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October 31, 2005

Number PLUSにタンゴの紹介記事

文藝春秋から出ているスポーツ・グラフィック・ナンバーという雑誌は有名だと思いますが、その増刊(というのかな)、ナンバープラス Number PLUSの新しい号が11月9日に発売されます。タイトルは『南米蹴球記(仮)』。6月に『欧州蹴球記』というのが出ていましたが、その続編といった感じで、来年のワールドカップに向けて、南米の(チームというよりは)選手たちを紹介していこう、という企画だと思いますが、実はその中には南米のカルチャー・ガイドのページも用意されています。と、ここまで書けば察しがつくでしょうか(っていうか、タイトルにもう書いてある^^;)。そう、タンゴのCDの紹介記事を書かせてもらいました。

取り上げたCDは全部で19枚。最初は20枚の予定だったのですが、レイアウトの都合上、見開き右ページに大きく4点、左ページに小さく15点、ということで中途半端な数になりました。先日紹介したオスバルド・プグリエーセの"Edición Aniversario"も、そこにちゃんと含まれていますよ。最初は、ビギナー向けの紹介記事に4枚組はどうかな、とも思いましたが、結果的には載せて正解だったと思います。何はともあれ、記事をお読み頂ければと思いますので、発売までしばらくお待ち下さい。

2000年にOxford University Pressから英語版で出たマリア・スサーナ・アッシとサイモン・コリアー著"Le Grand Tango - The Life and Music of Astor Piazzolla"は、ピアソラの評伝としては決定版と言えます。拙著『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ』など足下にも及びません。何といっても、取材した人数がケタ違いですから。その本の翻訳が、アルファベータから出ます。仮のタイトルは『ピアソラの生涯と音楽』。実は何年も前から準備は進んでいたのですが、何せ膨大な文章量ですから。で、私はどう関わっているのかというと、翻訳された文章をこれからチェックしていくことになりました。まだ作業は始まったばかりで、どの程度かかるかはわかりません。刊行は来年でしょう。私が翻訳を続けている(といっても2週間ほど作業は止まっているのですが…)ナタリオ・ゴリン著『ピアソラ回顧録(仮)』(こちらは河出書房新社から出ます)よりは早いかな。

そうそう、ビクターエンタテインメントからの『ピアソラの至宝』第2期7タイトルの発売は、12月16日から延期になります。たぶん1月21日になるのではないかと。はっきりと決まりましたら、またお知らせすることにいたしましょう。

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October 28, 2005

プグリエーセの4枚組

359972今年はオスバルド・プグリエーセの生誕100周年、没後10周年にあたります。1939年に公式にデビューしたプグリエーセ楽団は、1943年にオデオン(現EMI)に録音を開始、60年代はフィリップスなどに移籍していましたが、72年にオデオンに復帰してからは、晩年までそこで録音を続けました。記念盤としてEMIから発売されたばかりの4枚組"Edición Aniversario"(アルゼンチンEMI 0946 3 35997 2 7)は、オデオン/EMI時代のプグリエーセの集大成。EMIに残されたスタジオ録音300曲余りの中から100曲が選ばれています。曲目をパッと眺めると、代表的な名演を時代を追って収録したもの、と言う風に見えますが、実は明確なコンセプトをもって編集された、凄い盤なのです。

プグリエーセ楽団は、別名「作曲家たちのオルケスタ」とも呼ばれたほどで、御大プグリエーセはもとより、参加メンバーに多くの優秀な作曲家を擁していました。オスバルド・ルジェーロ、ホルヘ・カルダーラ、エミリオ・バルカルセ、イスマエル・スピタルニク、マリオ・デマルコと、枚挙に暇がないほど。そして、この4枚組は、そうした側面にスポットを当てた形になっています。そう、プグリエーセ及びメンバーが書いた作品のうちEMIに残された録音が、何とここには全曲含まれているというわけ。これはもう、画期的です。しかも、すでに脱退したメンバーの作品を取り上げたものも、ちゃんと含まれています。実際には、歌手のアベル・コルドバが書いた(オッタビアニと言う人との合作)"De espaldas"(83年6月録音)だけが抜けてしまっていますが、これはミスでしょう。

