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June 13, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(53)

ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第12回だが、長い前置きから始めよう。

フィリップス通算4枚目のアルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』収録曲で最も早く録音されたのは、1964年8月の「A Sunday Kind Of Love」である。

バーバラ・ベル、アニタ・レナード、スタン・ローズ、ルイ・プリマの共作によるこの曲は1946年に出版され、同年11月にクロード・ソーンヒル楽団(歌:フラン・ウォーレン)が初録音(発売は年が明けてから)。これに続き作者のひとりでもあるルイ・プリマ自身、フランキー・レイン、ジョー・スタッフォード、エラ・フィッツジェラルド、ダイナ・ワシントン、エタ・ジェームズなどが次々に歌い、スタンダード・ナンバーとなった。

1953年にマンハッタンのドゥー・ワップ・グループ、ザ・ハープトーンズが録音して以降、多くのドゥー・ワップ・グループにとっても人気のレパートリーとなった。ザ・デル・ヴァイキングスによるアップテンポのヴァージョン(1957年)、1963年に録音されながら1969年まで日の目を見なかったディオン(クレジットはないがバック・コーラスはデル・サテンズ?)の素晴らしいヴァージョンなどもある。

フランキー・ヴァリたちもこの曲は、ハープトーンズのヴァージョンを参考にフォー・ラヴァーズ時代からレパートリーにしていたはずで、ミュージカル/映画"Jersey Boys"にも登場する(ブロードウェイ・オリジナル・キャスト盤にも今回のサントラ盤にも収録)。そして、第34回第37回で紹介した1982年のシカゴ公演と1992年のアトランティック・シティ公演という2種類のライヴDVDでもそれぞれ、街角でドゥー・ワップを歌っていた時代を再現するコーナーでこの曲がア・カペラで歌われているのを観ることができる(昨年8月の武蔵小山アゲインでのトーク・イベントでも1982年の映像をご紹介した)。それだけ彼らにとっては重要なレパートリーのはずだが、8月にこれ1曲だけがポツンと録音された理由はよくわからない(ちなみにハープトーンズのカヴァーにはもう1曲、『DAWN (GO AWAY) AND 11 OTHER GREAT SONGS』に収録されていた「Life Is But A Dream」もある)。

続いて前回ご紹介したように、9月に「Big Man In Town」「Little Angel」、11月に「Living Just For You」「Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)」が録音され、「Living Just For You」以外の3曲がシングルとして発売された。

そして1965年1月にオルムステッド・スタジオで計7曲がレコーディングされ、アルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』(Philips PHM 200-164[mono]/PHS 600-164[stereo])は3月に発売された。

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Side 1:
1. Show Girl (Bob Crewe - Bob Gaudio)
2. Where Is Love? (Lionel Bart)
3. One Clown Cried (Bob Gaudio - Sandy Linzer)
4. My Prayer (George Boulanger - Jimmy Kennedy)
5. Little Darlin' (Maurice Williams)
6. Bye Bye Baby (Baby Goodbye) (Bob Crewe - Bob Gaudio)
Side 2:
1. Betrayed (Denny Randell - Sandy Linzer)
2. Somewhere (Leonard Bernstein - Stephen Sondheim)
3. Living Just For You (Nick Massi)
4. Little Angel (Bob Crewe - Bob Gaudio)
5. Big Man In Town (Bob Gaudio)
6. A Sunday Kind Of Love (Barbara Belle - Anita Leonard - Stan Rhodes - Luis Prima)

全曲がボブ・ゴーディオ作品で占められた前作『RAG DOLL』から一転、カヴァー曲の比率が高くなった。「Where Is Love?」は"Oliver!"、「Somewhere」は"West Side Story"と、それぞれブロードウェイ・ミュージカルからの選曲。「My Prayer」はザ・プラターズ、「Little Darlin'」はザ・ダイアモンズがヒットさせた曲である(どちらもそれぞれのオリジナルではない)。

アルバムの正確な発売日がわからないために前後関係は不明だが、3月15日にニュー・シングルが発売された。

★★★★★
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A) TOY SOLDIER (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-35304 #64
B) BETRAYED (D. Randell - S. Linzer) PHW1-34728
THE 4 SEASONS Featuring the "sound" Of Frankie Valli
A Bob Crewe Production
Arranged & Conducted by Calello
Philips 40278 [15/3/65]
45cat

