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March 29, 2012

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(5)

前々回ご紹介したアルバム・リストのように、ザ・フォー・シーズンズ及びフランキー・ヴァリが華々しく活躍していた1960年代、彼らのレコードは、ルーレット傘下のゴーンから出たファースト・シングルを除き、初期はヴィー・ジェイから、その後はフィリップスからリリースされていた。ヴィー・ジェイの音源は後にフィリップスからの編集盤にも含まれるようになったし、これも紹介したように、クリスマス・アルバムの[2]はアルバムごとフィリップスから再発された。

それでは、彼らの当時の録音は現在、フィリップス音源の権利を持つユニバーサルから出ているか、というと、これがまったく違うのである。彼らが劇的な復活を遂げた1970年代半ばですら、違っていた。彼らのヴィー・ジェイ~フィリップス時代のヒット曲を収めた2枚組"The Four Seasons Story"は1975年の暮れ、ヴァリが当時ソロで契約していたプライヴェート・ストックから出たのである(日本では東芝EMIから)。ちなみに当時、グループの方はワーナー/カーブと契約していた。

つまり、ヴァリとゴーディオは自分たちの過去の音源を、レコード会社ではなく自分たちで管理できる状態にしているのだ。1980年代以降、彼らの音源は実に様々なレーベルからCD化されている。すべてを確認したわけではないが、いずれも二人が経営するThe Four Seasons Partnershipからのライセンスを受けてのリリースという形を取っているはずだ。ただし、モーウェスト~モータウン時代の音源だけは例外で、これは現在もユニバーサルの管理下にある。

彼らのオリジナル・アルバムのCD復刻状況を、主な発売レーベルごとにまとめてみる。[ ]で囲った番号は前々回のアルバム・リストのもの。なお、クリスマス・アルバムは便宜的に[2]としてあるが、いずれもフィリップスからの再発盤のタイトル及びジャケット・デザインを踏襲している。

BR Music(オランダ) 1988年6月
[01] [02] [20] [23]
オリジナル・アルバムのCD化としては最も早いもの。[20]にはボーナス・トラック2曲(リミックス)も収録。

Rhino 1988年7月
[02] [09] [11] [15]
再発レーベルの老舗で、現在も彼らの音源のリリースを続けているライノからの発売。前年にLPで出ていた[02]以外の3タイトルは、LPでも同時発売された。

Curb(日本) 1991年9月~1992年2月
[01] [02] [03] [04] [06] [27] [28]
BMGビクター(当時)がカーブの権利を獲得したことで、ヴィー・ジェイ時代と1980年代がまとまったが、肝心のフィリップス時代は[06]を除いて編集盤でお茶を濁すことに。ちなみに[27]はこれ以前にもBRミュージックやカーブからもベスト盤風の体裁で出ていた模様。カーブの権利は1993年春にアルファに移り、時期外れだった[02]以外は再発された。

Ace(イギリス) 1994年4月~1996年10月
[01]+[03](+2) (CDCHD 507)
[02]+[05] (CDCHD 615)
[04]+[10] (CDCHD 596)
[06]+[07] (CDCHD 554)
[08]+[11](+3) (CDCHD 582)
[09]+[12](+2) (CDCHD 620)
[13]+[14](+3) (CDCHD 538)
[15](+4) (CDCHD 628)
[16](+6) (CDCHD 635)
2 in 1を主体にした、英国のエースからの強力なリリース群。(+x)で表示したのはボーナス・トラック。シングル・オンリーの数曲(概ねライノの編集盤などでCD化済み)の漏れはあるものの、ヴァリのソロを含む、ヴィー・ジェイ~フィリップスの全アルバムが復刻された。決定版的内容と言えるが、契約の関係か早い時期に廃盤になってしまったようだ。

Curb 1995年2月
[01] [03] [04] [06] [07] [11] [12] [20]
ワーナー配給~MCA配給~独自配給と歩んできたカーブは、1970年代中期以降のフォー・シーズンズにとって本家と言えるレーベルだが、ORIGINAL CLASSIC HITSと銘打たれたこのシリーズは、まったく感心しない。[07]では1曲、[11]では4曲、[12]では3曲もの差し替えが行われ、オリジナル・アルバムとしての体裁を大きく損ねている。収録時間に余裕があるのだから、ボーナス・トラックとして付け加えれば済む話なのに、せっかくの収録曲を外し、ベスト盤でいつでも聴けるシングル曲に差し替えるなど、とても理解できない。

