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November 21, 2013

ボブ・ディランの47枚組BOX(その3)

ボブ・ディランの47枚組BOX 『THE COMPLETE ALBUM COLLECTION VOL. ONE』についてもう少し続ける(前回の記事はこちら、前々回はこちら)。

『Hard Rain』の修正盤が届いたら紹介しようと思うのだが、すぐにメールの返事があった割には、まだ届かない。ちなみに、エラー盤の交換に関する現在の問い合わせ先は BobDylan.replace@sonymusic.com に変更になっているようだ。また、19日からソニー・ミュージックジャパンの取り扱い分も出荷が開始されたが、何とエラー盤と修正盤が同梱されているとのこと。

さて、内容に関しても少し書いておこう。まず、ファースト・アルバム『Bob Dylan』が、モノラルで収録されていた(そのことに関する記載はどこにも見当たらない)。実はこのアルバムは今回初めて聴いたのだが、『Masterpieces(傑作)』収録の「Song To Woody(ウディに捧げる歌)」や『Biograph』収録の「Baby, Let Me Follow You Down(連れてってよ)」を聴く限り、ギターが右、歌とハーモニカが左に定位しているのに対し、今回のCDではすべてセンター。2010年の『The Original Mono Recordings(ボブ・ディラン・モノ・ボックス)』を聴いていないので、まったく同じマスターを使っているかどうかはわからないのだが。

Bd

ジャケットはこの通り、ステレオ盤のものが使われている。

Bd_d

盤面はこのようにオリジナル・モノラル盤を(厳密ではないが)摸したものになっている。

Freewheelin

Freew_d

セカンド『The Freewheelin' Bob Dylan』からはジャケット通りにステレオで収められているが、盤面にステレオ表記はなく、『Bringing It All Back Home』まで同様。お馴染みのステレオ表記が登場するのは『Highway 61 Revisited(追憶のハイウェイ61)』からだ。

H61

『The Freewheelin' Bob Dylan』のアルバムのステレオ・ミックスはギターが右、ヴォーカルがセンター、ハーモニカが左に定位しているが、ヴォーカルとハーモニカを同じマイクで録音しながらツマミで操作しているので、いささか不自然な印象を受ける。そんなこともあってか、『The Times They Are A-Changin'(時代は変る)』以降はステレオ録音であってもギター弾き語りの場合は歌も楽器もセンターに寄せられている。

時代は飛んで、1995年の『MTV Unplugged』には2種類あって、アメリカ盤には入っていない「Love Minus Zero/No Limit」が日本盤やヨーロッパ盤には入っているとのことだが(持っていなかったので知らなかった)、今回は未収録。こういう時にきちんと入れてくれてもバチは当たらないと思うのだが(本編でなくても『Side Tracks』に入れるとか)。

そのオリジナル・アルバム未収録曲集『Side Tracks』については、前回も触れたように、重要曲/ヴァージョンの欠落が多いものの、アルバム収録曲と未収録曲がランダムに並んでいた『Biograph』と比べれば、ダブらない曲だけが時系列で並べられているので、聴きやすいことも確かだ。

Sidetracks

『Biograph』に収められていたアルバム未収録曲のうち、その後『The Bootleg Series Vol. 4 - Bob Dylan Live 1966 - The "Royal Albert Hall" Concert』に収められた「It's All Over Now, Baby Blue」のマンチェスターでのライヴと、『Shot of Love』のアウトテイクで、同アルバムの現行CDに追加収録された「The Groom's Still Waitng At The Alter」を除く全曲が、今回『Side Tracks』に収められている。

…と思い込んで、『Biograph』のCDを先日処分してしまったが、これは失敗だった。1曲がヴァージョン違いだったのだ。それも「Mixed-Up Confusion(ゴチャマゼの混乱)」という重要曲が、である。