アルバム用のセッションから少し間を置き、2月に新しく録音されたボブ・クルー=ボブ・ゴーディオ作の「Toy Soldier」は、アルバム『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』には未収録だったにもかかわらず、写真の通りレーベル面にはFrom PHILIP'S Album THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU PHM-200-164と書かれている。これは盤のプレス時期などによる違いはないようで、ネットで確認した限りでは、白レーベルのプロモ盤の時点からクレジットされている。そして恐らく4月に入ってからのことだが、フィリップスは実際にアルバムのラストにこの曲を加えて再プレスした。その代わりに何ということか、肝心の「A Sunday Kind Of Love」がアルバムから外されてしまった。この頃、ドゥー・ワップはもう時代遅れとみなされるようになっていたことも理由に挙げられるのだろうか? ちなみに「A Sunday Kind Of Love」は1990年のCD『RARITIES, VOL. 1』(Rhino R2 70973)や1995年の2 in 1 CD『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU / WORKING MY WAY BACK TO YOU』(Ace CDCHD 582)などで聴くことができる。

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アルバムのセカンド・プレス(写真下)ではこのように、ステッカー風印刷(写真上)の上から青のシールを貼り、「Toy Soldier」の収録をアピールしている。もっと後のプレスになると、オレンジ色の地に直接この文字が印刷されるようになる。

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裏ジャケットも、もともとの紙(写真上)の上に訂正されたものが重ね貼りされている(写真下)。"TOY SOLDIER"のタイトル文字が、他のタイトルに比べて少し大きい。また、初版では抜け落ちていたFEATURING THE "SOUND OF FRANKIE VALLI"の表記が付け加えられ、ライナーにはnot to mention their big hit "TOY SOLDIER".と書き足されている。

だが、レーベル側の意向を裏切るかのように、この曲は"big hit"にはならず、アルバムもビルボードでの最高が77位と伸び悩んだ。過去のアルバムでは『BORN TO WANDER』が最高84位だったが、これはシングルA面曲が含まれなかったのが大きな理由だろう。『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』には「Big Man In Town」(全米20位)も「Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)」(全米12位)も含まれてはいたが、どちらもトップ10に到達しなかったのが微妙に響いたか。

ところで、アルバム発売直後に収録曲がシングル・ヒット曲と差し替えられることは時々あり、例えばバッファロー・スプリングフィールド1967年のファースト・アルバム『BUFFALO SPRINGFIELD』収録の「Baby Don't Scold Me」が「For What It's Worth」に差し替えられたケースなどが思い浮かぶが、そうした場合には差し替え前の初期プレスの盤はレアとなりプレミアが付くことが多い。ところが『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』の場合、現在も中古市場にはどちらの盤も同じように流通しており、価格にも特に差はない。フィリップスが初回盤を特に回収したりせず、「Toy Soldier」も爆発的ヒットには至らなかったため、かなりの期間平行して販売されていた、としか考えられないが、実際のところはどうだったのだろう。

ボブ・クルーや本人たちの意向とは関係なくヴィー・ジェイがリリースした「New Mexican Rose」以降のシングルは除き、フォー・シーズンズとしてのデビュー以来のシングルでこれまでビルボードの20位以内に入らなかったのは「Bermuda」「Santa Claus Is Coming To Town」「Ain't That A Shame」の3曲のみで、そのいずれもがカヴァーだった。ゴーディオ作品の打率はめちゃくちゃ高かったわけである。そのことを考えれば、「Toy Soldier」のビルボード最高64位という数字がいかに低かったかが判るだろう。

となると、やはり曲の出来がどうなのか、という話になる。従来のフォー・シーズンズの曲は、時に悲しかったり切なかったりする歌詞を、カラッと明るく歌い演奏していくところに大きな特色があった。ところがこの曲はギターもコーラスのトーンも暗くくぐもっていて、スコーンと抜けてくるところがない。もちろん表現としては当然ありなのだが、この曲の場合には聴き手を惹きつける魅力にいささか乏しいような気がする。

そうした内容とも関連するが、おりしも米軍がベトナム戦争へ本格的に参入し(北ベトナム爆撃開始が1965年2月)、多くの国民がデリケートにならざるを得なくなっていたこのタイミングで、タイトルに“Soldier=兵士”という言葉が使われたことも、敬遠される要因になったのではないか。

「Toy Soldier」の入った『THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU』はモノラル盤でしか持っていないのでステレオ・ヴァージョンの確認が出来なかったが、『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』にも『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』以降にも同じミックスで収められていて、右チャンネルにギター、ピアノ、コーラスなどが入っている。

