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November 26, 2009

YouTubeのピアソラ

お馴染みのYouTubeには、ホントにいろんな映像がアップされていて、もちろんピアソラも例外ではないわけですが、プロからアマチュアまで、クラシックの人とかが演奏したモノが遥かに多く、本人の映像を探すのはなかなか容易ではなかったりします。そんな中に、とても貴重なものも埋もれたりしているので、少し紹介しておきましょう。
一番のお勧めはこれ。そう、"Verano porteño"(ブエノスアイレスの夏)ですが、イタリアのテレビ局RAIで収録されたもので、ピアソラがテレビ局のオーケストラをバックにバンドネオン弾いています。このアレンジは初めて聴きました。解説に「Live at tv show "Senza Rete" 1972」とありますが、ヒゲを生やしていないのでこれは1971年2月から9月にかけてアメリータ・バルタール、オラシオ・フェレールとヨーロッパに滞在していた時に収録されたものと思われます。ということで、71年末からのコンフント9による同曲のプロトタイプ的なアレンジと言えますね。なおこの映像の終わり30秒ほど、ピアソラとは関係ない女性歌手の映像が流れますが、これはイヴァ・ザニッキ(Iva Zanicchi)の"Il sole verde"という曲。こちらを見ると、ちゃんと1971年と書いてあります。
で、こちらは正真正銘1972年(たぶん4月)のやはりイタリアでのテレビ映像。ね、ヒゲ生やしているでしょ? 曲名は出て来ませんが、これはコンフント9の"Divertimento 9"。コンフント9のまともな映像は恐らくこれが唯一で、大変貴重なものです。
そして同じ時の、ミーナとの"Balada para mi muerte"がこちら。1993年にRaro!から発売されたミーナの未発表録音集"Signori... MINA! Vol.3"に収録の同曲は、この時のものです。

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November 14, 2009

ピアソラの新しい10枚組 その3

(前々回の続き)
El bandoneon盤"El desbande"や東芝EMIからの日本盤『ブエノスアイレスな夜 1945-1956』などではイントロの6秒ほどが切れてしまっていた"Che Bartolo"が、"Maestro del tango"(CNR 29118)というCDにはアタマの半拍分だけが微妙に切れた状態で収録されていた、というところまで前々回書いたのでした。
これまた同じタイトルで違う内容の盤もある"Maestro del tango"ですが、該当のCDはこちら。しかも同じレーベルからは同じタイトルの2枚組も出ていたんですね(フィオレンティーノ伴奏楽団と46年のオルケスタの録音が混在)。しかも2枚組の2枚目は前記の1枚ものと全く同じ内容だという…。もう訳わかりません。tangostore.comのサイトでは各曲のアタマ45秒が試聴もできるので、real playerのロゴをクリックすれば「アタマの半拍分だけが微妙に切れた状態」を確認できます。
さらに前の回で触れたLantower盤のうち、"Grandes del tango / 18"("18"というのはシリーズの通し番号)の2枚目の方にも"Che Bartolo"が収録されていますが、こちらは試聴するかぎりではアタマ6秒が切れています。聴き比べてみると違いがよくわかります。この2枚組、46年のオルケスタの録音32曲中30曲を収録、というのもなんか中途半端。
つい最近までノーチェックだったこの"Grandes del tango / 18"ですが、2006年の盤だったとは知りませんでした。試聴した限り、問題の"Bandó"は、Euro盤"Sinfonia de tango - Paris 1955"同様、本来収まるべきVogue録音ではなく、ピアソラではない五重奏の録音を誤って収録。どうしてこんなことが起きてしまったのかな? LantowerとEuroは音源を融通し合ったりしているんでしょうか。オルケスタによるtk録音の2曲を「四重奏団」なんて表記してあるのも、なんだかなぁ。買う気が失せました。

さて、そのVogue録音『シンフォニア・デ・タンゴ』(全8曲)に関して、これまたつい先日まで重要な見落としをしていたのを反省せねばなりません。フランスVogueはこの曲目を1975年にLPで、1988年にCDで再発していますが(オリジナル・フォーマットではない)、いずれも疑似ステレオでした。Sono Punch盤"Paris 1955"収録の8曲も同様に疑似ステレオ。2000年に私の監修でBMGファンハウス(当時)からオリジナル・フォーマット、モノラルでのCD化を実現した際には、私の所蔵するオリジナル盤(何を隠そう、私がこれまでで最も高い金額で購入した盤なのです)からモノラル・カートリッジでDATに落とした音源をマスターとして使用したのですが、これはフランス本国にモノラル・マスターを請求したものの届かなかったための苦肉の策でした。
ところがモノラルのオリジナル・マスターはしっかり現存していたのですね!
2005年2月にBMGフランスから、ラロ・シフリンとアストル・ピアソラ、それぞれの25cmLPをカップリングした"Two Argentinians in Paris"というCDが出たのは知っていたのですが、内容をよく確認しないまま記憶の彼方に…。ここのところEuro盤の騒動などがあり、改めて調べていてこの盤の存在を思い出したというわけです。試聴できるサイトがあり、聴いてみて驚きました。音がいい! しかもモノラル! これはと思い、あわてて探したら、ありました。しかも$1.99! 香港のショップだったのですが送料込みでも1,000円しなかったのはラッキーと言うべきなのでしょうか?
先日無事届きましたが、何とオリジナル・マスター・テープからのデジタル・リマスター(もちろん世界初)で、ブックレットにはオリジナル・ジャケットも再現され(忠実度では日本盤が上ですが^^)、ピアニストがマーシャル・ソラールで1955年6月2日録音などと詳しいデータも載っていて、驚くやらうれしいやら。
カップリングされたシフリンのアルバムは"Rendez-vous dansant à Copacabana"というラウンジ・ジャズ風のもので、ピアノ・トリオ+ラテン・パーカッションによる演奏ですが、これも楽しげでよいです。amazonでも品切れだしちょっと手に入りにくくなってきたようですが、探してみる価値はあると思います。

