« フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(50) | Main | フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(52) »

June 06, 2014

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(51)

ザ・フォー・シーズンズ(ザ・ワンダー・フー?名義のものを含む)およびフランキー・ヴァリの全オリジナル・アナログ・シングル紹介の第10回。

★★★★★
40225a

40225b

A) SAVE IT FOR ME (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-33008 #10
B) FUNNY FACE (Bob Crewe - Bob Gaudio) PHW1-32848
THE 4 SEASONS Featuring the "Sound" of Frankie Valli
A Bob Crewe Production
Arranged by Denny Randell
Vocal arrangements by Nick Massi
Philips 40225 [8/8/64]
45cat

フィリップス3枚目のアルバム『RAG DOLL』(Philips PHM 200-146[mono]/PHS 600-146[stereo])は、先行シングル「Ronnie」(全米6位)「Rag Doll」(全米1位)を除く全10曲が1964年6月にステア・フィリップス・スタジオで録音された(記載はないが、エンジニアとしてステア・フィリップスのゴードン・クラークのほかにトム・ダウドの名前もあるので、アトランティック・スタジオでも録音が行われた可能性が高い。第10回第12回も参照のこと)。

7月に発売されるとアルバム・チャートの7位まで上昇。第48回でも触れたように、初めて全曲がボブ・ゴーディオ作品(共作含む)で構成されたこのアルバムは、フィリップス期を代表する1枚に数えられることになる。雑誌「レコード・コレクターズ」2013年9月号で彼らの紹介記事を書かせてもらった際にも、代表アルバム選に入れておいた。

Ph146m_1

Ph146s_1

写真下のステレオ盤は「Save It For Me」シングル・カット後のプレスのため、"INCLUDING THE NEW HITS SAVE IT FOR ME"と書かれたステッカー風デザインがジャケットに組み込まれた。

それまでのチャールズ・カレロに加えて、デニー・ランデルも半数の曲(先の雑誌記事で「5曲」と書いたのは誤りだったので訂正)で初めてアレンジを手がけたが、何故かアルバムにはどちらもクレジットはされず、ヴォーカル・アレンジのニック・マーシの名前がクレジットされるに留まった。

すべて正しいのかどうかは判らないが、参考までにUK鑑賞団体セッショングラフィーに記載された曲(+作者)ごとのアレンジャー名を記しておこう。(6/12追記:「Rag Doll」はシングル、アルバムともに未記載だったが、ベスト盤2種にはカレロとクレジットされていたので訂正しておく)

Side 1:
1. Save It For Me (Crewe-Gaudio) Arr. by D. Randell
2. The Touch Of You (Gaudio) Arr. by "Calello"
3. Danger (Gaudio-Linzer) Calello
4. Marcie (Gaudio-Linzer) Calello
5. No One Cares (Gaudio) Randell
6. Rag Doll (Crewe-Gaudio) Arr. by The 4 Seasons Calello
Side 2:
1. An Angel Cried (Gaudio) Randell
2. Funny Face (Crewe-Gaudio) Randell
3. Huggin' My Pillow (Crewe-Gaudio) Calello
4. The Setting Sun (Gaudio) Randell
5. Ronnie (Crewe-Gaudio) Calello
6. On Broadway Tonight (Crewe-Gaudio) Randell

アルバム発表時点でステレオ・ミックスが作られなかったのは「Rag Doll」「Huggin' My Pillow」「Ronnie」の3曲。ステレオ盤に「Rag Doll」はモノラルで、「Huggin' My Pillow」と「Ronnie」は擬似ステレオで収録された(第48回で「Ronnie」だけが擬似ステレオで収録されたように書いたのは誤りだったので訂正)。

そして、A面トップに収められた強力ナンバー「Save It For Me」が8月8日にシングル・カットされた。この曲の録音データについて、私は第12回で次のように書いた(アルバム[06]は『DAWN (GO AWAY) AND 11 OTHER GREAT SONGS』、[07]は『RAG DOLL』)。

「Save It For Me」はエース盤[06]+[07] (CDCHD 554)掲載のディスコグラフィーには8月3日録音と書かれていたが、シングルは確かに8月8日(!)発売でも肝心のアルバム[07]は7月発売なので、この日付は誤り。セッショングラフィーでは7月?とされ、スタジオもオルムステッドかステア=フィリップスかが特定できていない。

にもかかわらず、私は先ほど、この曲を含めた「全10曲が1964年6月にステア・フィリップス・スタジオで録音された」と書いた。これはどういうことなのか。

UK鑑賞団体のセッショングラフィーにおける「Save It For Me」についての記載を見てみると、前回参照したVer.5 (May 2012)では7月?付のマスター番号PHW1-33088だけだったのが、更新された現在のVer.6ではそれに加え、6月のアルバム用セッションの一番最初にもPHW1-32842として載っている。同じと思われる音源が二つのマスター番号を持つ例は、「Silence Is Golden」(アルバム『BORN TO WANDER』は30994、シングルはPHW1-32690)などにもあるので、あまり気に留めていなかったが、いくつもの盤をじっくり聴き比べてみて驚いた。

この曲は、フランキー・ヴァリの歌うメロディーに終始コーラスが絡んでいくが、オルガンが同じメロディーが奏でる間奏部分もコーラスは休まずに絡んでいくという構成が面白い。で、そのオルガンの間奏に入る前の部分、♪I'm coming home to your arms, Oh, baby,の後、もう一度♪I'm coming home to your arms.と繰り返すところでドラムスの音量がわずかに上がるのだが(アルバムやCDで通常耳にするヴァージョン)、シングルを手に入れてじっくり聴いてみて驚いた。