カップリングには、アルバムから「Betrayed」が選ばれた。デニー・ランデルとサンディ・リンザーのコンビがフォー・シーズンズのために初めて書いたこの曲は、アルバムではB面トップに置かれたキャッチーなナンバーで、「Toy Soldier」よりもヒット性が高いとも言えそうだが、B面となったのは、ソングライターとしての実績の差もあったのだろう。これ以降、この関係は微妙に変化していくことになる。

★★★★★
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A) SINCE I DON'T HAVE YOU (Beaumont - Vogel - Verscharen - Lester - Taylor - Rock - Martin) 62-2916
B) TONIGHT-TONIGHT (B. Myles) 62-2912
THE FOUR SEASONS
Vee-Jay VJ 664 [3/65]
45cat

これも1965年3月の発売だが、やはり正確な日付は判らず「Toy Soldier/Betrayed」との前後関係は不明。かろうじてチャートの105位に入ったが、ヴィー・ジェイからのシングルもこの頃の盤になると中古でもあまり出回らず、私の手元には写真のプロモ盤しかない。この時期のヴィー・ジェイのプロモ盤のデザインはちょっと変わっているから、これはこれで1枚くらい持っていてもいいかな、という気分にはなる。

両面ともにアルバム『BIG GIRLS DON'T CRY AND TWELVE OTHERS』からのカット。「Since I Don't Have You」については第35回を参照していただきたい。「Tonight-Tonight」は、アルバムでは「Tonite, Tonite」と表記されていた曲で、第33回でご紹介した。

★★★★★
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A) GIRL COME RUNNING (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-36505 #30
B) CRY MYSELF TO SLEEP (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-30992
THE 4 SEASONS Featuring the "Sound" of Frankie Valli
Produced by Bob Crewe
Arranged & Conducted by Charles Calello
Philips 40305 [24/5/65]
45cat

前作の反省を踏まえ(?)1965年4月にオルムステッド・スタジオで録音された「Girl Come Running」は、5月24日に発売された。路線は元に戻り、彼ららしいイキのいいサウンドが楽しめる快作に仕上がったが、ビルボード・シングル・チャートの成績は30位が最高と、今ひとつ振るわなかった。その影響もあってか、グループには様々な転機が訪れることになる。

まず、メイン・ライターだったボブ・ゴーディオが、これを最後にしばらくシングルA面曲を書かなくなってしまう。そしてヴォーカル・アレンジメントを担っていたニック・マーシが6月でグループを脱退することになり、結果的に彼の参加したフォー・シーズンズとしてのシングルはこれが最後となってしまう。そして6月からフランキー・ヴァリのソロ名義での録音が開始され、ザ・ワンダー・フー?の企画もスタートする。

(6/23追記:第55回に書いたように、マーシの脱退時期は6月よりも少し後だったと思われ、次のシングル「Let's Hang On!」が彼の参加した最後となるようなので、訂正しておく)

このあと企画もののアルバムが続くことになることもあって、「Girl Come Running」は、ヴィー・ジェイ以降のシングルA面曲としては初めて、オリジナル・アルバム未収録に終わることになる。

アルバム初収録となったのは1965年11月リリースのベスト盤『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』(Philips PHM 200-196[mono]/PHS 600-196[stereo])で、ステレオ盤にもモノラルで収録かと思いきや、よく聴くと微妙に音を広げた擬似ステレオだった。

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第7回で紹介したように、『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』(Philips PHS 2-6501)で初登場したステレオ・ヴァージョンにはイントロに♪Come on, baby, come on, baby...というコーラスが付け加えられていた。オケは左右に分離、ヴォーカルとコーラスはセンターに位置し、バランスも微妙に変えられていた。『STORY』には未収録。

カップリングの「Cry Myself To Sleep」はクルーとゴーディオのかなり早い時期の共作曲で、1961年8月にボブ・クルーのトピックスから発売されたマシュー・リードのシングル「Lollipops Went Out Of Style」のB面に収められていたのがオリジナル。

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リード版のアレンジはシド・バースで、コーラスには後のフォー・シーズンズのメンバーも参加していた。この時はハーモニカを使ったのどかなアレンジだったが、改めてフォー・シーズンズでフォークっぽさを強調して演奏したヴァージョンがこれで、アルバム『BORN TO WANDER』に収められていた。アレンジを手がけたチャールズ・カレロによれば、この曲は「Dawn (Go Away)」「No Surfin' Today」と共に1963年11月20日にアトランティック・スタジオで録音されたとのこと。『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』にも収録されている。

(続く)

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