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December 04, 2013

ボブ・ディランの47枚組BOX(その4)

武蔵小山のライヴ・カフェ・アゲインでのフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ来日記念トーク・イベントの日程が近づいてきた。12月のスケジュールはこちら。もう来週の水曜日だ。みなさま、ぜひお越しください。

  今度こそフランキー・ヴァリ!フォー・シーズンズ来日記念トーク Vol.2

  12月11日(水)
  出演:高田和子、斎藤充正
  Open:19:00 / Start:19:30
  入場料:1,000円

待望の初来日が9月から2014年1月に延期されたフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シースンズ。せっかくなので、8月にご好評頂いたトーク・イベントの第2弾を開催! クリント・イーストウッド監督で撮影の進む彼らの伝記映画“Jersey Boys”の最新情報や、前回ご紹介できなかった秘蔵音源/映像などをお届けします。ぜひお気軽にご参加ください。

フォー・シーズンズとボブ・ディランとの関係というと、1965年にザ・ワンダー・フー?名義で「ドント・シンク・トゥワイス」(「くよくよするなよ」ではなくこんな邦題だった)をヒットさせ、その余波で『Sing Big Hits By Burt Bacharach/Hal David/Bob Dylan』というカヴァー・アルバムを制作している。

Ph193m_1

Ph193s_1

上はオリジナル・モノラル盤。下は意外とレアなフィリップスからの1970年頃の再発盤。

LPではB面に収められたディランのカヴァーは、次の6曲。

1. Queen Jane Approximately
2. Mr. Tambourine man
3. Like A Rolling Stone
4. Don't Think Twice (by The Wonder Who)
5. All I Really Want To Do
6. Blowin' In The Wind

「Don't Think Twice」がヒットしていたときのことについてのディランのコメントが、フォー・シーズンズの集大成盤『Jersey Beat - The Music Of Frankie Valli & The 4 Seasons』のブックレットに掲載されている。

初めてラジオで聴いたとき、シュープリームズあたりが歌っているモータウンの曲かと思ったんだ。メロディに聴き覚えはあったけど、初めは何の曲かわからなかった。でもあのサビ前のパートになると「ああ、フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズが歌う“Don't Think Twice (It's All Right)”だったのか」って完全に腑に落ちたよ。彼らは曲にまったく違う彩りを加えてくれたように思っている。まるで血の通わない石に、真っ赤なルージュを引いたみたいな、ね(ワーナーミュージックライフ スタッフブログより引用。訳:Ryo Hamamoto/Captain & Me Inc)

では、ボブ・ディランの47枚組BOX 『THE COMPLETE ALBUM COLLECTION VOL. ONE』について、もう少し続ける。

アマゾンUKからの購入金額は送料込みで£109.91だったが、クレジットカードの利用代金明細が届き、円換算で¥17,647だったことがわかった(換算日は11月4日)。この1か月で急激な円安・ポンド高となり、購入当時から1ポンドあたり10円以上値上がりしているので、いいタイミングで買えたものだと思う。

Hardrain_

前々回前回と触れたように、Disc 22『Hard Rain』の盤不良(4曲目「Oh, Sister」の0:08と3:53の音飛び)に対して、修正盤の発送をニューヨークのSony/LegacyのJim Lane氏に依頼したのが11月14日深夜のこと。なかなか届かないので、22日に bobdylan.replace@sonymusic.com 宛てに問い合わせたところ、「お待たせして申し訳ない。修正盤が手元に届くのが来週の水曜日(27日)なので、届き次第発送します」という内容の返事が来た。

そこで待っていたところ、一昨日無事に届いたのだが、発送元はドイツ、ギュータースローのSony Music Entertainment International Services GmbHとなっていて(消印はオランダのスキーダム)、19日付けの手紙が入っていた。

Sonyletter

単なる告知の紙ではなく、送り先の住所と名前、担当者のサインが入った手紙の形になっていて、感心してしまった。数も多いだろうし、一人一人に丁寧に対応するのは大変だろうと思う。

Hardrain

肝心の修正盤はこんな感じのスリーブに収められていた。レーベル面の表記はエラー盤とまったく同一で、信号面内側の刻印の番号は55657247/88691924312-22-1 21だった。音はもちろん問題なし。これで一安心だ。

先日注文した「Mixed Up Confusion(ゴチャマゼの混乱)」「Corrina, Corrina」のオランダ盤シングル(CBS 2476)も無事到着。実際に聴いてみて、1962年12月14日に発売され直後に回収された米盤オリジナル・シングルと同一内容であることを確信した。

Mucps1

Mucps2

Muc

Cc

この2曲の録音遍歴をまとめてみよう。アルバム『The Freewheelin' Bob Dylan』(1963年5月27日発売)のためのセッションがスタートしたのは1962年4月24日で、実はこの日「Corrina, Corrina」も一度録音されているが、後日メンバーを変えて再録音することになる。なお、この日のセッションにはウッド・ベースでウィリアム・E(ビル)・リー William E. Lee(1928~)が参加している。映画監督スパイク・リーの父親としても知られるビル・リーは、ジャズからポップまで数多くのセッションに参加、ディランでは『Bringing It All Back Home』に収録された1965年1月録音の「It's All Over Now, Baby Blue」でもベースを弾いているようだ。

