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August 22, 2012

ザ・ビーチ・ボーイズ千葉公演

8月16日、QVCマリンフィールドにザ・ビーチ・ボーイズのコンサートを観に行った。

真夏の夕方(16:30)開演ということで、暑さがどの程度か気になったが、実際にはさほどの影響は感じなかった。B10ブロックとはアリーナのどのあたりの席なのか、会場到着まで全然判らなかったが、着いてみればほぼステージの正面、前から二つ目のブロックの前から二列目という好位置で、これはラッキーだった。

最初のゲスト、星野源が17:00過ぎに終わり、豪華な顔ぶれが執筆しているというプログラムを買いに球場の外に出た。ところが売場は反対側だと係員が言うので、中を突っ切って反対側へ抜け、売場のテントまで行くと、すでにものすごい長蛇の列! たかだかプログラムを買うだけなのに40分も並ばされてしまった。あれだけの会場・観客数なのにプログラム売場が一箇所、売り子が3人だけとは(その横にTシャツなどのオフィシャル・グッズ売り場と、CD/DVD売り場が並んでいる)、ひどすぎはしないだろうか(また、大阪と名古屋では早々と売り切れてしまい、買えなかった人も多かったらしい)。おかげでメイン(?)ゲスト、アメリカの最初の4曲ほどを見逃してしまったではないか(怒)。

そのアメリカ、「A Horse With No Name(名前のない馬)」や「Ventura Highway」「Sister Golden Hair(金色の髪の少女)」といった1970年代のヒット曲は好きだったものの、その後の活動はフォローしておらず、持っているのもベスト盤だけなので熱心なファンとはいい難いが、とてもよいステージで、得をした気分(それだけに最初の部分を見逃したのがやはり悔やまれる)。

デューイ・バネル(g&vo)とジェリー・ベックリー(g/key&vo)の現メンバー2人+g/key、b、dsという5人編成なのだが、サポート・メンバーも長く一緒にやっている人たちとのことで、音のまとまりもよく、歌も各楽器も一つ一つが無駄がなく明確。比較してしまっては酷だろうが、星野源たちのグループとは、音の届き方がまるで違う感じがした。これもキャリアの差だろうか(PAの腕の差もありそうだが)。

意外なレパートリーとしては、ママズ&パパズ「California Dreamin'(夢のカリフォルニア)」のカヴァーがあり(ビーチ・ボーイズも録音していて、ドイツ公演などでは演奏もしたようだ)、これもよかった。また、旧メンバー、ダン・ピーク(1977年脱退、2011年死去)の「Lonely People」をまさかのクリストファー・クロスが(1曲だけ)登場し歌うというサプライズもあった。クリストファー・クロスはビーチ・ボーイズの方にも、アンコールの「Kokomo」で登場し、故カール・ウィルソンのパートを歌ったが、故人のパート(だけ)を歌いに出てくるというのは、本人的にはどうだったのだろう。

約1時間のアメリカのステージの後、30分のインターバルを置いて、19時過ぎ、ついにビーチ・ボーイズが登場。のっけからアリーナは総立ち。そしてノンストップで1時間半、濃密な時間が展開されていった(その後にアンコール3曲)。十分に満足できる分量には感じたが、実はアメリカ各地での公演などに比べるとかなりの短縮版だったようで、ちょっと残念な気もする。

17日の大阪、19日の名古屋を含むセットリストはこちらを参照されたい。千葉が一番曲目が少なかったということで、「Getcha Back」と「Darlin'」は聴きたかったなぁ。しかも前者はデイヴィッド・マークス、後者はダリアン・サハナジャがリード・ヴォーカルだったというからなおさらだ。

千葉公演に話を戻して、冒頭からメドレーに近い感じでガンガン飛ばすのに驚いた。しかも、ニュー・アルバムではどことなく声に力がないように感じたマイク・ラヴがぐいぐい引っ張っていくではないか。やはり彼はビーチ・ボーイズの顔なのだ。

前半は影が薄いように感じたアル・ジャーディンも、後半からソロを取ることが多くなり、しっかりと自己主張していた。彼が曲紹介をしたフランキー・ライモン&ザ・ティーネイジャーズのカヴァー「Why Do Fools Fall In Love?(恋はくせもの)」が、実は今回一番感動した演奏の一つだった。ああいうコーラスは、本当にうまいなあ。

デイヴィッド・マークスも、別にうまくもなんともないのだがギター・ソロできっちりと見せ場を作っていく。反面、盛り上げ役に徹するばかりで、本来の才能に見合った活躍が見られなかったのがブルース・ジョンストン。「Disney Girls」ぐらいやって欲しかったと、誰もが思ったことだろう。

そしてブライアン・ウィルソン。「Sail On Sailor」を歌ってくれたのは嬉しかったが、「Heroes And Villains(英雄と悪漢)」ともども、とても危なっかしい歌い方だった。あとはコーラスにもあまり絡まず、ただ座っているだけの時間が長かった気がする。もちろん、1960年代のビーチ・ボーイズで彼が受け持ったファルセットのパートはジェフリー・フォスケットがしっかり担当しているわけだし、他のメンバーがリード・ヴォーカルを担当するのであれば、ブライアン・ウィルソン・バンドにおいてビーチ・ボーイズのレパートリーを自ら歌うのとは勝手が違うのは仕方ないのだろう。

