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February 13, 2005

アストル・ピアソラの芸術? その4

Bella Musicaからの10枚のうち、ピアソラとホセ・アンヘル・トレージェスのVol. 6と、アメリータ・バルタールのアルバムVol. 7は、もともとパガーニが制作を手掛けたもので、原盤権も持っているのではないかと思われ、一応正しい復刻といえます。Vol. 6のオリジナルLPはアルゼンチンTrova盤"Balada para un loco"(DA 5006)で、古くからピアソラ・ファンにはおなじみのもの。クラウンからの『ロコへのバラード[+2]』ではオリジナル・ジャケットを使用しました。

これがアメリータのVol. 7になると、話が複雑になってきます。もとになるLPは、74年にスペインのAriolaから出た"Amelita Baltar"というものなのですが、実は今に至るまで、このLPを入手出来ず、詳細を確認できずにいるのです。92年にアルゼンチンで発売された雑誌"Los grandes del tango"No.85のアメリータ特集のディスコグラフィーには、このLPの曲目として8曲が載っているのですが、これが混乱のもとだったと言えます。

ピアソラが伴奏を手掛けたアメリータ・バルタールのLPは、『アメリータ・バルタール、ピアソラ=フェレールを歌う』(1970)と『白い自転車』(1971)がCBSから出ました(ピアソラは当時RCA専属だったので、CBS盤では名前を出していません)。日本ではどちらも『ピアソラの箱』に収められたのち、単独盤が現在もソニーから発売中ですから、お馴染みでしょう。72年にはアメリータもRCAに移籍し、2月に「最初の言葉/もういらない」、9月に「ラス・シウダデス/ブエノスアイレスの雨傘」がそれぞれシングルで発売されています。また、3月に録音された「悲しきゴルド」は、76年になって4曲入りEP"El gordo triste"に収められて世に出ました。これらの録音は、アルゼンチンではLPにはまとめられず、92年になってピアソラ=フェレールの"En persona"とのカップリングという形でようやく1枚のCDにまとめられたのです。

先の"Los grandes..."に載っていた8曲とは、RCAからシングルやEPで出た5曲と、アルゼンチンではTrovaから出たシングル「マティルデへの小さな歌/みんなのビオレータ」、それにアルゼンチンでは未発表に終わった「行こう、ニーナ」というもの。

さて、93年にカナダのJust A Memoryからリリースされた3枚組"Tangamente 1968-1973 Amelita Baltar / Horacio Ferrer"には、CBS盤とは別録音の「ロコへのバラード」「3001年へのプレリュード」「わが死へのバラード」が収められていて、当時は驚いたものです。その後出たパガーニ関連CD、つまりBella Musica盤Vol. 7の元になったブラジルMovieplay盤やポルトガルPersonality盤では、冒頭にこの3曲を置き、先の8曲から「悲しきゴルド」を抜いた7曲がそれに続いていました。なぜ「悲しきゴルド」を抜くのかも合点がいかず。Bella Musica盤には「悲しきゴルド」も入っていましたが、明らかに音が悪いし、「マティルデへの小さな歌」の頭も切れていました。やれやれ。

閑話休題。これらの盤に収録の「ロコへのバラード」ら3曲は未発表録音と思い、『闘うタンゴ』にもそう書きました。RCAへの未発表録音の可能性もあるとふんで、コンフント9のCD『バルダリート』を編集する際、ボーナス・トラックとして権利関係を確認して貰ったら、BMGもよくわからないままOKが出た、なんてことまでありました。ところが、事実はどうも違っていたようなのです。

実はもう2年半も前の話なのですが、私はブラジルのFermataから75年にリリースされたアメリータのLPを入手しました。それは何と、Movieplay盤などと同じ10曲入りだったのです。つまり「ロコへのバラード」ら3曲が入っていて、「悲しきゴルド」は入っていませんでした。あの3曲は未発表なんかじゃなかった!

未だ見ぬスペインAriola盤も、Fermata盤同様10曲入りだった、と考えると、すべてのつじつまが合います。このアメリータのアルバムと関連があると思われるのが、74年にイタリアで発売されたエドゥモンダ・アルディーニのアルバム。『闘うタンゴ』には登場しないこの幻の作品については、また改めてご紹介することにしましょう。

Fermata盤のジャケットと曲目は、ディスコグラフィーの#115を参照してください。それにしてもAriola盤、もう長いこと探しているのですが、見つかりません。番号が88.714-1ということまでは判ったのですが。

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Comments

斉藤さん,FerumataのLP盤(308、0050)でA・Baltarがポピラール・タンゴを取り上げた物があります。曲は次の通りです。LadoA,①Nostalgias,②Uno,③Sur,④Silbando,⑤Niebla del Riachuelo,
⑥Che Bandoneon,
Lado B,①El dia que me quieras, ②Canbalache,③Melodia de arrabal,④Malena,⑤Los mareados,
⑥Volver,確かにピアソラが伴奏をしています。彼の名前は伏せてあり、又、全然解説はありません。サンパウロで購入したもので、今から30年ぐらい前と思います。参考まで。

Posted by: El Bohemio | December 24, 2009 at 10:57 AM

コメントありがとうございます。お返事おそくなりました。
そのLP(1978年発売)の伴奏はピアソラではありません。
同じ内容のものはアルゼンチンでは1982年になってInterdiscから出ましたが(SLIN 3101)そこに書かれている通り、伴奏指揮はロドルフォ・メデーロスとロドルフォ・アルチョウロンが共同で担当しています。
ピアソラとアメリータは、1975年に完全に別れたあとは、一切コラボレートしていません。

Posted by: さいとう | December 28, 2009 at 01:02 AM

斉藤さん、バルタールの78年Lpレコードへの返事ありがとうございます。解説が無いので、又ピアソーラに随分似ているので早とちりしたわけです。メデーロならピアソーラ風の演奏簡単ににやるでしょう。

Posted by: El Bohemio | January 20, 2010 at 06:44 AM

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