もう一つの特色は、楽団に参加した全歌手をフィーチャーしている点。専属歌手として活躍した11人(オデオンに録音のないアルフレド・ベルーシは当然除く)の、楽団での最初の録音が網羅されています。ロベルト・チャネル、アルベルト・モラン、ホルヘ・マシエル、ミゲル・モンテーロ、アベル・コルドバといった主要歌手は複数の録音が収められていますが、最初の録音以外はすべてプグリエーセまたはメンバーの作品のみ、という徹底ぶり。かわいそうなのがフアン・カルロス・コボス(1953年から54年にかけて在籍し7曲を録音)で、最初の録音がアルペルト・モランとのデュオで、その後メンバーの作品を録音していないために、単独で歌った曲が収録されないということになってしまったんですね。

歌手といえば、77年にはネリー・バスケスを招いて1曲録音、82年にはマリア・グラーニャ、エルナン・サリーナス、ホセ・アンヘル・トレージェスら8人の歌手(+専属歌手のアベル・コルドバとアドリアン・ギーダ)を招いてのアルバム"Futuro"(未来)を制作していますが、これらゲストたちとの録音もすべて収録されています。ギーダはこの時が初録音だったので、結局このアルバムからはコルドバの1曲を除いた全曲が収録、となりました。

それ以外に収録されているのは、アグスティン・バルディ「エル・ロデオ」(デビュー録音)、フリオ・デ・カロ=ペドロ・ラウレンス「マラ・フンタ」、ペドロ・マフィア=ペドロ・ラウレンス「アムラード」、エドゥアルド・アローラス「ラ・カチーラ」、フランシスコ・カナロ「ピンタ・ブラバ」、アストル・ピアソラ「栗色と青色」という、タンゴ史上極めて重要な作曲家の作品(インストゥルメンタル)で最初に録音した曲。で、トータル100曲になるという案配。だから、既成のタンゴを取り上げての名演、例えば「チケ」「パリのカナロ」「7月9日」「ガジョ・シエゴ」「場末」「酔いどれたち」なんてのは、入っていないわけです。曲目を眺めて名演が揃っているように思えるのは、それだけ自作曲群の質が高いから。プグリエーセ楽団での演奏に特化したために、一般的な意味での名曲とはされていないものも多いわけですが。

2年ほど前にでた"Pugliese por Pugliese"というプグリエーセ自作自演集で、「影のように Igual que una sombra」「輝ける東京 Tokio luminoso」「コンパニェーラ Compañera」という未発表録音3曲(正確な録音時期は不明、89~92年頃か?)が初登場しましたが、悪名高きCCCDだったので、私は買いませんでした。その3曲が今回改めて収録されているというのも、ポイントの一つ。今回は通常のCDですからご安心を。クレジットが抜けていますが、「影のように」はギーダ、「コンパニェーラ」はコルドバが歌っています。このような表記ミスがあったり、肝心の録音年月日が記載されていなかったり、いくらか不備もありますが、過去に出た様々なプグリエーセの編集盤と比べても、とくに優れた編集であることは間違いありません。

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October 09, 2005

『闘うタンゴ』増刷、『ピアソラの至宝』第2期

嬉しい(?)お知らせです。なんと、拙著『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ』(青土社)が、7年ぶりに増刷されることになりました。私としては、もうこのまま絶版かと半ばあきらめていたので、出版社の編集担当者氏から突然連絡があった時にはびっくりするやら嬉しいやら。しかし、連絡があってから訂正を仕上げるまでに一週間しかなく、あせりました。また、様々な事情で訂正は最小限に留めざるを得ず、本当に誤った箇所のみ直しました。本来なら、単なる増刷ではなく、改訂版にしたかったところですが、そうなるとまた大変ですから。今回の増刷(第3刷となります)は、今週末ぐらいには出来上がるのではないかと思います。

ディスコグラフィーも作り直せないため、空きページを1ページのみ作ってそこに「追補」を詰め込むことに。実はあのディスコグラフィーは、出版当時私が版下まで自宅で作ったのでした。当時はアルプスのMD-2000という優れもののマイクロドライ(熱転写)プリンタを使っていたので、鮮明な版下も自分でプリントアウトできたのですが、そのプリンタも後続のMD-5000もとうの昔に壊れてしまい、いま使っているのはhpの安いインクジェット。やはりこれでプリントアウトしたのでは版下には使えず、データを送って出力センターで印画紙出力してもらいました。だからフォントとか微妙に違ったりしているんですが、まあ仕方ありませんね。