Collectors' Choice Music 2006年12月
"FOLK-NANNY"+[05] (CCM-738)
[08]+[10] (CCM-739)
[11]+[15] (CCM-740)
[16]+[23] (CCM-741)
[27] (CCM-744)
[28]+[29] (CCM-743)
再発レーベルのコレクターズ・チョイス・ミュージックからの2 in 1のシリーズで、収録時間の関係から2枚組のものもあるが、ボーナス・トラックは一切なし。せっかく『ジャージー・ボーイズ』で再評価の機運が高まった時期のリリースなのに、ラインナップは何とも中途半端で、アルバム同士の組み合わせも熟考されたとはとても言えない。"FOLK-NANNY"というのは、1964年5月にヴィー・ジェイからリリースされた編集盤。

Collectors' Choice Music 2008年4月
[13]+[14] (CCM-927)
[18]+[22] (CCM-928)
[21]+[24] (CCM-929)
[25]+[26] (CCM-930)
コレクターズ・チョイスからの第2弾で、1970年代以降のヴァリのソロ6作がようやくCD化された。こちらもボーナス・トラックは一切なし。なお、コレクターズ・チョイスは既に閉鎖されてしまったようで、早くも廃盤のようだ。
(3月30日追記:コレクターズ・チョイス自体は活動を続けているようだが、彼らのカタログに関しては販売を終了してしまったようなので、訂正しておく)

Hip-O Select/Motown 2008年5月
[17]+[19](+9) "THE MOTOWN YEARS" (B0010777-02)
モータウンなどの音源の復刻を精力的に行っているヒッポ・セレクトによる、モーウェスト~モータウン時代の録音の集大成。『ジャージー・ボーイズ』以後の復刻で最も価値のあるものが、ヴァリとゴーディオの管理の及ばないところで行われたというのは何とも皮肉。

こうしてまとめてみると、彼らの再評価を阻む原因の一端が見えてくる。聴かれるべきものが容易に聴ける状態になければ、評価のしようもないのだから。

(続く)

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March 25, 2012

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(4)

1971年、渡英したザ・フォー・シーズンズはイギリスのワーナー・ブラザーズとのワン・ショット契約でシングル"Whatever You Say / Sleeping Man"(Warner Bros. K 16107)をリリース。そして1972年にはモータウン傘下のモーウェストから、フランキーのソロ名義の曲も含む[17](前回掲載したアルバム・リストの通し番号。以下同)をリリースするがまったくの不発に終わる。

その後モーウェスト~モータウンからリリースされたソロ/グループ名義の何枚かのシングルも売れなかったが、1974年、ソロでモータウンに録音していた「瞳の面影 My Eyes Adores You」をフランキー自身が買い取り、プライヴェート・ストックからリリースしたところ、ソロで初の全米No.1ヒットを記録(数多くのカヴァーを生んだ1967年の「君の瞳に恋してる Can't Take My Eyes Off You」は2位止まりだった)。モータウンからの[19]は、このヒットにあやかって、お蔵入りしていた録音やシングル曲などを編集したものだ。

ここから新たな黄金時代が始まる。度重なるメンバー・チェンジを経て、フランキー、ジェリー・ポルチ Gerry Polci (ドラムス、ヴォーカル)、ドン・シコーニ Don Ciccone (ギター、ベース、ヴォーカル)、リー・シャピロ Lee Shapiro (キーボード)、ジョン・パイヴァ John Paiva (ギター)という5人組に落ち着いたグループの方でも、1975年に「愛はまぼろし Who Loves You」「1963年12月(あのすばらしき夜)」の連続ヒットを飛ばす。

ボブ・ゴーディオはすでに1970年代初めにはグループのフロントからは退き、作曲、レコーディングの際のキーボード、プロデュース(フランキーのソロ含む)と、裏方としてそれまで以上に力を発揮するようになっていた。

