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November 14, 2012

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(27)

前回「Oh, Carol」について紹介した中で、「フォー・シーズンズの取り上げるレパートリーには、ブリル・ビルディングに集ったソングライターたちの作品はほとんど登場しない」などと書いたが、1965年にはバート・バカラック=ハル・デイヴィッド作品をA面に集めた『THE 4 SEASONS SING BIG HITS BY BURT BACHARACH... HAL DAVID... BOB DYLAN』を制作していることもあり、あまり正確ではなかったので訂正しておきたい。

また、肝心のアレンジについても触れていなかった。実はニール・セダカに関しては、1970年代のアルバムは昔から聴いていたが、1950年代後半~1960年代前半の黄金期の音源をまったく持っていなかったので、せっかくだから2003年発売の8枚組BOX『OH CAROL: THE COMPLETE RECORDINGS 1956-1966』を聴いておこうと注文したのだが、3週間経っても届く気配がない。原曲自体はYouTubeなどで聴くことは可能だが、フォー・シーズンズはメロディーをかなりいじっていることがわかる。

さて、デビュー・アルバム『Sherry & 11 Others』関連音源としては、まずそれ以前のデビュー・シングルに触れておかなければならない。

BERMUDA (C. Strother) c/w SPANISH LACE (Crewe)
Gone 5122
Gone5122a

Gone5122b

1951年10月31日、16歳のシンシア・ストロサーと11歳のケイ・ストロサー姉妹は、アマチュアが自作曲を売り込む形式のLAの音楽番組に出演し、シンシアの自作曲「Bermuda」を歌った。これが評判となりRCAがスカウト、姉妹はベル・シスターズ(ベルは母方の旧姓)として同曲を11月にレコーディング。シングルはすぐに発売され、翌1952年3月にはビルボード・シングル・チャートの第7位に到達。彼女らのデビュー曲にして最大のヒット曲となった。

そんな曲のカヴァーが、いかにしてフォー・シーズンズとしての最初のレコードになったのか。ニック・マッシによれば、ある日彼らがスタジオで遊びで「Bermuda」を歌っているところにボブ・クルーが入ってきて「そいつを録音しよう」と言った。マッシは「まだ準備が出来ていないよ。俺たちはまだ歌いこなせてもいない」と反論したが、何はともあれクルーは1961年11月、ニューヨークのベル・サウンド・スタジオでこの曲を録音し、12月にゴーンから発売した(クリスマス・シーズンとぶつかって出荷が遅れ、実際に店頭に出回ったのは1962年1月になってから)。

ゴーンは、ジョージ・ゴールドナー (George Goldner) が1957年に設立したレーベル。ゴールドナーはラテン音楽で有名なティコ (Tico) を1940年代に設立、その後1953年にラマ (Rama) とジー (Gee)、1957年にゴーン (Gone) とエンド (End) を立ち上げたが、ギャンブルで作った借金の返済のために、1956年にルーレットを共同で設立したモーリス・レヴィーに売却するはめとなり、各レーベルは1962年までにルーレット傘下となった。

ボブ・クルーによれば、「Bermuda」はフィラデルフィアではヒットの兆しがあったものの、他には波及せず、チャート入りせずに終わった。一方1962年には女性歌手のリンダ・スコットも、原曲のイメージを残したエキゾティックな雰囲気でこの曲をカヴァー、そちらはチャートの70位まで上がる小ヒットとなった。

フォー・シーズンズの「Bermuda」には、トレードマークとなるフランキー・ヴァリのファルセットは使われず、決して悪くはないのだがインパクトに欠ける。リンダ・スコット版の方がイメージは明快だ。

カップリングの「Spanish Lace」はボブ・クルーのオリジナルだが、これが初出ではない。クルーのトピックス・レーベルから1960年6月にリリースされたターナー・ディ・セントゥリ (Turner Di Sentri) 名義のシングル盤にすでに収録されていた。

TEN MILLION TEARS (Crewe) c/w SPANISH LACE (Crewe)
Topix 45-6001
45_6001a

45_6001b

どちらもリズム・セクションとストリングスなどをバックにピアノがメロディーを奏でるロマンティックなインストゥルメンタル。ターナー・ディ・セントゥリという奇妙な名前は実はボブ・ゴーディオの変名で、結局1枚のソロ・レコードも作っていないゴーディオの唯一の単独作とも言える。「Ten Million Tears」の方にはコーラスも入っているが(UK鑑賞団体セッショングラフィーではコーラスをフランキー・ヴァリとトム・デヴィートとしている)、エンディングのところでヴァリのファルセットもちょこっとだけ出てくる。