この曲は1962年12月に初のシングルとして発売されたものの、バンド・サウンドだったためイメージに合わないとして直後に回収された。オリジナル盤は当然激レアだが、1960年代後半にオランダやフランスなどでオリジナル通りの内容でリリースされている。フランス盤は、いつもお世話になっているJDさんがブログanalog Beatの2010年9月の記事『Bob Dylan 「The Freewheelin’」(3)関連曲』で紹介されていたが、私は遅ればせながら先ほどオランダ盤をネットで見つけて、オーダーしたところ。JDさんもご紹介の通り、カップリングの「Corrina, Corrina」は『The Freewheelin' Bob Dylan』収録のものとはまったくの別ヴァージョンで、これまで一切復刻されていない。

「Mixed-Up Confusion」は日本では、LP購入特典の非売品『Mr.D's Collection #1』などに収録された後、前回も触れた1978年の来日記念盤3枚組LP『Masterpieces(傑作)』に、モノラル・ミックスで収録された。

Masterpieces

「Mixed-Up Confusion」は1985年、『Biograph』にステレオ・ミックスが収録されたのだが(未聴)、1997年にリマスターされた際、ヴァージョンが差し替えられた。私が持っていて手放してしまったのは、このリマスター盤の方である(スマホで聴けるようパソコンにmp4データの形では残してあったのがせめてもの幸い?)。

『Masterpieces』にモノラルで、『Biograph』初版にステレオで収録されたのは、シングル・ヴァージョンではなかった。1962年11月1日録音のTake 10をもとに、1964年12月になってバッキング・トラックを消してディランのヴォーカル、ギター、ハーモニカを残した上で別のミュージシャンたちがオーヴァーダブを施し、テープの回転速度を落とすという作業が施された(何のために?)謎のオルタネイト・ヴァージョンだというのだ。今日Searching For A Gemというサイトの"1962 - Mixed Up Confusion"という記事でこの事実を確認し、改めて驚いてしまった。というか、ちゃんと聴いておけよ、オレ、という感じでお恥ずかしい。

『Biograph』リマスター盤で差し替えられたのは1962年11月14日録音のTake 14で、こちらは正真正銘のシングル・ヴァージョン(ただしステレオ)というわけである。ところが、今回『Side Tracks』に収められたのは、オルタネイト・ヴァージョンのほうだった。これは明らかに編集作業のミスだろう。もったいないことだ。

どちらが出来が良いかといえば、シングル・ヴァージョンのほうで、スウィンギーに跳ねるドラムスやピアノがカッコいいし、一体感もある。オルタネイト・ヴァージョンはテンポ(ピッチ)が遅いのがやはりヘン。サウンド的には『Bringing It...』以降のイメージにより近い。

ところで、『Masterpieces』収録のモノラル・ミックスと『Side Tracks』収録のステレオ・ミックスも、演奏自体は同じだがかなり印象が違う。ステレオでは、ディランの歌やギターとバックのサウンドがそれなりにバランスが取れているのだが、モノラルの方はリズム・セクションが思い切り後ろに引っ込んでいて、迫力というものがまるでない。

今回の『Side Tracks』についてのライナーで『Masterpieces』の存在に言及し、「George Jackson」がそこから取られたように書かれているのも困ったものだ(前回も書いたように、『Masterpieces』に収録されているのはシングルA面のビッグ・バンド・ヴァージョン、今回収録されたのはB面のアコースティック・ヴァージョン)。

(続く、かも)

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November 16, 2013

ボブ・ディランの47枚組BOX(その2)

ボブ・ディランの47枚組BOX "THE COMPLETE ALBUM COLLECTION VOL. ONE"について続ける(前回の記事はこちら)。

まず、海外のフォーラム、例えばSteve Hoffman Music Forums内のBob Dylan: Complete Album Collection (pt3)などで話題の続いている『Hard Rain』のディスク・エラーについて(最初に目にしたのは、amazon.co.ukでのこのレビューだった)。