フランキーのソロ活動も順調で、コンスタントにアルバムをリリース。そのため、フランキーとボブ・ゴーディオは、ソロとグループを完全に切り離そうと考えた。実際、[23]にはフランキーが参加していない曲もある。だがフランキーが抜けたことで、残されたメンバーでの活動はすぐに行き詰ってしまう。

新たなメンバーで活動を再開したフランキー・ヴァリとフォー・シーズンズの1980年7月のコンサートは録音され、初のライヴ盤[27]となった(新曲2曲は明らかにスタジオ録音だが)。

以後アルバムのリリースは散発的になる。[28]と[29]はそれぞれ、ボブ・ゴーディオを中心に、デジタル・テクノロジーやスタジオ・ミュージシャンらを駆使して仕上げたもの。
等身大のフランキー・ヴァリの“今”を伝える[30]も、ゴーディオとチャールズ・カレロがしっかりと脇を固めている。

一方、自分たちのヒット曲の数々やオールディーズ・ナンバーなどを楽しく聴かせるライヴ活動は継続しており、1982年のシカゴでの結成20周年コンサートや1992年のアトランティック・シティーでのライヴは海外でDVD化されている。ステージでの音楽監督は1980年代以降現在に至るまで、キーボードのロビー・ロビンソン Robby Robinson が主に担当している。

比較的最近のステージとしては、2008年11月2日の『トリビュート・オン・アイス』の模様をこちらで観ることができる。これはアイス・ショーとのコラボレーションで、元オリンピック選手で指導者としても活躍中の佐藤有香さんも登場する。

過去のフォー・シーズンズは歌える演奏家たちの集団だったが、ここではフランキーの後ろにヴォーカリスト4人が並び、バック・バンドは演奏に徹している。このスタイルは『ジャージー・ボーイズ』の影響だろうか。

今年の2月12日、BS-TBSの『SONG TO SOUL~永遠の1曲』という番組で「君の瞳に恋してる」が取り上げられた。そこではフランキー・ヴァリやボブ・ゴーディオの最新インタヴューなどのほか、最近のステージの映像も少しだが流れ、健在振りを伝えていた。

フランキーはこの5月3日で78歳になる。85歳のトニー・ベネットも頑張っているくらいからまだ大丈夫だろうが(関係ないか)、元気なうちに一度生で観てみたいものだ。来日の可能性はありそうもないのだが。

(続く)

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フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(3)

ザ・フォー・シーズンズ/フランキー・ヴァリはシングル・ヒット中心のアーティストとも言えるのだが、オリジナル・アルバム未収録のシングルなどは後で整理するとして、まずオリジナル・アルバム(厳密に言えばオリジナルと言い切れないものも2~3あるが)を列挙する。

レコード番号が二つあるのは前者がモノラル、後者がステレオ。レコード番号のあとは発売月/年、#の数字はビルボード・アルバム・チャート最高位。リリース形態は[28]までがLP、[29]と[30]はCD。

