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April 18, 2013

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(32)

去年の暮れ以来、いろいろあって4か月近くも間が空いてしまったが、ザ・フォー・シーズンズのオリジナル・セカンド・アルバム『BIG GIRLS DON'T CRY』の紹介を続ける。

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前回掲載したクレジットを見てもわかるように、このアルバムでついに全曲のオーケストラ・アレンジと指揮がチャールズ・カレロとなった。……と言いたいところだが、タイトル曲はファースト・アルバム『SHERRY & 11 OTHERS』およびセカンド・シングルからの再録であり、いずれにもカレロの名はなかった(アルバムにはアレンジャーとしてボブ・クルー、ボブ・ゴーディオ、シド・バースの3名を列記)。第23回では「Big Girls Don't Cry」について、シングル盤のレーベル写真を添えて、

ウィキペディアのシド・バースの項では「Big Girls Don't Cry」のアレンジも彼だとしているが、ご覧の通りクレジットはない。真相は如何に?
と書いたが、結局誰が担当したのかは不明のまま、ということになる。いずれにせよ、本盤の残りの12曲はすべてカレロのアレンジと考えて間違いないだろう。

それではA面の曲目を紹介していこう。

1. Walk Like A Man (Bob Crewe - Bob Gaudio)
ボブ・クルーとボブ・ゴーディオの合作。邦題は「恋のハリキリ・ボーイ」。フランキー・ヴァリのファルセットとメンバーのコーラスとの絡みも絶妙で、「Sherry」「Big Girls Don't Cry」以来の黄金のパターンここに極まれりといった感じだ。1963年1月に先行シングル(VJ 485)としてリリースされ、3月2日付から3週連続でビルボード・ホット100の第1位をキープした。

ステア=フィリップス・レコーディング・スタジオでこの曲をレコーディング中、同じビルの上の階にあるアビー・ヴィクトリア・ホテルで火災が発生した。煙や水がスタジオに染み出してきてからも、ボブ・クルーとメンバーたちは完璧なテイクを求めるのをやめようとせず、クルーはスタジオのドアをロック。斧でドアをこじ開けた消防士たちにつまみ出されるまでレコーディングを続けたという。

2. Silhouettes (Frank Slay - Bob Crewe)
ファースト・アルバム収録の「La Dee Dah」と同様、フランク・スレイとボブ・クルーが合作した曲。二人の関わりについては第24回の同曲の解説でも紹介したが、そこでも触れたこのコンビの最初のヒット曲がこの「Silhouettes」だ。

1957年5月、走る電車の窓から外を眺めていたクルーは、ブラインド越しに抱き合っているカップルの姿を見つけ、瞬時に曲のイメージを組み立てたという。歌詞を書いたスレイはこの曲が完成したところで、自分が働いていたカメオ=パークウェイにオーディションに来た黒人ドゥーワップ・グループ、ザ・レイズがこの曲を歌うのにふさわしいことに気付いた。クルーとスレイの独立レーベルであるXYZからリリースされ、カメオが配給を受け持ったレイズのシングルは、ビルボード・トップ100の第3位まで上昇、グループにとって唯一の大ヒット曲となった。カヴァー・ヴァージョンも数多く、1965年にはハーマンズ・ハーミッツもヒットさせている(全米、全英ともに第5位)。

フォー・シーズンズのヴァージョンは、クルーがプロデュースしているせいか、レイズのヴァージョンに比較的忠実な仕上がりだ。

3. Why Do Fools Fall In Love (Frank Lymon - George Goldner)

フランキー・ライモン&ザ・ティーネイジャーズ(13歳のライモンほか全員が実際に10代だった)、ライモンの自作による1956年2月のデビュー・ヒットで、R&Bチャート第1位、ビルボード・ポップ・チャート第6位、UKシングル・チャート第1位をそれぞれ記録。邦題は「恋はくせもの」。この曲のヒットで彼らは一躍50年代後半のニューヨークを代表するR&Bグループにのし上がる。共作者として発売元ジー・レコードの社主ジョージ・ゴールドナー(第27回参照)がクレジットされているが、権利をモーリス・レヴィーに売り渡してからは、共作者のクレジットもレヴィーとなった。ちなみにメンバーのハーマン・サンティアゴもソングライティングに関わったとのことだが、初期シングルや一部の例外を除いてクレジットから外され、法廷闘争に進展した。

この曲を録音当時のフォー・シーズンズのメンバーは、公称ではフランキー・ヴァリが25歳、トム・デヴィートが26歳、ニック・マッシが27歳、ボブ・ゴーディオが20歳だったが、なんとヴァリは3歳、デヴィートとマッシは8歳(!)も鯖を読んでいたので、実際にはヴァリは28歳、デヴィートは34歳、マッシは35歳だった。だからゴーディオ以外はティーネイジャーにはすでに程遠かったわけだが、ライモンたちを意識してか、実に若々しく快活なヴォーカルとコーラスを聴かせてくれている。

この曲のカヴァーでは、ザ・ビーチ・ボーイズのものもお馴染みだろう。1964年2月のシングル「Fun, Fun, Fun」のB面(オリジナル・シングル Capitol 5118 には作者クレジットが"Lymon-Goldner"のものと"Lymon-Santiago-Goldner"のものとがある!)および同年3月のアルバム『SHUT DOWN VOLUME 2』に収められている。以前レポートしたように、去年の彼らの千葉公演でもこの曲は演奏されたが、アル・ジャーディンを中心としたコーラス・ワークが感動的だった。

(この項続く)

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