どういうものかと言うと、4曲目「Oh, Sister」の2か所に音飛びのようなものがあるのだった。具体的には、

0:08: "You should not treat me..."という歌詞の歌いだしの"you"の頭の部分がわずかに切れている。

3:53: "You may not see me tomorrow"という歌詞の"tomorrow"の2番目の"o"にあたる部分がブチッと切れている。

私が買ったものもこれに該当するが、Sony/Legacyでもこのエラーに早く気付いたようで、既に修正版ディスクが用意されている。最初から修正ディスクが封入されているBOXもあるようだし(現在出荷されているのもそうだろう)、希望者には無料で送ってくれる。そして、この無料送付が迅速なのも話題となっている(FedEx使用)。担当しているのはニューヨークのSony/LegacyのJim Lane氏(Jim.Lane@sonymusic.com)で、私も一昨日の深夜(日本時間)にメールしたら、1時間半で「すぐに送ります」と返事が来た。さすがにまだブツは届いていないが、アメリカ国内やヨーロッパには24~48時間程度で届いているようだ。

エラー盤と修正盤を見分けるポイントは、信号面内側の刻印の番号。

エラー盤の例:55579432/88691924312-22 21
修正盤の例:55657247/88691924312-22-1 21

55で始まる最初の8ケタの数字のパターンは複数あるようだ。88691924312はこのBOXの番号。『Hard Rain』はDisc 22なので、"-22"の枝番が付くが、修正盤には更に"-1"の枝番が付く。ただし、この"-1"が付いていなくても、エラーの発生しない盤もあるようだ。3:53のものはともかく、0:08のエラーについては、気付かない人もいるかもしれないが。

ソニー・ミュージックジャパン取り扱い分の輸入盤の発売が5日→8日→19日と遅れたのも、前回「(日本語訳)ブックレットの制作が遅れているせいか」と書いたが、『Hard Rain』の確認あるいは交換作業のためかも知れない。

このBOXの発売が告知された時、多くのファンが注目したのが、オリジナル・アルバム未収録曲をまとめた2枚組『Side Tracks』だろう。
Sidetracks_a

そして実際に曲目が発表されて、がっかりした人も多かったようだ。私もその一人だ。
Sidetracks_b

紙ジャケの内側はこんな感じで(クリックすると拡大)、曲目と録音日、初出が掲載されている。ちなみに今回の2枚組のジャケットは、いずれもこのように盤を内側から取り出すようになっている。サイズも盤がキチキチ状態なので取り出しにくいが(ジャケットの上下を軽く押しながら、盤をころがすように取り出すのがコツかな)、センターの折れ目部分がかさばらず、ジャケットが中途半端に開きっぱなしになったりしないので、私は嫌いではない。

曲目はすべて既発で、当初シングルのみで出たものでも、その後編集盤に収録されたものに限って収録されている。85年の『Biograph』が初出のアウトテイクやデモなどが中心で、『Greatest Hits』のシリーズ(特に第2集)で出たものも少なくない。『Oh Mercy』のアウトテイクである「Dignity」は『Greatest Hits Vol. 3』所収のブレンダン・オブライエン・リミックスではなく『Dylan』(もちろん73年の同名アルバムではなく、07年の赤箱)などに収録されたヴァージョンとのこと。

収録時間にはまだ余裕があるのだから、78年の初来日を記念して日本で編集された『Masterpieces(傑作)』(オーストラリアのみでCD化?)で復刻された「Just Like Tom Thumb's Blues (Live)」「Spanish Is The Loving Tongue」(『Dylan』(73)収録版と別ヴァージョン)「George Jackson (Big Band Version)」「Rita May」ぐらいは入れて欲しかった。

Georgejackson

代わりに「George Jackson (Acoustic Version)」が収録されたが、これは『Listen Whitey! Sounds of Black Power 1967-74』というオムニバスで既に復刻されていた、ということを最近知った。

今夜この記事を書きながら、30数年ぶりに『At Budokan』を聴いた。公演もこのライヴ盤も、当時は拍子抜けしながら聴いた記憶があるが、軽めながら多彩なアレンジが施されていて、今聴くと実に面白い。