以後のセッションはディラン一人の弾き語りで継続されたが、10月26日(第4回目)と11月1日、14日にはバック・バンドが起用された。メンバーは以下のとおり(プロフィールは後述)。

ボブ・ディラン (g, hca, vo)
ブルース・ラングホーン Bruce Langhorne (g)
ハウイ(ハワード)・コリンズ Howie Collins (g)(10月26日のみ)
ジョージ・バーンズ George Barnes (g)(11月1日、14日のみ)
ディック・ウェルストゥッド Dick Wellstood (p)
レナード・ガスキン Leonard Gaskin (b)(10月26日のみ)
ユージン(ジーン)・ラミー Eugene Ramey (b)(11月1日、14日のみ)
ハーブ(ハービー)・ラヴェール Herb Lovelle (ds)

最終的にOKとなった「Corrina, Corrina」は10月26日の録音である。テイク4が上記シングルに、テイク6がアルバムに収められた。前回「『The Freewheelin' Bob Dylan』収録のものとはまったくの別ヴァージョン」と書いたが、実際に聴いてみたところ、シングル・ヴァージョンにはイントロにハーモニカが入っている点、歌い回しなどが微妙に異なる点を除けば、際立った大きな違いはなかった。もちろん演奏は完全に別物だが。

なお、どちらのテイクにもウェルストゥッドのピアノは入っていないし、おそらくコリンズも弾いていない。ナット・ヘントフによる原盤ライナーほか、ウェルストゥッドやコリンズが参加しているかのような記載が見られ、混乱を招く一因になっている。

なぜこのような混乱が起きたかといえば、このフル・メンバーで録音されたほかの曲がほとんど聞けない状態にある中で、クレジットだけが一人歩きしたからだろう。ほかの曲と比較すれば、「Corrina, Corrina」が、他の曲とは異なる小編成での録音であったことがよくわかる。

では、ほかの曲とは何を指すのか。「Mixed Up Confusion」(10月26日、11月1日、14日)と未発表に終わったエルヴィス・プレスリーのカヴァー「That's All Right Mama」(10月26日、11月1日)、そして『The Freewheelin' Bob Dylan』のテスト・プレスに収められながら最終的に他の曲と差し替えられてしまった「Rocks & Gravel (Solid Road)」(11月1日)である。

何と、10月26日に録音された「Mixed Up Confusion」のテイク5がYouTubeにアップされている。

この音源の出所は、『The 50th Anniversary Collection』(Sony Music 8876546022)というCD-R 4枚組である。ここには4月24日の「Corrina, Corrina」も、未発表に終わった「That's All Right Mama」や「Rocks & Gravel (Solid Road)」も、複数のテイクが収められている。

50th

50th2

画像はネットから。本当に簡素な作りのセットのようだが、内容は1962年録音の未発表音源(スタジオやライヴ録音)を86トラック収録というすさまじいもので、昨年(2012年)12月末に、ヨーロッパのごく一部の地域で100部限定(!)でリリースされた。

なぜこんなものが出たのかというと、ソニー・ミュージックが今後のアーカイヴ化を視野に入れた上で音源の権利を守るためだった。EUでは2011年に著作権法が改正され、保護期間が50年から70年に延長されたが、録音から50年以内に市場に流通しないとパブリックドメインになってしまうというのだ。そこでこのように、形だけ市場に流通させて延命処置をしたのだ。100セット限定であるからして、またたく間にプレミアが付き、取引価格は1,000ドルにも達したようである。

50th3

50th4

だからというか何というか、見た目は似ているがプラケース入りの、このようなコピー商品なども作られているので、注意が必要だ。で、中身の方は驚きの連続。「Mixed Up Confusion」は10月26日のテイク3とテイク5、メンバーが一部交代しての11月1日のテイク6、7、9、10、11と、7テイク分も収められている。このテイク数は他の収録曲と比べて群を抜いており、いろいろと試行錯誤した様子が伺える。

『The Freewheelin' Bob Dylan』のテスト・プレスに収録され、公式盤でオミットされた曲は、「Rocks & Gravel (Solid Road)」のほかに3曲ある。そのうち「Rambling, Gambling Willie (Gamblin' Willie's Dead Man's Hand)」(4月24日録音)と「Let Me Die In My Footsteps」(4月25日録音)は1991年の『The Bootleg Series Volumes 1 - 3 [Rare & Unreleased] 1961-1991』で日の目を見たが、後者はオリジナルにあったヴァース部分が欠けているらしい。「Talkin' John Birch Paranoid Blues (Talkin' John Birch Society Blues)」は1991年以降、いくつかのライヴやデモ・ヴァージョンが公表されたが、4月24日のオリジナル・スタジオ録音は未復刻のままだ。「Rocks And Gravel (Solid Road)」は、弾き語りのライヴ・ヴァージョンが2005年に米国のスターバックスで限定発売された『Live At The Gaslight 1962』に収録されている。

Gaslight

今回のCD-Rに収録されたのは、テスト・プレスに採用された11月1日のテイク1ではなく、同日のテイク2の方である(今回のCD-R 4枚組の目的は、アセテート盤などは別にして、あくまでもこれまで公式に一度も出ていない音源の流通にあるようで、レアであっても過去に出たことがあるものは対象とならないようだ)。このほかに4月25日のソロ弾き語りヴァージョン(テイク3)も今回収録された。

長くなってしまったので、肝心の音については次回。

(結局また続くことになってしまった)

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