ということで、いくつかの追加・訂正があるわけですが、初版や第2版をお持ちの方のために、正誤表を作らねばなりません。だいたい、第2版の際の正誤表も、よしむらさんのページに置かせてもらったままですからねぇ(よしむらさん、ありがとうございます。いつまでもすみません)。でも、今回のディスコグラフィー追補のページの最後に、

◎詳細や最新情報は筆者のウェブサイトを参照されたい。http://homepage2.nifty.com/mitsu-sa/
と書いてしまった手前、作らないわけにはいきません。なるべく早く用意しますので。

そのディスコグラフィー追補には、【日本盤CDのリリース状況(廃盤、ベストは除く)】という項目もあるのですが、ビクターエンタテインメントから12月16日に発売予定の7タイトルも、発売予定分として掲載しました。その内容をお知らせしておきましょう。8月にミラン原盤の5タイトルをリリースしましたが、12月の第2弾にはミラン原盤は含まれません。ミランの残りは来年3月頃の発売予定です。『ピアソラの至宝』シリーズ第2期のラインナップは、次の通りです(番号はまだ未定)。

●『リハーサル』"Ensayos"
95年にJazz & Fusionからリリースされた発掘音源。61年初頭にエドゥアルド・ラゴス宅で録音されたキンテートのリハーサルを収録。日本初発売。
●『アディオス・ノニーノ』"Adiós Nonino"
第1期キンテートを代表する69年の名盤(Trova原盤)。オリジナルを忠実に再現予定。
●『鼓動』"Pulsación"
同名映画サントラと『ブエノスアイレスのマリア』インスト抜粋をカップリングした69年度作(Trova原盤)。オリジナル・フォーマットでは日本初CD化。
●『アメリータ・バルタールとピアソラ』"Amelita Baltar"
以前当ブログでも話題にしたアメリータのアルバム(アルド・パガーニ制作、72~74年録音、10曲入り)に、69年にTrovaからリリースされた貴重なシングル「チキリン・デ・バチン/アイ短調のミロンガ」を追加収録。基本的に、Trovaから今年リリースされた"Piazzolla & Amelita Baltar"(CD 5060)と同内容だが、権利の関係で「悲しきゴルド」は未収録、雑誌ラティーナ05年7月号で紹介した際にも指摘した「マティルデへの小さな歌」の頭切れも当然差し替えます。
●『新婚旅行』"Viaje de bodas"
ナディーヌ・トランティニャン監督の同名フランス映画のサントラとして制作されながら、実際には映画に使用されなかった(!)もの。Carosello原盤だがアルゼンチンのみでLP発売され(レーベルはTrova)、未だにCD化されていない(4曲のみ編集盤CD"Piazzolla-Agri"に収録)。よって、今回が世界初CD化となる。ピアソラとアグリの二重奏がメイン。
●『ロコへのバラード』"Balada para un loco"
ホセ・アンヘル・トレージェスのヴォーカルを全曲にフィーチャーした76年のアルバム(Trova原盤)。以前クラウンから国内発売されていたが、今回は一部の海外盤CDに収録されている、同時期のトレージェスのアルバムからの5曲(ピアソラは制作には関わっていないがピアソラ作品2曲を含む)をボーナス・トラックとして収録。
●『苦悩』"Woe"
ピアソラとミュンヘンのグルンケ管弦楽団からの弦楽四重奏団との共演(83年録音、全7曲。原盤はEleven→Carosello)。クロノス・カルテットとの『ファイヴ・タンゴ・センセーションズ』の原曲となった作品で、『7つのシークエンス』としても知られているが、このタイトルはピアソラの没後にアルド・パガーニが「勝手に」付けたもの。オリジナル・ジャケットを使用して日本初登場。

ざっとこんな感じでして、今回は80年代のキンテートはなし。なかなか渋いラインナップとなっていますが、いかがでしょうか。そういえば、2ちゃんねるの掲示板で以前、ミランの5タイトルについて、リマスタリングの表記がないが、行われていないのかどうかが話題になっていましたが、担当者に確認したところ、一応契約上、基本的には原盤通りにリリースすることになっているので、実際にはリマスタリングを行っていても、それを表立って明らかにしない場合もある、とのことでした。

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