最初の♪I'm coming home...のところから、ドラムスがガーンと前面に出てくるのだ。実にカッコいい。そう、シングルは新たにミックスし直していたのである。これで謎が解けた。

アルバムに収められている「Save It For Me」は他の曲と一緒に6月に録音されていた(32842)。そしてシングル・リリースの直前、より迫力のある音を求めてリミックスを慣行(33088)、それが8月3日だった。そう考えれば合点がいく。

ベスト盤『THE 4 SEASONS' GOLD VAULT OF HITS』には通常のアルバム・ヴァージョンで収録されている(ステレオ盤しか確認していないが、モノラル盤だけシングル盤のマスターを使うことは考えにくい)。そして『EDIZIONE D'ORO (GOLD EDITION)』で新たなステレオ・ヴァージョンが登場。コーラスが左チャンネルからセンターに移り、楽器の配置も変更された。肝心の間奏部分でオルガンとコーラスの音量が低く、ギターのカッティングが目立つミックスが施された。このヴァージョンは英エースからのCD『EDIZIONE D'ORO』(Ace CDCHD 642)でも聴くことができる。1975年12月の『STORY』では通常のステレオ・ヴァージョンに戻された。

『JERSEY BEAT - THE MUSIC OF FRANKIE VALLI & THE 4 SEASONS』(Rhino R2 74852)にはモノラルで収められているが、通常のモノラル・ヴァージョン(マスターが残されていれば)もしくはステレオ・ヴァージョンをモノラルにミックスしたものである。

ということで、シングル・ヴァージョンはオリジナルのシングルでしか聴けないということになるが、これは手に入れる価値があると思う。

カップリングの「Funny Face」もデニー・ランデルのアレンジで、落ち着いた雰囲気の佳曲。マーシの施すヴォーカル・アレンジにも安定感がある。

★★★★★
Vj608a

Vj608b

A) SINCERELY (H. Fuqua - A. Freed) 62-2915 #75
B) ONE SONG (L. Morey - F. Churchill) 62-2914
THE FOUR SEASONS
Vee-Jay VJ-608 [8/64]
45cat

もうこの頃になると、ヴィー・ジェイの出すシングルは、ヒット性うんぬんを考えるでもなく、これまでシングルになっていなかった曲を適当に出す感じだ。もちろん曲や演奏自体が悪いわけではなく、一応チャート・インしているが、時代は激動の1964年なのである。

「Sincerely」「One Song」、共にアルバム『BIG GIRLS DON'T CRY AND TWELVE OTHERS』からのカット。曲については第33回を参照していただきたい。

★★★★★
Vj618a

Vj618b

A) APPLE OF MY EYE (Otis Blackwell) 62-2642 #106
B) HAPPY HAPPY BIRTHDAY BABY (M. Sylvia - G. Lopez) 63-3317
THE FOUR SEASONS
Vee-Jay VJ-618 [9/64]
45cat

ヴィー・ジェイから2か月連続でのシングル。ザ・フォー・ラヴァーズ時代唯一のヒット曲のセルフ・カヴァー「Apple Of My Eye」は、アルバム『SHERRY & 11 OTHERS』からのカット。ビルボードの最高位は106位。詳しくは第24回を参照していただきたい。

「Happy Happy Birthday Baby」は、アルバム『AIN'T THAT A SHAME AND 11 OTHERS』からのカット。R&Bヴォーカル・グループ、ザ・チューン・ウィーヴァーズが1957年に放った唯一のヒット曲で、メンバーのマーゴ・シルヴィアとギルバート・ロペスの作品。ビルボードのR&Bチャートで4位、ポップ・チャートで5位を記録した。

ムーディーな雰囲気の原曲に対し、フランキー・ヴァリのファルセットとニック・マーシの低音ヴォーカルを対比させ、フォー・シーズンズらしいメリハリを付けた仕上がりになっている。

(続く)

|

« フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(50) | Main | フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(52) »

Comments

かなりのピッチで進んでますね
ところで「Save It For Me」ですが先の日本公演でフランキーのMCで「Save It For Me」について盗作がどうたらとか言ってたと聞きましたがどういうことなんでしょうか?ずっと気になってました。
ライノからリリースされるBOXセット悩んでます。

Posted by: とぜんね | June 10, 2014 at 01:26 AM

とぜんねさん、こんばんは。いつもコメントありがとうございます。

そうですか、MCでそんなこと言っていましたか、私は気が付かなかった、ように思います(記憶は曖昧ですが)。

Elainesさん、覚えていますか?(と、振ってみる)

私の場合BOXは、実は『WHO LOVES YOU』『HELICON』『STREETFIGHTER』をCDで持っていなかったこともあって、せっかくの機会だから買うような感じです。

Posted by: さいとう(鳩サブロー) | June 11, 2014 at 12:17 AM

こんばんは、えっSave It For MeのときのMCですか…?ちょっと覚えていませんが(汗)、MCはどこのライブも共通している内容のことを言っているようなので、ちょっと「調査(?)」してみます。

Posted by: Elaines | June 13, 2014 at 12:56 AM

Elainesさん、反応していただいてありがとうございます。

頼みの綱ですので、よろしくお願いします。

Posted by: さいとう(鳩サブロー) | June 17, 2014 at 10:29 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/35335/59766277

Listed below are links to weblogs that reference フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(51):

« フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(50) | Main | フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(52) »