルと同一だが、微妙にリミックスが施され、シングルでは前面に出ていたイントロのアコースティック・ギターのストロークがアルバムでは少し後ろに引っ込んでいる。変更前のオリジナル・シングル・ヴァージョンは一度も復刻されていないはずだ。

カップリングの「This Is Goodbye」はボブ・ゴーディオの単独作。完全にソロで歌われ、コーラスはなし。ベース、ギター、ピアノ、マリンバ、ドラムスを絡めたイントロの、どこがアタマなのかわかりにくいリズム処理が面白い。歌に入ってからも、ウラでンチャ、ンチャ、と入るギター、時折響くマリンバ、そして途中から鳴り続けるオルガンなどによるシンプルなバッキングがイカしてる。ゴーディオが弾いているに違いないオルガンの音を聴くたびに、私はどうしてもスティーヴ・ナイーヴ(エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズのキーボード奏者)を連想してしまう。

なぜかアレンジャー名が記載されていないが、スタジオでゴーディオ中心にヘッド・アレンジでまとめられたからではないだろうか。

この曲は残念ながら(米国では)アルバム未収録に終わったが、イギリスでのみ1967年10月リリースの12曲入り『FRANKIE VALLI - SOLO』(Philips BL7814 [mono]/ SBL7814 [stereo])に収められた(3枚目のシングル「You're Ready Now」のB面「Cry For Me」も同様に収録)。このイギリス盤LPは未聴だが、これに準じた内容の2 in 1 CD『SOLO / TIMELESS』(Ace CDCHD 538)にはモノラルで収められており、ステレオ・ヴァージョンは存在しないものと思われる。

第38回第40回で報告した通り、昨年ワーナーミュージック・ジャパンがファースト・ソロを『君の瞳に恋してる』(Rhino WPCR-27825)として国内初CD化した折、イギリス盤のみに収録された2曲も含む形でリリースする予定だったが、許諾が降りずに断念した経緯がある。「This Is Goodbye」は、埋もれさせてしまうにはもったいない曲だと思う。

(続く)

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