サポート・バンドのメンバーでは、ドラムスのジョン・カウシルが故デニス・ウィルソンのワイルドさをうまく引き継ぐ感じで支えているのが印象に残った。

何はともあれ、次々に繰り出されるヒット曲の数々に酔いしれ、歌って踊って十分に楽しんだ、貴重な時間を過ごせたことは確か。50年のキャリアを総括する素晴らしいコンサートだった。

と、大観衆の中で感じながらも、アメリカン・ポップスのもう一方の雄だったフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズを日本で観ることなど到底かなわない絶望へと気持ちが傾いてしまう今の私なのであった。

この10月に彼らはブロードウェイで初公演(計7回)を行うという。行きたいけど現実的に不可能。

せめて、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』だけでも来日してくれないのか?(『ミリオン・ダラー・カルテット』は来るというのに)

映画化の話はどうなった?

……もうきりがないので、この辺でやめておく。

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August 11, 2012

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(21)

ボブ・クルーもフランキー・ヴァリも絶対の自信を持っていた「My Eyes Adored You(瞳の面影)」のリリースをモータウンが拒否したことで、業を煮やしたフォー・シーズンズは遂にこのレーベルを離れることにした。

モータウンの社主ベリー・ゴーディーは当初、彼らとの契約を名誉なことと考えていたにもかかわらず、映画の製作(具体的にはダイアナ・ロス主演の『ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実(Lady Sings The Blues)』)に没頭するようになってしまい、レコード制作に興味を失ってしまったのだ。

ヴァリは、この曲だけでなくモータウンで未発表のままになっている録音の数々を自分たちで買い取ろうとしたが、レーベルの提示した金額は途方もないものだった。そこで仕方なく「My Eyes Adored You」1曲だけを4,000ドルで買い取ることにした。

クルーとヴァリは意気揚々とこの曲をキャピトル、アトランティックなど名だたるレーベルに売り込みに行ったが、モータウン時代のセールス不振も災いし、どこも興味を示さなかった。チャーリー・カレロによれば、この曲を見送ったレーベルは実に32にも及んだという。

最終的に、ベル・レコードの元社長、Larry Uttal(読み方不明)が、この曲にヒットの可能性があることを嗅ぎ取った。1960年(?)に、将来を読めずにフォー・シーズンズを獲得しそこなった過去があるというUttalは、新しい独立レーベル、プライヴェート・ストックを設立したばかりで、所属アーティストを探していたのだ。

Uttalは、ヴァリのソロであるこの曲は気に入ったものの、なぜかグループとの契約には興味を示さなかった。1974年10月、ヴァリはプライヴェート・ストックとソロ契約を結び、ロイ・シカラの手によってLAのサウンド・スタジオでリミックスされた「My Eyes Adored You」は11月にシングル・リリースされた。カップリングには1968年の[14] "TIMELESS"([ ]の番号は例によって第3回のリスト参照)から「Watch Where You Walk」がそのまま持ってこられた。

「My Eyes Adored You」はイギリスで一足先にヒットし始め、1975年2月にチャートの5位まで上がった。実はイギリスのノーザン・ソウル・クラブ・シーンでは1973年に「I'm Gonna Change」([12] "NEW GOLD HITS"収録)が人気を博すなど、フォー・シーズンズ/フランキー・ヴァリの新旧トラックのいくつかが注目を集めるようになっていて、1975年2月には[17] "CHAMELEON"からの「The Night」が再度シングル・カットされ、5月16日にはUKポップ・チャートの7位を記録している。

「My Eyes Adored You」は全米チャートでも1974年11月26日にビルボードの103位に初登場、そこからゆっくりと動き出した。Uttalの精力的なプロモーションも功を奏し、リリースから約4か月後の1975年3月22日、遂にビルボードの第1位にまで登り詰めた。

グループの方は1975年に入りワーナー/カーブと契約を結び、重要メンバーのジョー・ロングの脱退という事態を経て、8月に「Who Loves You(愛はまぼろし)」をリリース。ビルボード第3位とこちらも大ヒットを記録し、ソロとグループの両輪で、第2の黄金時代へと突入する。

……と、ここまでフォー・シーズンズ/フランキー・ヴァリについてのいくつかの事象について書いてきたが、そろそろ音楽的な分析に入らなければならないだろう。ヴィー・ジェイ~フィリップス期のオリジナル・アルバムで、モノラル盤とステレオ盤が併発されていた時期のものについては、まずモノラル盤に揃えたのだが(特にヴィー・ジェイ時代はステレオ盤は数が少なく、中古市場でもあまり出回っていない)、ここへきてようやくステレオ盤も揃ったので、次回以降、ファースト・アルバムから順を追って紹介していきたいと思う。

(続く)

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