[01] SHERRY AND 11 OTHERS
(Vee Jay LP 1053/SR 1053) 09/1962 #6
[02] THE 4 SEASONS GREETINGS
(Vee Jay LP 1055/SR 1055) 12/1962 #13
[03] BIG GIRLS DON'T CRY AND TWELVE OTHERS
(Vee Jay LP 1056/SR 1056) 02/1963 #8
[04] AIN'T THAT A SHAME AND 11 OTHERS
(Vee Jay LP 1059/SR 1059) 06/1963 #47
[05] BORN TO WANDER
(Philips PHM 200-129/PHS 600-129) 02/1964 #84
[06] DAWN (GO AWAY) & 11 OTHER GREAT SONGS
(Philips PHM 200-124/PHS 600-124) 03/1964 #6
[07] RAG DOLL
(Philips PHM 200-146/PHS 600-146) 07/1964 #7
[08] THE 4 SEASONS ENTERTAIN YOU
(Philips PHM 200-164/PHS 600-164) 03/1965 #77
[09] SING BIG HITS BY BURT BACHARACH/HAL DAVID/BOB DYLAN
(Philips PHM 200-193/PHS 600-193) 11/1965 #106
[10] RECORDED LIVE ON STAGE
(Vee Jay VJLP 1154/VJS 1154) 11/1965
[11] WORKING MY WAY BACK TO YOU
(Philips PHM 200-201/PHS 600-201) 01/1966 #50
[12] NEW GOLD HITS
(Philips PHM 200-243/PHS 600-243) 05/1967 #37
[13] FRANKIE VALLI - SOLO (Frankie Valli)
(Philips PHM 200-247/PHS 600-247) 06/1967 #34
[14] TIMELESS (Frankie Valli)
(Philips PHS 600-274) 06/1968 #176
[15] GENUINE IMITATION LIFE GAZETTE
(Philips PHS 600-290) 01/1969 #85
[16] HALF AND HALF (Frankie Valli / The 4 Seasons)
(Philips PHS 600-341) 04/1970 #190
[17] CHAMELEON (Frankie Valli / The Four Seasons)
(Mowest MW 108L) 05/1972
[18] CLOSE UP (Frankie Valli)
(Private Stock PS 2000) 02/1975 #51
[19] INSIDE YOU (Frankie Valli)
(Motown M6-852S1) 09/1975 #203
[20] WHO LOVES YOU
(Warner Bros./Curb BS 2900) 11/1975 #38
[21] OUR DAY WILL COME (Frankie Valli)
(Private Stock PS 2006) 11/1975 #107
[22] VALLI (Frankie Valli)
(Private Stock PS 2017) 09/1976
[23] HELICON
(Warner Bros./Curb BS 3016) 04/1977 #168
[24] LADY PUT THE LIGHT OUT (Frankie Valli)
(Private Stock PS 7002) 11/1977
[25] VALLI IS THE WORD (Frankie Valli)
(Warner Bros./Curb BS 3233) 08/1978 #160
[26] HEAVEN ABOVE ME (Frankie Valli)
(Curb/MCA MCA 5134) 11/1980
[27] REUNITED LIVE (Frankie Valli / The 4 Seasons)
(Warner Bros./Curb 2WB 3497) 01/1981
[28] STREETFIGHTER (Frankie Valli and The Four Seasons)
(Curb/MCA MCA 5632) 08/1985
[29] HOPE AND GLORY
(Curb D2-77546) 09/1992
[30] ROMANCING THE '60s (Frankie Valli)
(Universal Motown B0009908-02) 10/2007 #167

チャート・アクションで見る限り、大ヒット曲の収録は必ずしもアルバムのセールスに結びついていないことが判る。最後に全米第1位を記録した「グリース」を含む[25]がいい例だ。そう考えると、『ジャージー・ボーイズ』効果とはいえ、特にシングルを切らなかった[30]で29年ぶりのチャート・インを果たしたのは大健闘と言えるだろう。

リリース間隔を見ると、続けざまに出している時期と、ブランクの長い時期とにはっきり分かれているが、これは当然彼らの活動実績とリンクしている。

ザ・フォー・シーズンズのオリジナル・メンバーは、フランキー・ヴァリ(リード・ヴォーカル)、ボブ・ゴーディオ Bob Gaudio (キーボード、ヴォーカル、作曲、プロデュース)、トミー・デヴィート Tommy DeVito (ギター、ヴォーカル)、ニック・マッシ Nick Massi (ベース、ヴォーカル、ヴォーカル・アレンジメント)の4人。不思議なことに当時は、ドラマーを正式メンバーに迎えていなかった。

そして、彼らの音作りに欠かせない存在だった重要人物が、プロデューサーのボブ・クルー Bob Crewe とアレンジャーのチャールズ・カレロ Charles Calello である。

[2]はクリスマス・アルバムで、1966年11月にフィリップスから"THE 4 SEASONS' CHRISTMAS ALBUM" (Philips PHM 200-223/PHS 600-223)として再発されている。

彼らは[4]までヴィー・ジェイでリリースした後、フィリップスに移籍しているが、その後ヴィー・ジェイは過去の音源を使った様々な編集盤をリリース。1965年の[10]はタイトルに偽りありで、実際はスタジオ録音に観客の歓声をかぶせたものである。