レーベル面のクレジットでは「Ten Million Tears」が『Another Apartment』のテーマ、「Spanish Lace」が『West Side』のテーマとなっているが、いずれもどんな作品なのかは不明である。

ターナー・ディ・セントゥリ版ではインストゥルメンタルだった「Spanish Lace」も、フォー・シーズンズ版ではヴォーカルがメインであり、フランキー・ヴァリのファルセットもたっぷり聞けて、彼らのパブリック・イメージに近い仕上がりとなっている。

ゴーンからのシングルはこの1枚のみで、すぐヴィー・ジェイに移るわけだが、ヴィー・ジェイ以降の音源を自分たちの管理下に収めることになる彼らも、この2曲に関しては手を付けておらず、フォー・シーズンズのコンピレーションにも収められたことはない。

「Sherry」でのブレイク後にこの2曲を収めた編集盤としては、ゲスト・スターというところから出たリプロ盤が知られているが、正規のものとしてはルーレット傘下音源を集めたシリーズからの、次のものがある。

GOLDEN GOODIES VOL. 7 (Roulette R 25212)
R25212a

R25212b

R25212d

1963年リリース。これは後期のプレスで、裏ジャケットとレーベル面のデザインがオリジナルとは異なる(次のVol. 11参照)。こちらには「Bermuda」を収録。ディオン&ベルモンツの「Teen Angel」、フォー・シーズンズがカヴァーしたムーングロウズの「Sincerely」やハープトーンズの「Sunday Kind Of Love」、ビーチ・ボーイズがカヴァーしたリージェンツの「Barbara Ann」など興味深い曲目が並んだコンピレーションだ。

GOLDEN GOODIES VOL. 11 (Roulette R 25219)
R25219a

R25219b

R25219d

これは1963年のオリジナル・プレスと思われ、こちらには「Spanish Lace」を収録。フォー・シーズンズが1964年にカヴァーするザ・ウィローズの「Church Bells May Ring」のほか、ドゥーワップの好演が目白押し。

CD時代に入り、1993年にライノ傘下のコレクタブルズから、ジョージ・ゴールドナーの各レーベルごとのコンピレーション・シリーズが登場する。

THE SPOTLIGHT SERIES - GONE RECORDS - VOL. 1 (Collectables COL-CD-5460)
Colcd5460a

Colcd5460b

Colcd5460d

ジャケットには"SPOTLITE ON GONE RECORDS"と書かれているが、バックインレイ、背、盤面ではいずれも"THE SPOTLIGHT SERIES - GONE RECORDS"となっているので(実にいい加減だ)、そちらを正式タイトルとして扱うことにする。

THE SPOTLIGHT SERIES - GONE RECORDS - VOL. 2 (Collectables COL-CD-5461)
Colcd5461a

Colcd5461b

Colcd5461d

Vol. 1に「Spanish Lace」が、Vol. 2に「Bermuda」が収録されているが、驚くべきことに、どちらもこれが初出と思われるステレオ・ヴァージョンだった。リズム・セクションが左寄り、ヴォーカルとコーラス、オーヴァーダビングされた楽器が右寄りに配置されているが、リズム・セクションが引っ込み気味でバランスが悪く、迫力に欠けるのが惜しい。「Bermuda」はフェイド・アウトのタイミングが長いロング・ヴァージョンだった。

このようにマスターのリサーチはなかなかだったが、ライナーはまだしも作者名のクレジットすらなく、ブックレットにはシリーズのカタログのみが掲載されていた。

1995年にシークェルからリリースされたコンピレーション『WHITER SHADE OF DOOWAP』 (Sequel NEMCD 715) には2曲とも収められているが、コレクタブルズ盤と同じ音源を使用していると思われる。

GEORGE GOLDNER PRESENTS THE GONE STORY (West Side WESD 206)
Wesd206_a

Wesd206_c

Wesd206_b

Wesd206_1

Wesd206_2

1999年リリースのこちらは力の入ったコンピレーションで、CD2枚に51アーティストの65曲が収められ、詳しいクレジット(2つ目の写真参照)、各アーティストのバイオも掲載されていた。そしてフォー・シーズンズの「Spanish Lace」は、これまで未発表だった別テイク (Take 1) が入っていたのだ(「Bermuda」は未収録)。演奏自体はほとんど変わらないのだが、貴重なものには違いない。このウェスト・サイドというイギリスのレーベルは既になく、入手困難となったのが残念だ。

(この項続く)

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