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April 20, 2013

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(33)

ザ・フォー・シーズンズのオリジナル・セカンド・アルバム『BIG GIRLS DON'T CRY』、A面の曲目紹介を続ける。

4. Tonite, Tonite (William Nobles)

フランキー・ライモン&ザ・ティーネイジャーズの影響を受けて1956年に結成されたドゥーワップ・グループのザ・メロートーンズは、1957年4月にヘラルドからこの曲でデビューした。ところがまったく同じ名前のグループが近くに存在していたことに気付き(同じ月にジーから「Rosie Lee」をリリース)、急ぎザ・メローキングズと改名、レコードもプレスし直した。メローキングズの「Tonite, Tonite」はビルボード・ホット100の第77位までしか上がらなかったが、ドゥーワップ・クラシックの仲間入りを果たし、ディオンも「Tonight, Tonight」のタイトルで、1962年のアルバム『LOVERS WHO WANDER』でカヴァー(未聴だが)。フォー・シーズンズ版も、原曲のドゥーワップ感覚をそのまま生かした仕上がり。

曲を書いたのはヘラルド/エンバーのスタッフ・ソングライターだったWilliam Myles Noblesで、ここではウィリアム・ノーブルズと表記されているが、ビリー・マイルズの名が一般的。その名前で、シンガーとしても1957年に自作の「The Joker (That's What They Call Me)」をヒットさせているが、マイルズの最も有名な作品はフレディ・キングが1960年に録音した「Have You Ever Loved A Woman(愛の経験)」だろう。デレク&ザ・ドミノズの『LAYLA AND OTHER ASSORTED LOVE SONGS』に収録されているのをはじめ、エリック・クラプトンの定番レパートリーとして知られている。

5. Lucky Ladybug (Frank Slay, Jr. - Bob Crewe)

やはりフランク・スレイとボブ・クルーが書いたファースト・アルバム収録の「La Dee Dah」は男女デュオ、ビリー&リリーのデビュー曲のカヴァーだったが、この曲はビリー&リリーの3枚目のシングル(1959年)で、ビルボード・ホット100で14位まで上昇した。チャチャチャっぽいリズムのノヴェルティー感覚にあふれた楽しい曲で、オリジナルはブラスやハンドクラップを効果的に使ったコミカルな仕上がりだったが、フォー・シーズンズ版はシンプルというかコンパクトにまとめている。シングル「Walk Like A Man」のカップリング曲でもある。

6. Alone (Selma Craft - Morty Craft)

ここでは表記されていないが、正しくは「Alone (Why Must I Be Alone)」とサブタイトルが付く。オハイオ州ミドルタウン出身の4姉妹によるコーラス・グループ、ザ・シェパード・シスターズ(別名:ザ・シェップズ)唯一の大ヒット曲で、1957年11月にビルボード・ホット100の18位まで上昇。イギリスでは世界的に有名になる前のペトゥラ・クラークが同年にカヴァーし、全英チャート8位を記録した。シェパード姉妹の所属レーベル、ランスのオーナーでありプロデューサーだったモーティー・クラフトが曲を書き、妻のセルマが詞を付けた。

シェパーズ姉妹のヴァージョンは、ハモリもあるがユニゾン主体で元気よく歌われるという、アイドル・グループ的パターン。ペトゥラ・クラーク版にも♪ララララーラララ、と女性コーラスが絡む箇所があるが、フォー・シーズンズ版は♪ランラララランランランララという高速コーラスとフランキー・ヴァリとの絡みが決め手で、作品としての完成度は遥かに高く、この曲の決定版と言えるだろう。

フォー・シーズンズの「Alone」は、フィリップス移籍後の1964年5月になってから「Long Lonely Night」とのカップリングでシングル・カットされ(VJ 597)、ビルボード・ホット100で28位まで上昇した。

この曲は後年トレイシー・ウルマンもカヴァーしていた。1984年のシングル「Sunglasses」の12インチ・ヴァージョンにカップリングされているが、フォー・シーズンズ版を下敷きにしたカッコいい出来栄えになっている。この曲のカヴァーでは、山下達郎の『オン・ザ・ストリート・コーナー 1』(1980年)に収められたア・カペラ・ヴァージョンも忘れてはならないだろう。フォー・シーズンズ版がベースになっているのは、言うまでもなく。

続いてB面の曲目紹介に移る。

1. One Song (Larry Morey - Frank Churchill)

ウォルト・ディズニー初の長編アニメ映画として1937年に公開された『白雪姫(Snow White and the Seven Dwarfs)』の挿入歌で、フランク・チャーチル作詞、ラリー・モーリー作詞。白雪姫(アドリアナ・カロセッティ)が歌う「I'm Wishing(私の願い)」に続いて、現れたプリンス(ハリー・ストックウェル)が白雪姫に歌いかけるのがこの歌。デイヴ・ブルーベック・クォーテットの1957年のアルバム『DAVE DIGS DISNEY』では、やはり『白雪姫』の挿入歌である「Heigh-Ho」や「Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)」と共に取り上げられていたが、その2曲に比べると、ポップス系アーティストも含めてカヴァーされる頻度はきわめて低いようで、フォー・シーズンズとしても珍しいカヴァーに含まれるだろう。ジャングル・ビート、とまでは言わないがパーカッシヴなアレンジにファルセットとコーラスが絡む、というフォー・シーズンズらしい仕上がり。

2. Sincerely (Harvey Fuqua - Allen Freed)

オハイオ州クリーヴランドでディスク・ジョッキー、アラン・フリードのバックアップを得て活動を開始、1952年にレコード・デビューした黒人ヴォーカル・グループ、ザ・ムーングロウズが1954年にチェス・レコード移籍第1弾としてリリースした名曲。リード・シンガーでメイン・ソングライターのハーヴェイ・フックァとフリードの合作で(フリードは名前だけだろうが)、ビルボード・ホット100の第20位まで上昇したが、より売れたのは白人女性ヴォーカル・グループ、ザ・マクガイア・シスターズのカヴァー・ヴァージョンで、1955年2月から3月にかけて第1位となった。

1961年8月にはザ・トーケンズがアップ・テンポにしてカヴァーしている(出来はよかったがチャートは120位が最高、ちなみに次のシングルが1位になった「The Lion Sleeps Tonight(ライオンは寝ている)」)。一方フォー・シーズンズの方はテンポはゆったりめで、ムーングロウズの温かみのある雰囲気を残しながらアップ・トゥ・デートな感覚で仕上げている。1964年8月に「One Song」とのカップリングでシングル・カットされたが(VJ 608)、最高位は75位だった。

(この項続く)

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Comments

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

Posted by: 株式の勉強 | May 13, 2013 at 01:15 PM

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