ヴィー・ジェイ時代とフィリップス移籍後とで、プロダクションに大きな変化はない。最初の大きな変化は1965年、ニック・マッシが脱退し、新たにジョー・ロング Joe Long が加入してからだ。そしてグループ活動とコンセプトを分けたフランキー・ヴァリのソロ活動もスタートする(最初のソロ・シングルは1965年11月の「太陽はもう輝かない」)。

そして、傑作コンセプト・アルバム[15]を制作する一方でヒット・チャートからは遠のいていった彼らにとって、フィリップスとの契約が終わり、本来のリーダーだったトミー・デヴィートが脱退する1971年が大きなターニング・ポイントとなった。

(続く)

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March 24, 2012

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(2)

ザ・フォー・シーズンズ(フランキー・ヴァリのソロ含む)のディスコグラフィーについては、インターネットでもいくつかのものが確認できるが、とりわけ参考になったのは雑誌「レコード・コレクターズ」1992年3~4月号の特集記事である。

3月号では、目玉といえる大滝詠一×山下達郎対談のほか、1960年代半ばまでの歩みを萩原健太氏が、下積み時代を含む1953~65年のレコード(シングル中心)を澤山博之氏が、66年以降のレコード(アルバム中心)を平岡克朗氏が、フランキー・ヴァリのソロのレコードを島村文彦氏がそれぞれ紹介。澤山氏による米盤と日本盤のシングル盤/EPのリストも付いている。

4月号には、平岡氏によるメンバー名鑑(3月号で詳しく紹介済みのヴァリを除き、プロデューサーのボブ・クルーを含む11名を紹介)と、澤山氏による人脈図が掲載された。

どちらの号も第2特集ではあったが(だから表紙は飾っていない。第1特集はそれぞれエアロスミスとジミ・ヘンドリクス)、1992年という年に大きな記事が掲載されたのは、BMGビクター(当時)から八木誠氏監修による全10タイトルから成るCDシリーズがリリースされたからだった。オリジナル・アルバムは7タイトルで、そのうち5タイトルは世界初CD化だった。残りの3タイトルは日本編集盤である。

この記事以降、海外ではオリジナル・アルバムのCD化が進んだほか、各種編集盤やリミックス・アルバムなどもリリースされたが、新録アルバムとなると前回紹介した"Hope + Glory"(1992年)と"Romancing The '60s"(2007年)の2枚しかない。あとは映像が少し出たぐらいか。

国内ではその後、1999年にコロムビアから中途半端なベスト3種が出たのみ。あとは輸入盤に帯と解説を付けた国内仕様のものがヴィヴィド・サウンドやMSIなどから単発的に出ているだけである。これではさすがのレコード・コレクターズでも新たな記事の組みようもないだろうし(つまりは広告が取れないということだ)、輸入盤で出たものがアルバム・ガイドで完璧にフォローされているわけでもない。

ともあれ、彼らのオリジナル・アルバムを集めようと決意してから3年半の間に、すべてがオリジナル盤で(モノラルとステレオ併発時のものに関してはモノラル盤で)揃ってしまった。しかも、高いものでも2,000円台のお金しか払っていないし、新品同様のもので1,000円しないなんてものも少なくなかった。むしろ復刻CDの方がアマゾンのマーケット・プレイスあたりでは高い値段が付いていたりする(それも、丹念に探せば安く買えるものがほとんど)。再評価されていないとはこういうことなのかと、複雑な気持ちになったことも確かではある。

CDリリースの歴史と現状、問題点には後で触れていくことにして、次回からはオリジナル録音を整理していく。

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March 21, 2012

フランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズ(1)

恒例の(苦笑)4か月ぶりの更新だが、今後は継続する予定。なぜなら続き物にすると決めたからだ。ずっと書きたいと思っていたフォー・シーズンズについての考察、今回はそのイントロダクション。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

強烈なファルセットを武器に素晴らしい歌声を聞かせるフランキー・ヴァリ(Frankie Valli)をメインにしたザ・フォー・シーズンズ(The 4 SeasonsもしくはThe Four Seasonsと表記)は、1960~70年代アメリカン・ポップスを代表するグループの一つで、おなじみの「シェリー」を筆頭にヒット曲も数多いが、特に日本では、その実績に見合った人気や評価を得ているとはとても言い難い。