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November 13, 2013

ボブ・ディランの47枚組BOX "THE COMPLETE ALBUM COLLECTION VOL. ONE"

フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの来日延期がさすがに応えた、というわけでもないのだが、ブログの更新が2ヶ月も途絶えてしまった。

それはともかく、改めての初来日まであと2ヶ月、そして前回も予告したとおり、来月には武蔵小山のライヴ・カフェ・アゲインでトーク・イベント第2弾も開催するので、盛り上げていかなければ。内容はこんな感じなので、よろしくお願いします。


 今度こそフランキー・ヴァリ!フォー・シーズンズ来日記念トーク Vol.2

 出演:高田和子、斎藤充正
 Open:19:00 / Start:19:30
 入場料:1,000円

 待望の初来日が9月から2014年1月に延期されたフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シースンズ。せっかくなので、8月にご好評頂いたトーク・イベントの第2弾を開催! クリント・イーストウッド監督で撮影の進む彼らの伝記映画“Jersey Boys”の最新情報や、前回ご紹介できなかった秘蔵音源/映像などをお届けします。ぜひお気軽にご参加ください。


といいつつ、今日は別の話題。ちょうど前回のブログを書いた後、ボブ・ディランの『Another Self Portrait - The Bootleg Series Vol. 10』のデラックス・エディション4枚組を買ったのだが(国内盤の19,800円という価格設定があんまりだったので、輸入盤の中古を1万ちょっとでゲット)、挟まれていた小さいカードに『The Complete Album Collection』の案内があって、グッと惹かれてしまった。徐々に判明した内容は、オリジナル・アルバム35タイトル、ライヴ・アルバム6タイトルに未収録曲集2枚組『Side Tracks』が付くというものだった。

Dylan__2

これは別の告知画像。

中学から高校に上がる74年の春休み、ラジオ(確かFEN)で聴いた「On A Night Like This(こんな夜に)」がカッコいいと思い、出たばかりの『Planet Waves』を買って以来、ディランは折に触れて聴いてきたが(ライヴを観たのは78年と01年のいずれも武道館)、80~90年代のアルバムはほとんど聴いていなかったし、去年の『Tempest』も買い逃したままだった。手元にある70年代までのアルバムは全部日本盤LPだし。

日本のアマゾンやタワーで予約すると2万2~3千円といった価格設定だったが、いろいろ調べてアマゾンUKだと送料込みでも(相場が大きく変動しなければ)1万8千円を切ることがわかり注文。表示価格だけを見ると判りにくいのだが、日本からのオーダーだとVAT(付加価値税)分がかからないので安くなるのと、イギリスのアマゾンは他の各国のアマゾンに比べて海外向けの送料が安いのだ。

国内発売がない代わりに、ソニーミュージック・ジャパン取り扱い分の輸入盤にはブックレットの日本語訳を収録したスペシャルブックレットが付くとのことだが、価格差を考えて不要と判断。また、そのブックレットの制作が遅れているせいか、SMJ取り扱い分の発売日は5日から19日に延期された。

私がイギリスにオーダーした分は、3日に発送通知が来て、今日の午後無事に届いた。

Dylan_comp

フタを開けると中はこんな感じだ。日本製の紙ジャケではないので、精度にはハナから期待していなかったが、まあオリジナルの再現度は、こんな感じ。左上のロゴやカタログ番号の表示に注目。

Dylan_3

『Bringing It All Back Home』は、一応正しい復刻と言える。『Another Side of Bob Dylan』は、Columbiaのロゴがどこかへ行ってしまったし、右の余白が少なく写真が右に寄っている。『Highway 61 Revisited』は60年代末か70年代以降のプレスのコピーだね、こりゃ。

海外のフォーラムなどで話題になっている、『Hard Rain』の盤不良などについては次回以降に。

(続く)

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