Lantowerのもう1枚、 "Astor Piazzolla 1956-1957 Completo"は先日入手しましたが、これはラティーナ12月号(11月20日発売)にディスコ・ガイドを書きましたので、まずはそちらを読んで頂ければと。もちろんこのブログでも追ってご紹介します。

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November 08, 2009

ピアソラのアメリカン・クラーヴェ3部作再発、新・音楽夜噺

12月19日(土)に、ピアソラをテーマにトーク・イヴェントに出演します。これは結構前に決まっていたことで、イヴェントのサイトでも当の昔に告知されていたんですが、書くのをすっかり忘れていました。

新・音楽夜噺 「アストル・ピアソラと女たち」
論 者:斎藤充正 (『アストル・ピアソラ、闘うタンゴ』著者)
聞き手:花田勝暁 (元「ラティーナ」編集者、東京外国語大学大学院)
会 場:東京・渋谷 ダイニングバー Li-Po(渋谷駅東口より徒歩2分) TEL:03-6661-2200
日 時:'09年12月19日(土) 16:00-18:15(開場15:30)
入場料:予約¥1,800(1drinkつき) 当日¥2,300(1drinkつき)

詳しくは新・音楽夜噺のサイトまで。花田さんとは実は初対面となるのですが、さてどんな感じになりますやら。選曲は、まだこれからです。

さて、前回の続きもいろいろ書きたかったわけですが(これは次回以降書きます)、この数日はライナーの執筆に追われていました。ブツは何かと言うと、見出しの通りであります。ワーナー/ノンサッチからの国内盤が廃盤となってしまい、なぜだろうと思っていたら、そういうことだったんですね。
ということで、先に発売される『ラフ・ダンサー・アンド・ザ・シクリカル・ナイト』のライナー、ようやく書き終わりました。前回2000年にワーナー/ノンサッチから再発された折にもライナーを書きましたが、今回は全面的に書き直しました(前の文章をそのまま使っている部分もありますが)。再発について、発売元のイーストワークスからの告知文を以下に張り付けておきます。

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Astor Piazzolla / The Rough Dancer And The Cyclical Night (ewsac 1019)
リリース日 2009.12.24
レーベル american clavé / ewe records
発売元 (株)イーストワークスエンタティンメント 
定価 ¥3,000(税込)

Astor Piazzolla / Tango: Zero Hour (ewsac 1013)
リリース日 2010.2.10予定
レーベル american clavé / ewe records
発売元 (株)イーストワークスエンタティンメント 
定価 ¥3,000(税込)

Astor Piazzolla / La Camorra (ewsac 1021)
リリース日 2010.2.10予定
レーベル american clavé / ewe records
発売元 (株)イーストワークスエンタティンメント 
定価 ¥3,000(税込)

キップ・ハンラハン主宰レーベル、アメリカン・クラーヴェに残したアストル・ピアソラの最高傑作がデジタル・ニュー・リマスタリングで甦る。キップ監修のもとNYCスターリングサウンド、グレッグ・カルビの手でリマスタリングされたこの三部作をレーベル面を緑色コーティングされたオーディファイル仕様でリリース。ピアソラの残した音世界を最高
のクオリティで残すことを目標に、最善を尽くしたハイブリッドリイシュー。
(CD/SACDハイブリッド盤)
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イーストワークスがアメリカン・クラーヴェの日本発売権を獲得した際、売れ筋であるピアソラの3部作だけは、なぜか世界的にワーナー/ノンサッチから出ることになったわけですが、これで本来の姿に戻ったことになります。「緑色コーティング」というのは、開発元のソニーで「音匠(おんしょう)仕様」と呼んでいる新技術ですが、商標の関係でこの言葉が使えないんだそうで。新技術を浸透させるには統一した呼び名の方がいいと思うんですけどね。今回は緑色コーティングのプルーフ盤(盤面が無地のテストプレス盤)をメーカーからお借りして試聴していますが、確かに素晴らしい音質です。従来盤では狭い部屋に押し込められていた音が、壁が取り除かれてバーッと広がった感じ、とでも言えばいいのかな。SACDではなくCDとしての評価ですが。「音匠仕様」や「プルーフ盤」についてはこちらのサイトを参照してください。

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