同じようにアメリカン・ポップス史を彩り、ある意味永遠のライヴァルとも言えるザ・ビーチ・ボーイズの再評価ぶりとは、まるで比較にならない寂しさである。西のビーチ・ボーイズは今年結成50周年、現存メンバー(いちおう)全員による再集結とレコーディング、ワールド・ツアーで盛り上がっているが(私も大好きだし来日公演のチケットも確保したが)、東のフォー・シーズンズだって今年が50周年だ。

正確にいうと、長い下積みを経て、フォー・シーズンズとしての最初のシングル盤"Bermuda / Spanish Lace" (Gone 5122)がリリースされたのは1961年12月だが、マイナー・レーベルからの発売ゆえ、市場に出回るのは1962年に入ってからだった。この曲はヒットせず、シカゴのヴィー・ジェイに移籍しての"Sherry / I've Cried Before" (Vee Jay VJ456)がいきなり全米第1位となるのである。

だから50周年を大いに祝いたいところだが…。

近年も大きな話題がないというわけではない。彼らのサクセス・ストーリーを題材にしたミュージカル"Jersey Boys"(彼らはニュージャージーの出身だ)が2005年以来ブロードウェイでロングランを続け、トニー賞も獲得。全米各地やロンドン、カナダ、オーストラリアなども巡演し、すでに約1300万人を動員しているとのことだ。

特定の人気ミュージシャンやそのヒット曲の数々を題材にしたミュージカルは数多いが、『ジャージー・ボーイズ』はそれらの中でも例外的な大ヒットとなっている。私は観ていないが(観たとしてもセリフがほとんど理解できないだろうが…)、台本の秀逸さがロングランの要因の一つとなっているらしい。

そして、実物よりもイケメンな(失礼!)俳優たちの演技と歌も大きな魅力だろう。歌が上手くなければメンバー役は務まらないし、時期や場所ごとに交代するキャストの良し悪しについて、リピーターたちの意見交換もネット上で盛んだ。

ただしそうした要素はただちに、このミュージカルをそのまま日本など英語圏以外の地域へ持っていくことの難しさに繋がってしまう。映画化の話も進んでいるようなので期待したいところではあるが、どうだろうか。いずれにしても、『ジャージー・ボーイズ』が海外でいくら盛り上がっても、日本への影響はほとんどないに等しい。

というわけで、ヒットの余波もあり2007年には、彼らのキャリアをまとめたCD3枚とDVDのセット"Jersey Beat - The Music of Frankie Valli & The 4 Seasons" (Rhino R2 74852)が出たほか、1992年の"Hope + Glory" (Curb D2-77546)(Four Seasons名義)以来15年ぶりとなる新録アルバム"Romancing The '60s" (Universal Motown B0009908-02)(Frankie Valliのソロ名義)なども出たが、いずれも残念ながら日本発売は見送られたままだ。

私はというと、高校時代の1976年、久々の全米No.1ヒットとなった「1963年12月(あのすばらしき夜) December 1963 (Oh What A Night)」が好きになり、歴史のあるグループということも知ったが、アルバムを聴いたり時代をさかのぼったりするには至らず、そのまま長い年月が過ぎた。同曲は70年代のヒット曲を網羅した1998年の7枚組オムニバス"Have A Nice Decade - The '70s Pop Culture Box" (Rhino R2 72919)に入っていたので聴き直すことができたが、いつか彼らをきちんとまとめて聴いてみたいという思いは持っていた。

前述の3枚組+DVD "Jersey Beat"のことは雑誌「レコード・コレクターズ」2007年9月号の海外盤アルバム・ガイドで知ったのだが、実際に手に入れたのはそれから1年ぐらい経ってからだったと思う。聴いてみて、予想以上の素晴らしさに魅了された。

輝かしいヒット曲の数々も十分魅力的だったが、それにも増して驚かされたのが、1960年代前半から中期の黄金時代を過ぎ、セールス的に低迷期に入る60年代末から70年代初頭あたりにかけての楽曲群の音楽的な充実振りだった。

これはちゃんと聴かなければと、レコード収集の旅が始まった。

(続く)

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